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赤首輪と夕食

 その後の話によりますと、食肉にする人間は、12~20歳ころが一番美味しいのだそうです。特に商品価値が高いのは女で、男より美味しいとのこと。さらに、本当は飼育品よりも天然モノが断然美味いんですって。

 ちなみに、人間界に行って人間を狩ってくることは固く禁じられていますが、迷い込んできた人間は食べても良いのだそうです。

 そういう迷い込んだのが、天然モノってことなんですね。


 えっと、私は今、15歳です…。オマケに女……。

リューサさんも言っていましたけど、まさに美味しそうな食べ時なんですよね。

 更には、貴重な天然モノってことじゃない!


 となると、赤首輪は、天然モノの極上肉って意味?

 特別に扱って超高級肉として売るってことなの?


 いやいや、でも飼育されていた人にも少数ですが赤首輪がありましたよ。

おかしいよね。あの中の人間は、全てこの異界で産まれた者だって、確か言っていましたよね。念のため、双子さんに再度確認してみますと、それに関しては間違いないとのこと。

 それにリューサさんは、私は食べないと明言してくれています。

ということは、食肉とは別の区分ってことですよね。

 じゃあ、どういうことなんでしょう?


 食肉用でも、労働力でもない…。その他……。う~ん…。

 あ、もしかすると、愛玩動物用だったりとか?

 ほら、人間でも、ミニ豚とかをペットとして飼ってる人いるでしょう。あんな感じかも。

食肉用に交じっている赤首輪の子は、特に可愛い子だったよ。だから、この候補なのかもしれない。

 私はリューサさんのお屋敷内で生活することになるって言われています。つまり、リューサさんのペット扱い。

 で、あの混じっている牧場の赤首輪の子は、愛玩動物して販売予定ということなんじゃない? きっと、そうよ!

 そういうことなら、嫌われないように精一杯尽くさなければなりませんね。

でないと、待っている運命は、白首輪に付け替えられて、高級お肉ちゃん……。


 そんなの、絶対、ぜ~ったい、嫌ですよ~!!

 



 夕ご飯……。

 食堂には大きな机。だけど、席は二つだけ。

 リューサさんが先に坐り、私も席に着くよう促されます。イマさんカリさんは一緒には食べないようです。従者だからですかね。

 じゃあ、私は同席させてもらってよいのかな。ペット(なのかな?)の分際で…。

 どうしても落ち着かなく、迷いましたが直接聞いてみることにします。


「あ、あの、私だけこんな待遇してもらっちゃって、良いのでしょうか?」


「ふふふ~っ。オーケーよ~。だ~って~、あなたは希少な天然モノなのよ~。天然モノは自由にしていなきゃね~。同じように飼育シチャッタら~、天然モノとしての価値が落ちちゃうじゃな~い」


 え、えええ~!

そ、それって、やっぱり最後は食べるの前提発言に聞こえますけど?!


 う、うう~ん。でも、この語尾を延ばす話し方…。私を怖がらせて面白がっている風でもあるし、真意はよく分かんないな……。

 リューサさんは続けます。


「だからね、ここの塀で囲まれている部分内だったら、あなたは自由に行動しても良いわよ。

但し、塀の外は絶対ダメ。あっと言う間に河童に捕獲されて食べられちゃうからね」


 今度は語尾を延ばさない。ということは、真面目な話ですね。


「それから、中に居る時も、なるべくその区域担当の鬼の近くに居なさい。念の為ね。

特に農場は、別の意味で襲われる可能性もあるからね」


「え? 別の意味?」


「そう、別の意味でね。まあ、ナユがシッカリ統制とってるから、めったなことは無いはずだけどね。そうなったらそうなったでも、構わないと言えば構わないし…。まあ、念の為ヨ。

さあ、もういいでしょ。食事にしましょう」


 ナユ? そうなったらそうなったでも構わない?

 いや、襲われて構わないなんて、冗談じゃないんですけど……。

 疑問点は多々ありますが、この場では、このお話は打ち切りになってしまいました。



 食事の給仕はイマさんカリさんがしてくれます。いつもはメイド鬼ちゃんの仕事のようですが、今日は特別ということです。

 ナイフとフォークが置かれ、洋食スタイルみたいです。が、箸も用意されました。


「使いやすい方で食べて良いわよ。何にも遠慮はしなくてよいからね」


 リューサさんのお言葉。


 そうは言われてもですね。これ、明らかに試されていますよね。

だって、リューサさん、興味深そうに私の手元を見てきますもん!


 リューサさんには箸は用意されない。じゃあ、私もナイフとフォークにした方が良いですよね。慣れてはいませんけど、一応作法は知っていますからね。

 あ、だけども、こっちの世界の作法と、向こうの作法が同じとは限りません。

であるのなら、箸という選択もありなのかな…。

 困ったぞ。どうしよう……。


 まあ、いいや。気にしすぎると余計に混乱しちゃいます。


 迷いながらも、「郷に入れば郷に従え」ってことで、結局ナイフとフォークを使うことにした私。箸は横へ除けます。

 そんな私の心の葛藤もリューサさんは見透かすように、ニヤッと笑います。


 前に置かれたのはサラダ。茹でたブロッコリーと生野菜です。この世界ではサラダからという順番のようですね。

 リューサさんは目を閉じて合掌し、唱えます。


「スマキダタイ、シシャンカ ニミグメノンテ。

天の恵みに感謝し、頂きます」


 食事前の感謝の言葉? あ、私も言わなきゃね。

 同じように言えばよいかな?

でも、前半の意味わかんなかったし、覚えきれなかった。

 じゃあ、私なりに、ちょっとアレンジして……。


 手を合わせ、目を閉じて、


「天の恵みと偉大なるリューサさんの御慈悲に感謝し、頂きます」


 目を開け、チラッとリューサさんを見ると、またニヤッと笑っています。

なんだか自分でも恥ずかしくなって目を逸らしました。


お読み頂きありがとうございます。

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