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第百十話 暗闇のナップスクイード


 ……ところでちょっと気になるんだけど、ナップスクイードの生息域に行くためにはキングインクの生息域を通る必要があるんだよね。……通ったらキングインクと遭遇するんだろうか。


 クロードは少しだけ迷っていた。勿論遭遇するしない関係無く、秘密の抜け道を通ればナップスクイードの生息域には辿り着くのである。ただ、既に討伐済なら遭遇しない状態になっていてもおかしく無いだろう。そうクロードは考えたのである。


 しかし、そのクロードの考えは甘い。そもそもキングインクはナップスクイードなどイカ型のモンスターで最も強い個体の事である。そのため討伐されればまた別のキングインクが現れるのだ。


 キングインクが討伐されてなお、キングインクに絡んだタスクが消えないのはそれ故である。従って恐る恐る生息域へと近づいたクロードは当然キングインクと遭遇し、大きな波と共にコールバの海の奥へと吹っ飛ばされたのだ。


 ……普通に遭遇して普通に吹っ飛ばされたな。今回分かったことはキングインクを討伐していようと生息域に近づくと遭遇するし、討伐出来るだけの実力があったとしても正面から近づけば自動的に吹っ飛ばされるってことだな。


 まあ良い、切り替えよう。ええとMAPの表示ではこの辺りにナップスクイードがいるとある。……当然だけど暗くてライトで照らしている場所以外は見えないね。となるとライトで照らしながら探すしか無いかな。……お、この影は当たりじゃないか?


 水面を注意深く見ていたクロードは探しているナップスクイードらしき影を見つけたのである。近づいても飛び出して来る気配が無いのでクロードはクイックガトリングで狙いを定めて撃ち抜いた。撃ち抜かれたことに驚いたイカ型のモンスターが水中から飛び出して来たのだ。


「お! 当たりだ。さっさと討伐しようか」


 ナップスクイードは探すのに苦労するモンスターであり、遭遇さえ出来れば後は簡単である。クロードはレバーを回転させつつ隙を見てスキルを発動させようとしていたが発動するより早くナップスクイードは光となって消え去ったのだ。


 ……あれ? こんなにあっけないモンスターだったっけ? こいつとの戦闘は……、うん全く思い出せない。それじゃああっけなくて正解だろうな。


 さて、問題はここからだ。ナップスクイードの討伐タスクは達成出来たが、納品タスクが達成出来るかは分からない。ドロップアイテム次第だよ。……まあそれほど難しいドロップアイテムじゃあ無いからそう心配しなくて良いと思うけどね。


《淡く光る軟甲を手に入れた》

《唸る触腕を手に入れた》


 よし、これで納品するアイテムが揃ったな。……唸る触腕×2と波打つ大腕×1の納品完了。それじゃあスタラジア帝国へ帰還するとしますかね。


――

スタラジア帝国

――


 よし、無事に帰還したな。……このまままっすぐ教官室へ向かっても良いんだが、せっかく報酬で所持金が潤っているんだからな。虹の設計図を預けに行こう。


――

鍛冶屋

――


 クロードが鍛冶屋に入ると預かった設計図をもとにピクトが何やら作業をしていた。作業が終わるのを待つためにクロードは椅子に座ろうとした。すると気が付いたようにピクトは顔を上げゴーグルを額に上げてクロードをにこやかな表情で出迎えたのだ。


「おや、お前さんか。今日はもう来ないと思っておったよ。……タスクの帰りかね?」


「まあ、そんなところです。……これをお願いします」


 クロードは何でもない設計図を渡すようにして設計図をピクトに手渡した。それを受け取り何の設計図か確認するため軽くひと通り目を通して、……ゆっくりとピクトは顔を上げた。


「……驚いた。……こりゃ本物か?」


「もちろん、本物ですよ」


「……そうか、本物なのか。……おっと、気を悪くしないでくれよ? 何しろわしもこれを見るのが初めてなんじゃ。……そうか、これが虹の設計図……か」


 ピクトは虹の設計図について以前鍛冶屋たるもの一度は見てみたいと言っていたのだ。感慨深そうにじっと虹の設計図を眺めていたピクトはクロードが既にお金を机に置いているのにさえしばらく気付かないほどに夢中であった。


「……! あぁ、すまん。つい見入ってしまったよ。虹の設計図だな。それじゃあ100000G貰うぜ。いいかね?」


「どうぞ」


「ん? ……なんだもう用意してあるのか。……いつ置いたのか全然気付かなかったよ。ふふ、お前さんならもしかすると、とは思っていたんじゃがこうも早く実現するとはの。確かに100000Gだ。それじゃあ、明日以降また取りに来てくれ。ほかに何かあるか?」


 クロードはまだ設計図こそ持ってはいるもののそれは金の設計図であり預けるには所持金が足りない。つまりピクトに渡せるものはもうなかった。軽く挨拶をしてクロードは鍛冶屋を出て、先程のやり取りを思い出してクロードは少し笑みがこぼれた。


 ふふ、お金を置いたのを気付かなかったほど真剣に見ていたんだな。ま、それだけ珍しいって事なんだろうね。出来上がる武器パーツはカテゴリーとしては陸戦用の武器パーツだよな。メテオライフルやトレントアローよりも凄い武器パーツか。……想像もつかないから俺も出来上がりがかなり楽しみだよ。さて、それじゃあ教官室へ向かおうか。



 読んでくださりありがとうございます。

 ピクトはようやく初めて虹の設計図を見ることが出来ましたね。出来上がりが楽しみですね。

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