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第百二十話 プリズムオーラなのか?


 パディンは続けざまに通常砲撃を放った。それらを全てクロードは丁寧に狙って撃ちその場で爆破させていったのである。元々空戦用E・L・Kに対応していないのを無理矢理改造した故に、放たれる砲弾は脆く【スレッドジャマー】で動きにくくあるアクィラにとうとう1発も届くことは無かった。


「全部撃ち落として来るとはな。……だがこれならどうだ?」


 パディンは再び撃てるようになった【サブマリンボム】を発射した。一度見たスキルを再び食らうほどクロードは愚かでは無い。横に回避をしつつしっかりと狙って撃ち落とした。


 ……お、【スレッドジャマー】の効果が切れたみたいだな。【レーザースパイラル】の効果も切れたけどこれでようやく動きやすくなった。さて、相手の攻撃パターン、スキルの挙動は大体把握出来たな。ここから反撃開始だ!


 動きが制限されていた状態でクロードはダメージを負わなかったのだ。【スレッドジャマー】の効果が無くなれば尚のことダメージを負わない。放たれる砲撃を撃ち落としたり回避したりしながらクロードは着実にパディンにダメージを負わせていた。


 【レーザースパイラル】が再び発動出来るようになりそうな頃、既にサヴァンにある程度まとまったダメージが与えられていた。体感的にはクロードが直撃で食らってしまった【サブマリンボム】のダメージよりも大きなダメージをパディンに食らわせているようにクロードは感じていた。


 ふと左上を見ればスイッチが水色に輝き始めていた。このまま着実にダメージを食らわせれば撃墜出来るだろう。【レーザースパイラル】は貫通属性が付与される故にダメージ増加が期待される。ここからさらに畳み掛けようかとスイッチに手を伸ばしかけたその時、サヴァンからパディンの声が響いて来た。


「やはりあんたは俺を楽しませてくれる。攻撃が当たらないなら3つ目のスキルを発動させるまで。……【プリズムオーラ】!」


 パディンが言い終わってすぐサヴァンのほ砲身は黒いオーラを纏った。その瞬間クロードの頭の中に1つの疑問が浮かんだ。


 ……ん? 見にくいが黒いオーラを纏っているように見えるぞ。あんな色……ッ危ない! 弾速が上がっているのか⁉︎ 今までより遥かに速い。危うく直撃するところだった。


 ……【プリズムオーラ】ってあんな色だったか? 絶対違ったよな? 確か……青かったっけな。


 それが何の色かは思い出せないが、【プリズムオーラ】の色では無いことにクロードは確信が持てた。パディンと戦ったのは随分と前だが厄介なスキルは覚えているものである。確か記憶が正しければ【プリズムオーラ】で纏うオーラは青かったはずである。


「そのスキルは【プリズムオーラ】じゃない。……それは青いオーラだったはずだ」


 クロードのその指摘は当たっていたのだろう。少し、間が空いた後にニヤリとパディンは笑うと口を開いた。


「へぇ、記憶は確かみたいだな。俺の嘘を速攻で見抜くとはやはりあんたは俺を楽しませてくれるな。……だが答えは教えてやらないよ!」


 そう言うとパディンは続けざまに砲撃を放った。弾速が上がっているため先程までの戦闘に慣れていればいるほど対応が難しくなる。なんとか全て回避したものの相当の集中力が必要だったためにややクロードに疲れが見え始めていた。


 そこへつけこみたいパディンだったがそろそろスキルの効果が切れてしまうようだ。黒いオーラは消え去り弾速も元に戻ったのである。


「……俺のとっておきを防ぎきるとはな。……おっともうこんな時間か。このまま戦っても俺は良いんだがあいにくボスが撃墜だけはするなと言っていてな。楽しくなりすぎると撃墜しちまうから俺はここらで退散するとしよう。また会おうぜ」


 ……どう言うことだ? 退散するだと? ……こんな時間って言うのもどういう意味だ?


 疑問が尽きないクロードを気にすることも無くパディンは退散しようと方向転換を始めた。ここでクロードは我に帰り退散させまいと【レーザースパイラル】のスイッチのカバーを開けた。その瞬間パディンは操縦席の中で体だけこちらに向けた。その手には何やら不思議な機械があった。


「おっと、素直に退散はさせてくれないよな。ならボスの技術を少し借りるとしようか。試作品らしいが時間稼ぎには充分だろ」


 クラウンレーザーが【レーザースパイラル】の発動を現すかのように水色に輝き始めたその瞬間、光は失われクロードは突如として操縦困難に陥ってしまった。


 半ばパニックになりながらも操縦するためのハンドルから手は離さない。水面に不時着するギリギリで操縦が正常化し、そこから何とか墜落せずにクロードはアクィラを元いた上空まで高度を上げた。


 これ以上無い操縦テクニックでありクロードは最善を尽くした。しかしその頃にはもう既にパディンは退散した後。良いようにやられてしまったようで何とも言えない気持ちがクロードの中に渦巻いていた。そんなクロードに追い討ちをかけるようにウィンドウが表示されたのである。


《タスクを1つ完了しました。すぐにスタラジア帝国に戻りますか?》


 読んでくださりありがとうございます。

 なんとも後味が悪いですがひとまずタスク達成です。良かったと思わなければやってられません。

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