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第百二十八話 索敵は慎重が肝心


 クロードの目の前には既に臨戦態勢を整えているツガイヤンマの姿があった。今にも噛みつかんと威嚇している。今まで戦った時は全て武器パーツはメテオライフルであり、ある程度距離を取って戦っていた。しかし今度は剣系統のアルギュロスであり、戦闘スタイルは超接近型である。ツガイヤンマがこちらへ近づこうとして来るのを幸いとばかりにクロードはアルギュロスを構えた。


 充分に接近して来たところを見計らってクロードはアルギュロスを薙ぎ払った。斬り下ろしや袈裟斬りでは1体ずつしか狙えないが薙ぎ払いなら両方ともにダメージを与えることが出来るのだ。


 さらに薙ぎ払いによって距離が少し離れるためツガイヤンマはもっと近づこうと接近して来る。そこをさらに薙ぎ払うのだ。こうすることで簡易的ではあるがこちらに攻撃が来ること無くダメージを与えることが出来るという訳だ。アルギュロスの攻撃性能の高さもありツガイヤンマのオスの体力は瞬く間に無くなっていった。


 ……お、オスが先に倒れたか。両方同じくらいダメージを与えていたつもりなんだけどな。おっと、共食いはさせないよ。何度も見た動きだ。ラグが無い武器パーツでそれはもうさせない。


 ツガイヤンマが共食いを始めようとしたその瞬間ながれるようにレバーを切り替えたクロードは前に踏み込むとメスのツガイヤンマをかじり尽くそうとしているオスごと突き刺したのだ。その攻撃は体力を削り切るのに充分すぎるほどである。こうして共食いすら出来ずにツガイヤンマは光となって消えたのであった。


 ……ふぅ、討伐出来たね。何気に共食いをさせずに討伐したのは初めてじゃないかな。もちろんルブラリアの性能の高さもあると思うけど、一番はアルギュロスの使い勝手の良さかな。銃系統と違ってリロードのラグも無いし何より扱いやすいや。


 今までクロードは銃系統や砲系統などの射撃系武器パーツを使って来た。射撃系の武器パーツは1発1発は強力なものが多いが必ずリロードが必要だと言う点がネックである。そのため今までツガイヤンマと戦った時は全てリロード中の何も出来ない時に共食いをされていたのだ。


 しかしアルギュロスは剣系統であり、攻撃に関してリロードは不要である。1発のダメージは少しばかり落ちたかもしれないがリロードが無い分攻撃の畳み掛けやすく、こうして簡単に割と厄介なモンスターであるツガイヤンマを討伐出来たのだ。


 さて、ドロップアイテムを回収してクィッカーを討伐しに行こうかな。


《見通す薄羽を手に入れた》

《見通す薄羽を手に入れた》


 ……あれ? 見通す薄羽2つか。……確かツガイヤンマのドロップアイテムは2種類あったはずだけど、……ま、細かいことは気にしないでおくか。それじゃあクィッカーを探そう。クィッカーは確か草むらの外にいるからな。一番近いのは……これだな。


 MAPを見ると草むらの外には3体のモンスターがいるようである。そのうち一番近いところにいるモンスターにクロードは狙いをつけたようだ。最短で草むらを突っ切れば割とすぐに到達出来る。しかし草むらの中にはまだモンスターがいるらしくそれの近くを通ることになるのだ。


 ツガイヤンマにはもう用は無い。不要な戦闘を避けるため一旦草むらから出たクロードは草むらの外を回るようなかたちで狙いをつけたポイントを目指した。ツガイヤンマを楽に倒したことでクィッカーなら別に苦戦しないだろうと言う甘い考えがクロードの頭を占めていた。目指すポイントまで特に慎重にならずに割と大胆に進んでいた。


 故に見つかってしまったのだ。クロードはすっかり忘れてしまっているがこの辺りにはツガイヤンマとクィッカーの他にもう1種類モンスターがいる。そしてそのモンスターは討伐対象では無いためMAPにも表示されない。凄まじい勢いで間近に迫って来るまでその存在にクロードは気付けなかった。


 さて、そろそろクィッカーが見えるかな。……お、あれだね。それじゃあサクッと……、ん?何の足音だ?


 こちらへ突進をしかけて来るような足音を聞いたクロードは音のする方向へ顔の向きを変えた。するとこちらへ凄まじい勢いで迫って来るビックホーンの姿がクロードの目に飛び込んできた。


あ、やべ。……回避出来たか? こいつの存在をすっかり忘れてたよ。相変わらずおっかない威力の突進だな。多分ルブラリアの装甲なら多少食らっても問題無いとは思う。……けど、あれを見ているとね、あんまり食らいたくは無いよな。


 クィッカーに攻撃する前で良かったよ。幸い狙っていたクィッカーには気づかれて無さそうだ。ビックホーンの動きは割と単調だからカウンターを仕掛けていけば割と簡単に……。嘘だろ? こんなに混戦になるのは聞いてないぞ。


 最初のビックホーンの突進を無理矢理回避したためにクロードはMAPをあまり見れていなかった。ビックホーンを迎え撃とうとアルギュロスを構えたその場所は草むらに近くもう1体のツガイヤンマの縄張りにやや被っていたのだ。当然大きな羽音を響かせながらツガイヤンマが近づいて来たのである。


 さらに不幸にもその羽音でクィッカーがこちらに気付いたのだ。楽に勝てるだろうと油断していたクロードはこうしてカシオ平原のモンスター3種を相手にすることになったのである。


 読んでくださりありがとうございます。

 油断していたクロードは一瞬にして混戦に巻き込まれました。単体ならどうってことは無いモンスターですが、一度に相手をするとなるとかなり面倒です。

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