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第百十八話 途絶えたホログラム

――

テレジコ空域

――


 ……さて、テレジコ空域に着いたな。見た感じ変わったところは無さそうだな。むしろベルウッド撃墜タスクの時みたいにモンスターがいっぱいいる訳じゃないから調査がしやすいまであるね。


 一応他のタスクも並行して進められるんだけど、今俺が申請しているタスクでテレジコ空域で進められるタスクはラブルゴーレム2体の討伐タスクだけ。戦ったことはあるけど正直戦いたくないし、何より無駄な消耗をしたくない。


 ……それにもしかすると調査していく中で戦わなくちゃいけなくなる可能性もあるから無理に索敵してまでこのタスクを進めなくて良いだろう。まずは調査タスクが優先だね。


「……ルピウス、大穴の座標ってMAPに表示出来るか?」


「まかせて! ……これで表示されてると思うよ」


「ありがとう」


 さすがに大体の座標が分からずに大穴を探すのは面倒くさいからな。無闇に突っ切ったらモンスターに遭遇する確率も上がるし、それならMAPに表示させた方が楽で良いよね。


 ……ところでこの座標。MAPの表示だと確信が持てないけどあそこじゃないかな。


 クロードはMAPに表示されている場所に心当たりがあるようだ。出来る限りモンスターと遭遇しないように慎重にテレジコ空域を進んでいき、やがてクロードはMAPが表示している辺りまでやって来た。


 ……あぁ、やっぱりここか。何となくそんな予感はしていたよ。


 クロードの目の前には特徴的な形のガレキが浮かんでいた。そこまで大きくないそのガレキの形をクロードは覚えていたのだ。なぜ覚えているのか。それは間近で実際に見たからに他ならない。


 そして大穴ってのはこれだな。……まさしくベルウッドが【ネグロプロシオン】とか言っていたでっかいビームを放った場所だ。どこに繋がっているかは分からないけど、傭兵部隊が何らかの形で絡んで来るのは間違い無いね。


 ……正直この情報を持ち帰ってもそれなりの成果にはなりそうだ。ただ問題はこれがあくまで憶測でしか無く、どこに繋がっているのかはまだ不明だってことなんだよな。これ以上の情報を手に入れたければ、……この先に進むしか無い。


 間違いなく突入すれば危険な目に遭うのが分かっているうえでクロードはテレジコ空域の大穴へ突入する覚悟を決めた。憶測を確固たる事実にするために、少しばかり深めの息を吐くとクロードはペダルを強く踏み込んだ。


 獣道を思わせるほどのところどころ対流が残っている荒れた道を進んで行ったクロードはやがてとある場所に行き着いた。ここが大穴が繋がっている場所と考えて良さそうだ。


 ……これで通過出来たかな?入るためのルートが整備されている正規の入り口とは通行のしにくさがまるで違うね。でっかいビームでこじ開けただけあるわ。……大分無茶して通ったからかなぁ、やっぱり突入するべきじゃ無かったか?


 クロードはコックピットの右横を見てため息をついた。どこかが故障したのか、何らかの影響で通信が途絶えたのか、詳細は分からないがホログラム機能が停止しているのだ。とは言えそれ以外で特に故障は見当たらない。クロードは少し迷った挙句前に進むことに決めた。


 ……さて、ここはコールバの海、で良いのかな。ここまで奥に来たことは一度あるか無いか。ほぼ未知の領域って言って良いね。


 テレジコ空域の大穴を突き抜けてたどり着いた場所はクロードにとって少しばかり見覚えのある場所であった。その場所とはコールバの海の奥、そしてクロードの目の前にはネミリア王国の陸地があるのである。


 テレジコ空域の大穴を通ってやって来たクロードを迎え撃つかのように海戦用E・L・Kが一機ゆっくりと近づいて来ていた。恐らく傭兵部隊のE・L・Kだと思われるがその中でも上等なもののように見える。


 ゆっくり進むそのE・L・KはクロードからそのE・L・Kの操縦席に座る人が視認出来るまで接近して来た。操縦席に座るその人物をクロードは知っていた。


「……その真新しいE・L・K、スタラジアの騎士ってところか。どこから大穴の事を聞きつけたかは知らんが、騎士が来るような場所じゃあねぇ。……大人しく回れ右で帰んな」


 ……やはりネミリア王国傭兵部隊が絡んでいるか。多少戦闘にはなるとは思っていたけど、まさか最初から幹部が相手とはね。


「……嫌だと言ったら?」


「……クク、そりゃあそうか。大人しく回れ右で帰る訳ねぇな。――その大穴はうちの最高幹部のベルウッドって奴がこじ開けた代物だ。あいつは言葉こそ丁寧だが色々と雑でな。中々消耗せずに通るのは難しい。そこを通過して来たにしては消耗が少ない、パッと見は傷1つ見えやしねぇ。…クク、あんたやっぱり面白れぇな。会うのは2回目か?」


「……そうだな。カリーニャの丘以来だ」


「お、覚えているとは光栄だ。俺もあんたのことは覚えている。スタラジア帝国が騎士、クロードだな。隊長が大穴の見張りをしろって言ってきた時は頭に来たもんだがあんたが相手をしてくれるなら儲けもんだぜ。…さて、そろそろ戦いを始めようかぁ!…我が名はパディン、闘いを欲する者なり」


 読んでくださりありがとうございます。

 ホログラム機能が停止してしまいました。それだけ壊れることは中々ないはずですが……。

 大穴を通過したクロードに待ち受けていたのはパディンでした。どうやらパディンとの再戦が始まるようです。

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