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第百三話 マインドジャック


 ……ふぅ、完了だな。さすがにちょっと疲れたよ。2体相手にするのはもう勘弁してもらいたいね。……一応初めてのモンスターになるんだし、こいつのドロップアイテムは回収しておこうか。ちょうど周辺にモンスターもいないことだしね。


《天駆ける銀翼を手に入れた》

《雷を纏う鋭角を手に入れた》

《天駆ける銀翼を手に入れた》

《天駆ける銀翼を手に入れた》


 ふむ、1種類違うものが手に入ったな。珍しいものならいずれタスクの目的に絡んで来るかもしれないね。雷を纏う鋭角か、覚えておこう。


 さて、そろそろ表示された地点の近くだけどさ。……肝心のベルウッドだっけ? 姿が見えないな。おっと、その前にドラゴリキッドを使っておこう。さっきまでの戦闘で全部の攻撃を回避出来ていた訳じゃ無いからね。……ええと、これだな。


《ドラゴリキッドを使った。アクィラの装甲が全て回復した》


 よし、これで準備OKだな。いつでもベルウッドの相手が出来るぞ。遭遇の仕方が分からないけど多分表示されている地点に行けば何かしらのイベントが発生するでしょ。


 クロードはMAPの表示に従ってとある地点へと辿り着いた。そこにはやや大きめのガレキが漂っているだけでベルウッドらしき姿は見えない。ベルウッドを探して周囲を見渡しているとどこからか声が降って来たのだ。


「……人をお探しかな? こんな辺境で人探しとは珍しい」


 声のした方へ振り向くとプロペラが回るけたましい音と共に教官室で見せてもらった機体にそっくりの戦闘機が目の前に悠然と現れたのである。恐らくこいつがベルウッドなのだろう。


「……あんたがベルウッドで間違い無いか?」


「ええ、確かに私の名前はベルウッド。よくご存知ですねぇ。そう言うあなたはスタラジアの騎士で、名前はクロードでしたかな? 最近我が国の傭兵部隊の邪魔をする輩がいると有名ですよ。……それで、そんな凄腕の騎士様がどうしてこんな辺境へいらっしゃるのか疑問ですねぇ」


「……それはこっちが聞きたいね。あんたはここで……何がしたいんだ?」


「ふむ、……ボスの野望のための下準備と言っておきましょうかね。この私でさえボスがどこまで考えているのか把握出来てはいません。……ですが、邪魔はしてもらいたく無いのですよ」


 そこまで言ってベルウッドは不思議な粉末を噴出した。辺りに漂うそれは見たことも無いほど不気味な色を浮かべながら近くのガレキに吸いこまれるように消えた。


 ……いったい何をしたんだ? 攻撃にしちゃ地味だし、範囲もかなり狭い。……近くのガレキに吸い込まれて行ったな。こう言う時はとりあえず攻撃を仕掛けたいところだけどまず動くことが出来ないし、いくら押してもレーザーが発生しないって事はイベントの進行中と考えて良さそうだ。つまり待つしか無いんだよな。……⁈ 動いた? ……あぁ、そう言う効果か。あの粉末厄介だな。


 クロードがじっと様子を伺っていると見たことも無い不気味な色の粉末を吸い込んだガレキが、ガレキだったものが意思を持って動き始めたのである。今や目の前のそれは元々そう言うモンスターであったかのようにこちらをじっと睨んでいるのだ。


「……今噴出したのはネミリア王国が技術の結晶。モンスターを強制的に支配下におくもの。名を〔マインドジャック〕。これを使えばモンスターを強制的に支配する事が可能。……分かりやすく言えば、モンスターをネミリア王国の傭兵にすることが出来ると言う訳です。そしてこれの最も素晴らしい特徴は既に生き絶えたモンスターにも適応だと言うことですよ」


 ……生き絶えたモンスター? つまり目の前のこいつは元々はモンスターだったって事か。……ちょっと待てよ。これさっきまでガレキだったよな? そしてそれが今モンスターとなって動いているってことは……!


 思わずクロードは周囲を見渡していた。視界に映るガレキの数は少なく見積もっても10以上は存在しているだろう。そしてテレジコ空域全体で考えると下手すれば100以上かもしれない。1体1体がどれだけの強さかは知らないが、とても1人では対応出来ない量であることは明白である。


「……ふふ、察しが良いですね。そうです、そこらじゅうに漂っているガレキも同じように支配する事が可能なんですよ。……もっともさすがに分裂したものは不可能ですから実際に支配下におけるのは多く見積もっても3割ぐらいですがね」


 ……それでも約30体。1人で相手は絶対にしたく無い量だ。


「こいつははあくまでその内の1体に過ぎないですが、あなたの実力を測るには丁度良さそうだ。……ふふ、あなたの戦い見せてもらいましょうか!」


 ベルウッドのその声を皮切りにしてガレキだったものがクロード目掛けて突進を仕掛けて来た。これに反応して素早く回避するとクロードはレーザーで胴体を撃ち始めた。しかしまるで手応えは無い。どうやら見た目以上に装甲が厚いようだ。


 読んでくださりありがとうございます。

 恐らくここに辿り着くまでに戦ったモンスターたちも多かれ少なかれこの〔マインドジャック〕を使われたに違いないですね。突如動き始めたガレキだったモンスター。単体で厄介であればあるほどその数が脅威になりますが、果たして……。

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