第百十六話 調査タスク
おぉ、いっぱいお金が手に入ったな。普通の設計図はもう(空)以外は必要無いに等しいから良いとして、金の設計図が2個ほど貯まっているんだよな。だからお金はあればあるほど嬉しい。
……今所持金の合計いくらだ? ……57000Gか。なら手持ちの金の設計図(海)も(陸)も両方預けられるね。それぞれキングインクとマイルピードの討伐報酬だからそれなりに高性能が期待出来る。……ふふ、楽しみだよ。
ええと、タスク一覧にまだ結構タスクが残っているはずだから今回はタスクの追加はやめておくか。それじゃあタスクの報告も無事終わったことだし、今日はもう休息を取りましょうかね。
クロードはレオに軽く挨拶をしてから教官室を出ると、格納庫へは戻らずに休息を取るためにそのまま自室へと向かったのであった。
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自室
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お、朝か。それじゃあ今日もタスクを頑張っていきますかね。
いつも通りの朝を迎えたクロードはベッドから起き上がると格納庫へ向かうための準備を始めた。準備と言ってもやることは特に無い。何となくストレッチをするように動きを確認するだけである。やがてクロードが格納庫へと向かおうと扉に向かって進み始めたその瞬間。扉の向こうからノックする音が響いたのだ。
……ん? 誰か俺を呼んでいるのか?まあ扉を開ければ分かるか。
扉をノックされた経験がまるで無いクロードはノックされる理由に全く心当たりが無かった。首を傾げながらも自室の扉を開けるとそこには笑みを浮かべるアンドロの姿があったのである。
「あぁ、アンドロか。どうした? 何かあったのか?」
「良かった起きてたか。さっき教官室に行ったら教官から君を呼んで来いって言われてさ」
教官が俺を呼んでいる? 呼ばれるような事あったっけ? ……だめだ、全く心当たりが無い。まあ、行けば分かるか。
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教官室
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ノックしてから教官室へ入るとすぐ厳しい表情で腕を組んでいるレオと目が合った。心当たりは相変わらず無いがその表情からレオに怒られると判断したクロードは黙って心当たりを探っていた。
「……来たか。クロード、君に少し話しておくことがあって今回呼び出させてもらった」
「ええと、何かやってしまったんでしょうか?」
最早思い当たる事が無いクロードは思い切って聞いてみることにしたのである。レオはクロードにそんなことを聞かれるのは予想外だったのだろう。厳しい表情が瞬間緩んだ。
「なんだ、君はそんな心配をしていたのか。類を見ない早さで実績を積み上げる君に怒るところなんて1つも無い。これからも頑張ってくれたまえ」
「……? ありがとうございます。ええと、それならば話しておくこととは何でしょうか?」
「テレジコ空域の事なんだがな。唯一ある入り口を帝国で観測しているという話をしたのを君は覚えているか?」
「何となくですけど……、覚えてます」
「実は昨日の夜遅くにその観測隊が妙なことを報告して来たのだよ。何でもテレジコ空域の中腹にE・L・Kが安全に通過出来るような穴が開いているらしい」
……テレジコ空域に穴? ええと、確かテレジコ空域は巨大な対流空間だったよな。だから唯一スタラジア帝国にある入り口からじゃないと入れない場所なんだよね。となると余程の強い衝撃じゃないと穴なんて開かないと思うんだが……。
「観測隊曰く内側から局所的にこじ開けられた穴が大きくなったように見えるらしい。恐らく侵入したベルウッドが何か仕掛けたのだろうと言うのがこちらの判断だ」
なるほど、確かにベルウッドはテレジコ空域に侵入していたから何かしら仕掛けていてもおかしくは無いな。最後に凄まじいビームを放って来てたけどもしかしてあれ俺を狙ったんじゃなくて穴を開けるのを狙ったのか? ……だとしても目的が分からないけどね。
「穴を開けた方法はとりあえず不明で良い。問題はテレジコ空域の底とどこかが繋がっており、それがどこなのかが分からないと言う点だ。もしネミリア王国近くにその穴が繋がっているならばスタラジア帝国にとって痛手となる。……そこで、クロード。君に調査タスクを頼みたい」
……調査タスク?
「今回クロードに申請するタスクはテレジコ空域へ入り該当の穴を通過しどこに繋がっているか、また周囲に不審な人影は無いかの調査だ。もちろん他のタスクと並行して進めてもらって構わないがその代わりに期限を当日限りとさせてもらう」
「……分かりました。そのタスク受けます!」
「ありがたい。それでは調査タスクを申請しておく。タスク一覧を確認し、完了出来たのなら報告してくれ。……ともするとかなり危険なタスクになる可能性もある。調査タスクは目的が達成出来ずとも帰還可能なタスクだ。危なくなればすぐに帰還することを勧めておく。……それでは健闘を祈る」
読んでくださりありがとうございます。
調査タスクが申請されました。調査と名前についていますが当然のように戦闘が絡むタスクになります。




