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3分読み切り短編集

チンして食べてね

作者: 庵アルス

 休みだからと惰眠を貪り、起きる気になったのは午前九時過ぎのこと。

 寝すぎて、却って調子の悪い頭を押さえながらリビングへ行った。父は出張中、母は実家の用事のため、リビングはがらんどう。

 ご飯を食べたら図書館にいかなくてはならない。頭には返却していない本と、読んでおきたい高校受験のハウトゥー本が過ぎる。

 食事にするにも米は炊いていなかったので、食パンを二枚焼くことにした。オーブントースターで三分セットする。

 ポットのお湯でインスタントコーヒーを淹れようとして、食卓にメモ書きを見つけた。母の走り書きだ。

『冷蔵庫に昨日のシチューあるよ

 チンして食べてね』

 そういえば、昨日の夕飯はシチューだったなと思い出した。トースト以外に調理する気にもなれなかったので有難い。シチューは陶器の器にひとり分が入っていた。

 そのまま電子レンジに移して、ふと思い留まる。オーブントースターと電子レンジを、同時に使うとブレーカーが落ちるのではなかったろうか。

 確か、電力の契約アンペアがどうこうとかで大丈夫だったりそうじゃなかったような⋯⋯と考えるが、第一にブレーカーが落ちるとめんどくさい。調べるより、三分待った方がマシだ。先にコーヒーを淹れた。猫舌なので、半分だけ淹れて牛乳を足したカフェオレだ。

 カフェオレを啜る間に、チーン、と音がして、トーストが焼けた。熱さに怯みながら皿に取り、シチューを電子レンジに掛ける。二分くらいでいいだろう。

 待っている間にテレビを点ける。なにか見ようかザッピングしたが、興味がない番組ばかりで、電源を切った。

 ふと、母のメモにもう一度目をやった。

 そして首を傾げる。

 母のメモが、なにを指示しているのかは理解できる。

 けれど不思議なのだ。

『チンして食べてね』の、『チン』ってなんだろう?

 そんなことを考えていると、電子レンジのタイマーが終わり、ピー、ピー、と甲高く鳴った。

2020/09/21

ウチのレンジも現在のは「ピー」って鳴ります。

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