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私たちも!

 首が無くなったナオの体の中には、まだ残っている内臓があります。出荷するには、全部取り出してしまわなければなりません。

 ですが、それは後回しです。今のナオの切腹を見ていた二人、十分にショックを受けているでしょう。これ以上を見せるのは、むご過ぎます。立派に切腹を果たしたナオの最後の願いを叶えてあげなければなりません。


 その二人の方を見ると…。ああやっぱり。吐いちゃってるし、涙でグチャグチャ。

 ナオの方を映していたカメラが私を向きます。


「ウショマゲアテッフホニクラハリタフ、テエナカヲイガネハデ。タシデクプッセナトゴミ」


 見事な切腹を果たしたナオに報い、二人を楽に逝かせてあげるということです。


 ですが、なんですね…。


 なんでなんですかね……。


 その当人たちが、とんでもないことを言い出してしまったのですよ!!


「「私たちも、切腹します!」」


なんてね。


 あのね。折角ナオが自らを犠牲にして、あなたたちを楽に送ってあげられるように頑張ったのに、それを無にするの?

 …と思ったら、違うのです。その権利を放棄する代わりに、以後のニンゲンたちの待遇改善を要求してきたのです。


 当然、もう殺すのを止めろなんて言っても受け入れられないのは二人も分かっています。なんてったって、食肉用として飼育されている訳ですからニンゲンは…。

 ただ、こんな風に残酷に殺すのはやめて欲しいということです。単に痛みを伴う殺害だけでなく、むごたらしい場面を見せつける精神的な苦痛も含めて。


 いや、それが出来れば、私も嬉しいですよ。でもですね。この残酷な屠殺も、鬼社会の要求があってしていることなんですよ。


「私には、そんなことを約束する権限はありません。ですが、私もニンゲンです。出来ることなら、同胞に苦痛を与えるようなことはしたくないのです。

お二人の願い、確実に実現させると約束はできません。しかし、この牧場の屠殺の担当者として、私の可能な限り苦痛を与えないよう努力させて頂きます。

そういうことで、如何でしょう?」


「結構です。それで、お願いします」


 折角の楽に死ねる権利を放棄し、自ら切腹すると申し出る二人。確実に相談して示し合わせてのこと。昨晩二人で話して決めたのでしょう。いや、ナオも入れて三人で、かも…。

 ナオを非難させて追い込むために同じ場所の牢に入れたのですが、そんな相談を…。全く想定外です。だからこそ、ナオもあそこまで凄い切腹をやって見せたのでしょうね。

 誰が言い出したのか分かりませんが、本当に凄い子たち。その覚悟、受け取りましたよ。


「よろしい。切腹を許可します」


「お、おい、美玖。良いのか?リューサ様には一人分の切腹許可しかもらっていないだろ?」


 切腹すると、どうしても内臓に傷がついてしまいます。内臓も商品。傷がつけば、商品価値が落ちるのです。

 カリさんは、それを心配しているのですね。


「大丈夫です。責任は、私が取ります。…っていうか、リューサ様のちょっとした弱みを握ってますので、平気です」


「弱み? なんだそれ……。でもまあ、お望みの切腹動画が三本も入るとなると、あの変態社長は喜ぶだろうしな」


 ちょっと、カリさん。今の問題発言ですよ。カメラ回ってますからね。『変態社長』は完全アウトでしょう。

 まあ、人語での発言だし、編集でカットしちゃうでしょうけどね。編集するのはカリさんですから…。



「はい、では、どちらからしますか?」


「わ、私から…」


 手を挙げたのはマミという白首輪の子。もっとも、既に首輪は外してあります。斬首するのに邪魔でしたのでね。


 とんだことになってしまい、段取りが狂ってしまいました。

 ここからは打合せと違う、行き当たりばったりです。

 取り敢えず、最初と状況が変わってきましたので宣言のやり直しをしましょうか。


「スデイワイサラタシマ・・・・・・

 …(見事な切腹を果たしたナオに報いて二人は単に斬首するだけのはずでした。

しかし、二人はその権利を放棄するかわりに、以後の屠殺にてニンゲンを苦しませないようにすることを求めています。

私は、自分の出来る範囲で、そうして行く様にすると約束しました。

皆さまは、どうお感じになるでしょうか?

美味しいお肉となって食卓に並んでくれるニンゲン。せめて生きている間は幸せに。そして、最後の場面も安らかであって欲しい。

この二人の願い。感じて頂けましたら幸いです)」


 急遽切腹することになったマミ。自分たちで言い出したこととはいえ、すっごく不安顔だし、思いっきり、悲壮感漂わせてる……。

 これって、多分この子は、この件にしても巻き込まれたって感じなんでしょうね。一番年少だしね。

 つまり、言い出しっぺは、もう一人の子。赤首輪だったハルなんでしょう。

マミは、巻き添えの巻き添え。いやはや、可愛そうに……。


 正座し、ナオがしたようにお辞儀します。


「マミと申します。お願いします。どうか、以後はニンゲンに苦痛を与えないよう、どうか、お願いします。

替わりに、私が切腹させて頂きます。私の命と体、鬼の皆様に捧げます」


 このセリフも、相談して決めたモノでしょうかね…。


お読み頂きありがとうございます。

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「美玖、負けるな!」「美玖、ガンバレ!」とお感じ頂けましたら、評価・感想・いいね、お願い致します。

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