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第百三十二話 そのタスクはランクS


「……良い返事だ。それでは改めてタスクの説明だ。シュガは現在ミスリルの調達のためオリオンの頂を目指している。直ちにテレジコ空域へ突入しミスリルの発見を阻止し撃墜するのだ。……恐らくスタラジア帝国から突入するのは警戒されているだろう。それを逆手に取りコールバの海からテレジコ空域へ突入した方が良いと私は考えている」


 ……なるほど、さすがにシュガ1人でオリオンの頂を目指している訳では無いのか。スタラジア帝国からの妨害を想定するならまずテレジコ空域の入り口を警戒するのは当然か。……まあコールバの海からのルートを警戒してない訳じゃ無いと思うけどね。


「……そうだ、クロード。君に言い忘れていたことがある」


「……? 何でしょうか?」


「このタスクは今までのタスクとはまるで違う。想定通りには恐らく進まないだろう。出発する際には陸・海・空全てのE・L・Kの準備を整えておくのだ。何が起こっても良いようにな。……君が無事にこのタスクを達成出来ることを願っているよ」


 ……こんなにも期待されたからには頑張らないとね。格納庫へ向かって準備を済ませたらすぐに出発しよう。


 クロードはレオへの挨拶もそこそこに教官室を出て行った。その姿を見ながらレオは微笑んでいた。少し経ってレオは机の鍵のかかった引き出しを静かに開けた。そこに大事に仕舞ってあるとあるものを手に取りレオはじっと見つめていた。


「クロードは覚悟を決めてくれた。……それに私も応えねばならない。ふふ、またこんな日が来るなんてな」


 レオは穏やかな笑みを浮かべ手にしたそれを静かに上着の胸ポケットにしのばせた。意を決したようにレオは立ち上がると教官室を出た。そうしてレオは静かな足取りでどこかへ向かったのである。教官室にはただ静寂だけが残されていた。


――

格納庫

――


 クロードはやや急ぎ足で格納庫へ来ていた。何事か把握していなく戸惑っているルピウスをよそにクロードはタスクの準備を進めていた。


 ……教官は陸・海・空全てのE・L・Kの準備をしておけって言っていたな。それじゃあ順番に準備していこう。まずは陸戦用E・L・Kだな。これはルブラリアで良い。向こうも極化した機体を使ってくるのにこっちが極化した機体を使わないのは有り得ないからね。武器パーツもアルギュロスで良いだろう。それじゃあ陸戦用は特に変更は要らないな。


 次は海戦用E・L・Kだな。機体はデサルト、装備されているのは……クイックガトリングだな。武器パーツの選択肢としてキングキャノンもアリだとは思うがさすがに使い慣れた武器パーツの方が適切だろうな。


 最後に空戦用E・L・Kだな。と言っても武器パーツはクラウンレーザー以外選択肢が無い。……金の設計図(空)の武器パーツとかがあれば良かったんだけどなぁ。手に入らなかったものは仕方ないね。


 機体はアクィラとペレグリンの2択だな。攻撃を重視するならアクィラ、速度を重視するならペレグリンだ。……どっちも捨てがたいけど装甲で考えればアクィラの方が上だからな。ならアクィラで行こうか。


 それじゃあこれで準備は完了だな。一応タスク一覧でタスクを確認しておこう。何か漏れがあったらいけないからね。


――

タスク一覧


植生調査に協力願いたい。

ランク:C

場所:―

目的:カシオスギ×5、エリーダブナ×5、コールババーム×5の納品

依頼者:眼鏡をかけた研究員


硬派な鎧の作り方

ランク:A

場所:エリーダ高原

目的:黒き結晶外殻×2の納品

依頼者:誠実なタンク


良い包丁が出来そうだよ。

ランク:B

場所:コールバの海

目的:鋭利な背ビレ×3の納品

依頼者:笑顔の包丁職人


あれは生きた化石⁈研究したい‼︎

ランク:A

場所:テレジコ空域

目的:ラブルゴーレム2頭の討伐

依頼者:目が輝いている研究者


シュガの野望を止めるのだ。

ランク:S

場所:オリオンの頂

目的:シュガの発見及び撃墜

依頼者:レオ

――


 ……最後に書いてあるこれだな。ランクSって見たこと無いや。……それだけ特別なタスクなんだろうよ。ふぅ、覚悟を決めて臨まないといけないな。


「……えらく真剣な表情で準備してたけど、今日はどんなタスクに行くんだい?」


 ルピウスはクロードのタスクの準備が終わるまでずっと横で見ていたようだ。ルピウスの見立ては正しい。クロードはかつて無いほどに真剣にこのタスクへ挑もうとしているのだ。


「……ルピウス、俺は今からランクSのタスクへ挑むのさ」


 さすがにランクSのタスクだとは予想していなかったのだろう。目で見てはっきり分かるほどにルピウスは目を見開いた。そしてどうやらルピウスにはランクSのタスクに心当たりがあるようである。


「ランクSだって? ……なら場所はオリオンの頂なんじゃ無いのか?」


「お、よく知ってるな。テレジコ空域の奥にあること以外知らないんだが、ルピウスは何か知ってるか?」


「……オリオンの頂はテレジコ空域の奥にあるらしい宙に浮かぶ天空へそびえ立つ山だよ。巨大なはずなのにその姿は正面へ行かなければ見えない不思議な地点であると言うことだけ知られているいわゆる未知の領域だね。噂によれば世界最高純度のミスリルが採掘出来るとも言われているよ。場所としてはテレジコ空域の奥になるから空戦用E・L・Kでしか到達出来ない場所になるのかな。……でもどうしてまたそんな場所へ?」


 読んでくださりありがとうございます。

 どうやらオリオンの頂に行くこともまた困難であるようです。しかしクロードは辿り着かなければいけません。その場所にシュガが行こうとしているのですから。

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