目玉!2
・・・・・。
う~ん。
え~っと~。
・・・・・。
そ、その~、まだですか~。
長いですよ~。もう何分も経ってますよね~。
私、だいぶ頭のオミソ吸われ続けてますけどね。まだ意識あるんですよね~。
あの~。出来れば、もうそろそろ~、息の根止めて欲しいんですけどね~。
早いとこ、心臓なんか、ブチっと取り出しちゃってもらえませんかね~。
首をザックリ斬り落とすなんてのも、良いかもしれませんけどね~。
……あ、あれ?
私の脳(?)をチューチュー吸っていたイマさんとカリさんが私から離れます。
さあて、いよいよ、ですか……。
どんなふうに解体されていきますかね。
出来れば、一思いに首を切ってもらいたいかな。
痛みを感じなくなっていると言っても、このまま内臓出されたりするのを感じるのは、やっぱり、ちょっとゴカンベンかな。
でも相手は何と言っても鬼ですからね。やっぱ、ここは残酷に、お腹裂いて、ジワジワと死の恐怖を感じさせてくるんでしょうね……。
うん?
目玉の無くなった右の眼窩に、何かがコポコポと注ぎ入れられた。
冷たい液体みたいなものが、結構タップリ…。
あれ?なんか、奥の方が、熱いような感覚……。
あ、あれ、ナニ? 唇の感触?
へえええ~! 眼窩にグニョッと何か大きな弾力あるモノが入ってきた!
右目の奥が熱い!
あ、あれ、今度は左の方にも液体が入れられる。
中が熱い感覚…、そして、唇の感触と、おっきなモノが押し込まれる感じ…。左目も熱い!
「大丈夫か、美玖」
「もう少し、我慢して」
この声はイマさんカリさん。二人が布を当てて、私の両目を押さえてる?
その向こうでは、ガラガラガラッ…ペッと、うがいをする音。リューサさんですね。ということは、さっきの唇の感触はリューサさん?
「どう、美玖。それそろ良いはずだけど。目を開けて良いわよ」
リューサさんの声。私の目を押さえていた手が外されます。
恐る恐る目を開けると…。
み、見える!見えるよ!
それもハッキリと。眼鏡してないのに!!
「どうだ、見えるか?」
「大丈夫か、美玖」
両脇に居るのはイマさんカリさん。
「へええええ?! 見えますよ、スッゴク綺麗に!
っていうか!何ですかこれ!
私、てっきり…、もう食べられてしまうのだと思って……。
もう、絶対ダメだと思って……。
ふ、ふ、ふ、ふええええええ~ん!!」
「あらあら、泣いちゃった。ちょっと、悪戯が過ぎましたかね。ごめん、ごめん」
「ごめんじゃないですよ~! ホントに怖かったんですから~!!」
「そお? 途中から全く抵抗してなかったし、なんか、もう、『どうぞ食べてくださいませ』って雰囲気、醸し出してたけど?」
「冗談じゃありませんよ~。目玉取られて見えなくなっちゃったら、諦めるしか無いじゃないですか~!
ジュルジュルと脳ミソを吸い出されているみたいな感触だったし~!
治すつもりなら、最初っから言って下さいよ! 悪ふざけにも、程があります!
酷過ぎます! イマさんと、カリさんも!!」
「スマン美玖。許せ。でも、よく見えるようになったのだろう?」
「美玖は眼鏡が無い方が美人だ。だから、絶対こっちの方が良い」
「う~っ!! だからっ!そういう問題じゃないっ!!
二人に裏切られたと思ってました!! 酷過ぎます!」
「許せ。リューサ様の鬼ジョークだ。臣従の証を差し出したろう。絶対に裏切らない」
「そうだ。裏切ったりはしない。だけど、美玖の血、スッゴク美味しかったぞ。御馳走様」
「ふううううう~っ!!」
見えないうちに何をされていたのか……。
吸い取って出された私の左右の眼球は、ビーカーの中に入れられていた薬品に漬けられて、本来の正常な機能の眼球に戻されたのだそうです。
だけど、この眼球治療には五分ほどの時間が必要。その間私は、眼窩に溜まる血をイマさんカリさんに吸われ続けていました。勿体無いというだけの理由で…。
そんなこと知りませんから、私は勝手に脳ミソを吸い出されているのだと思い込み、更にはその後にどんなふうに解体処理されてゆくのかと、勝手にオゾマシイ妄想を膨らませていたのです。
眼球が回復したところで眼窩には例の極秘治療薬が流し入れられ、治った眼球は再度リューサさんの口に含まれ、私の眼窩に押し戻されたのでした。
「そ、そういえば、私、目玉を摘出されたのですよね。で、出血もしてッて…。
それ、普通は痛いでしょ? 何で痛くなかったの?」
「あら、痛い方が良かったの?
夕食に痛みを感じなくなる薬を混ぜさせたのだけど……」
「え、えええ~。 ・・・・・他には何か変な薬混ぜてませんよね…?」
「うん、大丈夫よ。今のところはね」
い、今のところ……。絶対なんか混ぜる気だ……。
全くもって、信用して良いのか、信用しちゃいけないのか、分からない。
鬼って、やっぱり怖い~!!
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