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第百六話 ベルウッドの本気


「……ん? ……ああ、そうか。ラブルゴーレムに俺を攻撃させようとしたのか。……ふん、小賢しい。[マインドジャック]によってこいつらは俺の支配下にあるのだぞ? 俺に向けて攻撃なんぞする訳が無いだろう」


 そう言ってベルウッドはクロードを嘲り笑った。しかし高笑いを響かせる途中で我に帰ったかのようにラブルゴーレムを見た。確かにラブルゴーレムは[マインドジャック]によってベルウッドの支配下にあり、彼目掛けて攻撃はして来ない。


 しかし敵と認知したものに対しては攻撃を止めることは無い。ラブルゴーレムのメインの攻撃は周りを巻き込んでしまうのではと思える程の打撃の乱撃である。2体のラブルゴーレムが隣り合って乱撃を始めればどうなるか。ベルウッドがクロードの狙いに気付いた時には既に目に見える程ラブルゴーレムは消耗していたのだ。


「……なるほど、小細工はもはや必要無い……か」


 ベルウッドはラブルゴーレム目掛けて爆弾を放った。放たれた爆弾はまっすぐラブルゴーレムに飛んで行き、2体とも光となって消え去った。それを見届けてからゆっくりとベルウッドはクロードへと振り返った。


「……悪いな。俺はどうやらお前の実力を見誤っていたようだ。……どうやらお前は本気でかからねば撃墜される程に実力があるらしい。ならばこのベルウッド、お前のその実力に敬意を表して本気を出そう。……ネミリア王国傭兵部隊、最高幹部ベルウッド、いざ参る!」


 そう言うとベルウッドは機体から爆弾をばら撒き始めた。ただばら撒くだけなら先程までとそう変わりは無い。しかし今回の爆弾は一味違っていた。追尾性能が備え付けられた小型ミサイルのような形状の爆弾が数発連続で放たれたのである。


 ……回避しようとしたつもりだったけど、追尾機能付きとはね。流石に何発かは食らっちゃったな。全部回避は不可能に近いから出来るだけ被弾を減らせるように確実に撃ち落としていかないとな。


 今度はこちらの番だ。……と言いたいところなんだが【レーザースパイラル】はまだ使えないし、通常のレーザーを何発か放ってみても動きが速すぎて中々狙った場所に攻撃出来ないな。となると狙うは攻撃しようと静止した時だ。


 闇雲に攻撃しても大したダメージを稼げないと判断したクロードは放つレーザーを牽制程度の数まで減らし、攻撃するためにベルウッドが止まるのを待った。


 ……お、止まったな。この瞬間を狙って叩き……あ、やべ。これはまずいぞ。


 ベルウッドは確かに攻撃のために一旦静止した。ばら撒かれる爆弾を撃ち落とすだけの余裕を持ちつつ比較的ダメージが大きい右側のプロペラに狙いを定めた。しかしベルウッドが行おうとしていた攻撃は無差別に爆弾をばら撒くのでも追尾性能を持った爆弾を連続して放つでも無かった。


 ジョニアが一瞬黒いオーラを纏ったかと思うと機体の正面でそのオーラが結集し始めたのだ。クロードはこの光景に見覚えがある。直撃したことこそ無いが間違いなく強力な攻撃であると確信したキングインクのビーム攻撃。それが放たれた時と光景が重なるのだ。


「やはり察しが良い。……だが、間に合うかな? 【ネグロブラスト】」


 【ネグロブラスト】。そう言って放たれた攻撃はクロードの予想通りの大規模なビーム攻撃である。威力こそキングインクに劣るものの、直撃すれば装甲がほぼ消耗しきってしまうのではと思える程には高威力である。


「……やはり回避してくるか。当たれば大ダメージではあるのだが当てにくいのが欠点だな」


 予備動作が比較的分かりやすいし似たような攻撃は既に経験済みだから回避出来た訳で、別に攻撃自体は当てにくい訳じゃ無いんだがな。……と言うか普通に焦ったわ。割とマジで直撃したと思ったもん。


 あんな攻撃がまた飛んで来るかもしれないのならさっさと勝負を決めてしまわないとな。それには【レーザースパイラル】が必要不可欠だよ。……そして今なら発動出来る。でも焦っちゃいけない。貴重なダメージリソース、外す訳にはいかないからね。狙うのはやっぱり攻撃するためにベルウッドが止まった時……。


 ……今だ。


 ベルウッドは攻撃するために一旦静止した。その瞬間を狙ってクロードは【レーザースパイラル】のスイッチを押し込んだ。これにより約30秒間は通常射撃に貫通属性が付与される。ベルウッドが繰り出して来た攻撃は【ネグロブラスト】では無かった。ばら撒かれた追尾性能付きの爆弾は列をなしながらクロード目掛けてまっすぐ飛んで行ったのだ。


 普段ならレーザー1発につき1つの爆弾しか撃ち落とせない。しかし貫通属性が付与されている今なら1発で複数個の爆弾を撃ち落とせるのだ。4発ほどで撃ち落とし終わったクロードはジョニアの右側のプロペラ目掛けて発射し始めた。


 動いているベルウッドに対してある程度レーザーを当てる事が出来ていたクロードである。故に静止している状態なら狙った場所を的確に射抜く事が可能なのだ。効果時間が終わり通常のレーザーに戻った時には既にプロペラ部分は半壊しており、飛行機能を失っていた。


「……プロペラが機能しなくなった……か。ふふ、……ふはははァ! ここまで追い込まれるとは久方振りよ」


 そこまで言ってベルウッドはコックピットの左上にある赤黒く危険な色合いをしたスイッチを押し込んだ。押し込んでからようやくそのスイッチは輝き始めた。


「……だがな負けないから最高幹部なのだ。今からお前にそれを教えてやろう、……【ネグロプロシオン】」


 読んでくださりありがとうございます。

 本気と言うだけあって大技が飛び交っていますね。そして最後に【ネグロプロシオン】なるスキルを発動させたようです。赤黒い危険な色合いのスイッチ……。一体どんなスキルなんでしょうか。

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