プロローグ
読んでくださりありがとうございます。この作品は主人公である蔵元和人が新作VRゲームである『E・L・K』をプレイする様子を主に主人公視点で楽しむものとなっています。良ければ楽しんでいってください。
スマートフォンを取り出しては同じサイトを見ては閉じる。蔵元和人はその無駄でしかないことを実に30分程行っているのである。開いているのは宅配便の追跡サービスのウェブサイトである。30分程前に今日届く予定の荷物が家の近くまで運ばれたことを通知してから彼はずっとこの調子である。
自分の部屋の椅子にでも座って待っておけば良いのに蔵元は玄関のすぐ近くで壁にもたれかかって待っているのだ。玄関のチャイムを鳴らした瞬間に蔵元が扉を開けたので宅配便を届けに来た男がかなり驚いた顔をしていたのは言うまでもない。それだけ手に入れたくて仕方が無かったのだと心の中で言い訳をしながらさっさと受け取って扉を閉めた。
「……いやぁ待ちくたびれちゃったよ。でもついにこの作品が出来るようになったな。抽選が外れたらどうしようかと思ってたよ」
届いた段ボールを玄関先で開けて蔵元は中身を取り出すとそれを見て満足気な表情を浮かべていた。彼の手には『E・L・K』と書かれたゲームソフトのパッケージがあった。発売前から随分と話題になったゲームソフトである。抽選販売になったこのソフトを彼は苦労して手に入れたのである。
「説明書とかは……まあ後で良いよね。早速起動しますか!」
蔵元はソフトを読み込ませると並行して諸々の機器の準備を始めた。全ての準備が完了し最後に起動するために電源をつけた。程なくしてゲームの起動音がして『E・L・K』のオープニング映像が流れ始めた。
オープニング映像が終わればついにゲームの始まりである。NewGameのボタンを押し、彼はキャラクタークリエイトを始めた。
このゲームはさほどキャラクリエイトが豊富では無い。顔は据え置きで服装の色合いを何パターンか変更出来るぐらいである。もっともキャラクリエイトに微塵も興味が無い彼には何の支障も無いのだが。
「さて、プレイヤーネームだな。……まあ決めてあるのはあるんだけど、一回デフォルトネームだとどうなるのか見ておく? どうせ○○で良いですか? って聞かれるだろうし。……へぇ、デフォルトネームはアリエスって言うんだ。まあ別にアリエスでも良いんだけど……、やっぱり決めてある名前で行こうかな。それじゃあ始めていきましょうか!」
こうして蔵元和人改めクロードの『E・L・K』の物語が始まったのであった。
E・L・KはElectronic・Link・Knightの略であり本作品の中心的存在である操縦出来るロボットの事です。キャラクリエイトこそ豊富ではありませんがE・L・K自体の種類は豊富になっています。