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第百三十三話 立ちはだかる幹部


「……ネミリアの傭兵部隊隊長がそのミスリルを狙っているらしい」


「……なるほど、それじゃあランクSのタスクって言うのはその傭兵部隊隊長を……」


「撃墜することだよ。そのために俺は今からタスクへ臨むのさ」


 ルピウスはクロードのかつて無い真剣な表情を理解した。そしてそれ故にルピウスもまた覚悟を決めてのだ。ルピウスもまた真剣な表情になってクロードの顔を正面から見つめた。


「クロードは覚悟を決めたんだな。ならその覚悟に僕も精一杯のサポートで応えることにするよ。……絶対タスクを達成させよう!」


 ふふ、精一杯のサポートか。ありがたいことだよ。さて、そろそろ気を引き締めないとな。……教官の話からすればオリオンの頂に辿り着くまでに数多くの戦闘になるだろうな。それを難なく対処出来なければシュガとか言う奴の撃墜どころかオリオンの頂にすら辿り着け無いだろう。


 クロードは目の前に呼び出したルブラリアを見上げた。全ての準備が整った今、クロードがすべきことはただ1つしかない。タスクの達成のために出発することそれだけである。傭兵部隊隊長に挑むにも関わらずクロードは自信すら感じていた。穏やかな笑みを浮かべゆっくりとクロードはルブラリアに乗り込むと静かにペダルを踏み込んだのである。


――

コールバの海

――


 ……さて、コールバの海だな。ここからテレジコ空域へ行くまではデサルトの出番だ。……テレジコ空域に入ってからデサルトの出番ってあるんだろうか。……まあ、出来る限り消耗しないように慎重に進んで行くことにするか。


「……クロード、テレジコ空域に行くんじゃなかったのか? ルブラリアに乗り込んだからおかしいなとは思っていたけど」


 ……ん? あぁ、そうか。ルピウスには言ってなかったな。教官の言ったことに従っているから俺はすんなりコールバの海から向かうことを受け入れてるけど知らないとおかしく思うのも仕方ないね。


「ルピウスに言うのを忘れていたけど、テレジコ空域へはコールバの海から突入するよ。スタラジア帝国から突入するのはネミリアの傭兵部隊たちが警戒しているだろうからって教官からの助言があったからね」


「……なるほどね。僕は君の機体を運ぶために後ろについているからテレジコ空域に突入する時は僕に言ってね」


「了解」


 そうか、テレジコ空域に突入するにはアクィラに乗り換えないといけないから後ろについてもらわないといけなかったね。 ……ん? でも確かルピウスは基本的について来るって言っていたような……。まあ良いか、気にしないことにしよう。


 クロードは気を取り直してテレジコ空域の突入口を目指して進み始めた。出来るだけ消耗を避けるためにはまずそもそもの戦闘の数を減らさなければならない。故にクロードは秘密の抜け道を進んで行った。


 これにより少なくともキングインクに遭遇することは無くなった。モンスターとの戦闘を避ければネミリアの傭兵の誰かしらと戦闘になる可能性がある。クロードはそう考えていたのだが意外にも何の戦闘も生じなかった。


 レオの言うようにネミリアの傭兵部隊はスタラジア帝国からテレジコ空域へ突入するルートだけを警戒しているのだろうか。それともオリオンの頂に行くにはどうせテレジコ空域を経由する必要があるのだからそちらの警戒を強めているのだろうか。


 クロードは不安を半分抱えながら慎重にコールバの海を進み、秘密の抜け道を抜け、とうとう突入口が目で見えるところまで来てしまったのである。こんなにすんなり進めて良いのか。そんな考えがクロードの頭に浮かんだその時突入口近くで海戦用E・L・Kが1つ静かに浮かんでいるのが目に入った。その機体にクロードは見覚えがある。


「……お、やっぱりこっちにあんたが来たか。あんたなら馬鹿正直にスタラジア帝国からテレジコ空域には来ないと思っていたよ。……ふふ、これで会うのは3回目になるか?」


「……パディンだな」


「……クク、覚えているとは光栄だ。ま、前回は俺の勝ち逃げだったから覚えているのも当然か。悪いが今回も勝たせてもらおう。……今俺たちのボスはオリオンの頂を目指している。そこでボスは全てを超越するのだ。邪魔する者は全て始末しろ。それが幹部全員に下された厳命。……つまりあんたは俺によって始末されるって訳だ」


「……させないと言ったら?」


「……クク、良いねぇ、良いねぇ! やっぱりあんたと戦うのは楽しくなりそうだ。……前回は悪かったな、最後まで戦いたかったが俺に下された命令はベルウッドの野郎を救出するための時間稼ぎのみ。あんたを撃墜する必要が無いばかりか目的が果たせれば撤退しろとの命令だった。……だが、今は違う。あんたを始末するために今俺はここにいる。だからよ、最後まで戦いを楽しんでいこうや! ……さて、そろそろ始めようかぁ。我が名はパディン、戦いを欲する者なり」


 読んでくださりありがとうございます。

 テレジコ空域に突入する前にパディンと戦うことになりました。出来るだけ消耗したくはありませんがパディンは前回撃墜されそうになるくらい追い込まれた厄介な敵です。リベンジといきたいところですが……。

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