第百十一話 デサルト
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教官室
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「……クロードか、タスク完了の報告だな」
「そうです」
「……確かにタスクは完了している。これはタスクの報酬だ。受け取るが良い」
《普通の設計図(海)を手に入れた。》
《普通の設計図(海)を手に入れた。》
「……そして依頼者である苛立つ漁師だが、知り合いに騎士団だった人がいたそうでね。君に是非役立てて欲しいとデサルトを譲ってくれるそうだ。タスクの報酬として受け取るが良い」
《デサルトが使えるようになった》
お、新しいE・L・Kが使えるようになったな。……デサルトか。いったいどんな機体だろうね。
「デサルトは全てが高水準でバランスの取れた海戦用E・L・Kだ。苦手な武器パーツは特に無い。どのステータスもかなり高い故にタスクを選ばずに活躍出来る優れものだ。是非海戦が絡むタスクには搭乗すると良い。……説明は以上だ。さて、どのタスクを申請するんだ?」
……結構なベタ褒めだね。これほど言われると普通に期待しちゃうな、どんなステータスか楽しみだよ。さて、そろそろタスクを追加しておこうか。確か残っているタスクをやるにはエリーダ高原に行く必要があるんだよな。ならエリーダ高原のタスクを含めつつ適当にタスクを申請しておこうかな。
クロードはホログラムを確認して同時並行で進められそうなものや比較的簡単そうに見えるタスクをいくつか選んで申請を済ませた。申請を済ませたクロードはレオに軽く挨拶をしてから教官室を出て格納庫へ向かうのであった。
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格納庫
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さて、確認したいものはいくつかあるからな。どれから確認しようか。……それじゃあまず申請したタスクを確認しようか。
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タスク一覧
この輝きは素晴らしい!
ランク:D
場所:エリーダ高原
目的:鉄×1、闇水晶の欠片×3の納品
依頼者:石に囲まれたい男
仕組みが分からない。採取してきてくれ。
ランクC
場所:コールバの海
湿った丸太×5、コールババーム×3の納品
依頼者:途方に暮れた植物学者
あの顔とっても好みなんだ。剥製にしたい。
ランク:C
場所:エリーダ高原
目的:ロックファルコン2頭の討伐
依頼者:物好きな金持ち
ゆっくり釣りも出来やしねぇ。討伐してくれ。
ランク:B
場所:コールバの海
目的:アサルトシャークの討伐
依頼者:ぶっきらぼうな釣り師
良い建築材になりそうだ。
ランク:B
場所:エリーダ高原
目的:エリーダブナ×3、トレントの樹液×1の納品
依頼者:腕の立つ大工
あれは生きた化石⁈ 研究したい‼︎
ランク:A
場所:テレジコ空域
目的:ラブルゴーレム2頭の討伐
依頼者:目が輝いている研究者
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……結構タスクを申請出来たね。まあでも討伐タスクの目的は倒したことのあるモンスターばかりだし、納品タスクで追加で手に入れないといけないのは闇水晶の欠片とコールババームぐらいであとは手持ちで何とかなるからな。
それじゃあ次はデサルトの性能を確認しようか。レオ教官があんなに言ってたから割と性能を確認するのは楽しみなんだよね。まずは見た目から見ていこうか。
クロードはデサルトを呼び出した。先程までフィウム改が置かれていたことも相まって現れたデサルトを見て最初の感想はその圧倒的なサイズ感についてであった。
……これはまたでっかいなぁ。ラマーレより大きいんじゃない? でかめのサイズに目を惹かれるけど外観も中々良いな。オーソドックスな戦艦って感じ。うん、実にかっこいい。
そうなると性能に期待がかかるな。フィウム改は言っても強化された機体だから比較するべきじゃ無いかもしれないけどフィウム改より高いステータスだと嬉しいね。それじゃあ確認していきましょうか。
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デサルト
攻撃 200 速度 170 装甲 1700
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……マジ? ステータス高すぎない? フィウム改は確か攻撃180速度140装甲1600だよな。……全部負けてんじゃん。もしかしてフィウムって不遇? 強化されても装甲しか増えて無いし、強化されてないデサルトにステータスで普通に負けてるし。
それはまあ一旦置いておくとして、なるほどこれは確かに全てが高水準だな。レオ教官の言う通りだ。海戦が絡むタスクには絶対デサルトに搭乗するべきだね。もう今のうちに武器パーツも変えておこう。
クロードは流れるようにフィウム改を呼び出してクイックガトリングとノーマルキャノンを入れ替え、デサルトにクイックガトリングを装着させた。これで海戦が絡むタスクへの準備は万端である。
……そういえばナップスクイードを討伐してきた帰りだから今って夜なんだよね。タスクから帰ってすぐにはなるけど今からまたタスクに出ようとしたらどうなるんだろう?
「ルピウス、今って夜だよな」
クロードは真剣な表情でルピウスにそう尋ねた。しかしルピウスにはその問いの意味が全く分からない。少し考えたが結論は出せなかったようだ。ルピウスは首を傾げて口を開いた。
「……? そうだけど、なんでそんなことを聞くの?」
「いや、今から今日の日付で別のタスクに行くことって出来るかなって」
それを聞いてやっとルピウスはクロードの言いたいことが分かったようだ。まっすぐ正面に戻りニコリと笑ってルピウスはこう答えたのである。
「なるほど、そう言うことか。それは無理だよ。一日に出発出来るのは昼と夜1回ずつの最大2回。だから今からタスクに向かおうとすると日付が変わってから出発する事になるよ。休息を取るか取らないかは任せるけど、どうせ日付が変わるんだからなるべく休息は取った方が良いと思うよ」
読んでくださりありがとうございます。
フィウムは不遇ではありません。タスクの進め方によって強化されたはずのフィウムが少し弱い機体に見えてしまっているだけです。極化すればフィウムはまた強い機体になります。……まあ極化書が上手く手に入るかはまた別問題ですが…。