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9話 魔王軍の襲撃に備え

 店を出てしばらく街を散策していると、集会所の方がやけに騒がしい。


 一体何があったのか?気になってしまい僕は慌てて集会所の方角に向かった。


 集会所から少し離れたレストラン・ナリヤの立地に文句を言いたいくらい走り疲れた。



 集会所に着いた。


 とりあえず何があったのか、聞いてみよう。


 しかし、現世ではアニメ、ゲームオタク陰キャだった僕はおどおどしながら近くの冒険者に聞いてみる。


「あの、すみません何かあったんですか? 」


「それがな、たいへんなんだよ」


「何がですか? 」


 僕が尋ねた冒険者はとても焦っている様子で答える。


「魔王が、魔王軍が予定よりも早く攻めて来てるんだよ! 」


 僕はここであれ?と思う。確か、エルシーは魔王軍は一週間後に攻めてくると言っていたはず。なのに、そんなゲームのような突発的な出来事があるのかと少し関心する。


「そんな! 大丈夫なんですか? 」


「大丈夫なわけあるか。上級冒険者や王宮騎士団は皆、かなり慌てている。それに、何より準備が出来ていない」


 やはり、予定よりも早い進行なのか。


「勝ち目はあるんですか? 」


「わからない。何より皆、冷静じゃないから」


 それもそのはずだ。逆に冷静な者は魔王軍の内通者だと怪しまれるだろう。


「こんなことはいつもあるんですか? 」


「今回が初めてだ! 」


「僕は、冒険者になりたてなんですが何か力になれますか? 」


「やめとけ!君のような未来ある若い冒険者はこの世界に必要だ。だから自分の命だけ、しっかり守っていろ! 」


 中々強い口調だ。


 まぁ、それほど危険な相手だということだ。


 この街の冒険者はある意味で優しいのかもしれない。


「わ、わかりました。では、生きていてくださいね! 」


「おぅ、まかせろ! 」


 こうして、僕は集会所を後にし宿屋へと向かった。


 急いで部屋に戻って、エルシーにこの事を伝えなければという思いにかられ、全力疾走で戻る。


「タッタッタッタッタ」



 僕は急いで部屋に着いた。


 額に汗を垂らしながらも気にしている余裕はない。


「エルシー、大変だ! 」


 息が苦しいながらの一言を発する。


 その様子に気づいたのかエルシーは慌てた様子で僕を見る。


「どうかしたの? 」


「魔王軍が予定より早く攻めてくるんだ」


「そ、そんな。大丈夫なの? 」


「今、上級冒険者や王宮騎士団が急いで襲撃に向けて準備してるみたい」


「なら、私たちも襲撃に備えましょう」


「だが、魔王軍はかなり危険だと集会所にいる人に言われた」


「でも、街の人々を守らないと! 」


 エルシーは正義感の強い女性だ。


 僕は集会所の冒険者に言われるがままこの街の人々を見殺しにするところだった。


 そんなことは僕も後から後悔すると思い、魔王軍との戦いに向き合おうと思った。


「そうだな! ならエルシー、戦いの準備をするか? 」


「うん! 」


 早速、二人は宿屋を出て武器屋へと向かった。



 やっと、着いた。


「おじさん、私にありったけの銃弾を売って! 」


 焦った表情と息を切らしながらの言葉に武器屋のおっさんは状況を察知し、力強く言った。


「いいが、一箱30発が520箱になるぞ! 」


「わかったわ」


「それよりエルシー、魔王軍と戦うのか? 」


 多分、今日一日で武器屋のおっさんの所に何人もの冒険者が来たのだろう。


 だからなのか、エルシーを気遣うように聞いていた。


「戦うんじゃなくて、この街を守るため」


「わかった。なら、弾は狙撃銃用、アサルト用に520箱。それと、魔法銃用は確か弾はいらないよな? 」


「うん。ありがとう、おじさん」


 そんなに銃を持っていたのか?僕は思わず口にしてしまった。


「エルシー、そんなに銃を持ってたのか? 」


「そうよ、おばちゃんの店に使ってない銃はあずけているの! 」


「なるほどな」


「エルシー、弾はこんなもんだが。金はあるのか? 」


 弾を買い占めるエルシーにお金の支払いを心配する武器屋のおっさん。


「おじさん、いくらになる? 」


「少なく見積もっても大金貨3枚(金貨30枚)だ! 」


 凄い額だ。


 とても、僕たち二人がすぐに払える額ではない。


「借金じゃダメ? 」


 案の定、エルシーもそんな大金を持ち合わせていなかったみたいだった。


「いいが。んー......」


 武器屋のおっさんはしばらく借金を許可するかどうか迷っていた。


 すると、店に誰か入って来た。


「ナバルさんじゃないか! 」


 武器屋のおっさんはナバル・ガリアスの登場に驚いていた。


 そういえば、このおじいさんは仮にも元王宮騎士団長でサーファリアル全土を守ってくれていた最強の剣士だという事をすっかり僕は忘れていた。


「久しいな! 元気にしておったか」


 ナバルさんは僕に話しかける。


 僕は嬉しくて元気よく返事する。


「はい! 」


「なんだ、ナバルの旦那。知り合いだったのか」


 ナバルさんを旦那呼びとは、相当仲のいい間柄なのだろう。


「あぁ、そうじゃ。それより、お金が足りないんだろ。なら、わしが出してやる! 」


「だが、大金貨3枚だよ! 大丈夫かい? 」


「まぁ、昔、王宮騎士団でお金だけはたくさん貰ったからな」


「でも、かなりの額だぞ」


「ほれ。大金貨3枚だ! 」


 太っ腹にも程があるほど気前のいいナバルさん。


「確かに、頂戴したが本当にいいのかい? 」


「あぁ、誰かのために戦おうとする冒険者を支援してやるのも元王宮騎士団長の務め」


 ナバルさんは気前だけでなく人間しっかりしている。さすがは元王宮騎士団長と感心していた。


 あんな大金を軽くだせるなんて。僕なら多分出さないし、出そうとも思わないだろう。


「ありがとうございます。これで、街を守れます! 」


「頑張るんじゃぞ! わしも少し手を貸してやるから、三人で街を守ろうや? 」


 ナバルさん直々の剣技が見られるかもしれない。僕はワクワクし始める。元王宮騎士団長のあの噂の妙技。剣すら見えない剣さばきを見るチャンスがくるなんて……。


「いいんですか? 」


「あぁ、かまわん」


「なら、私の銃を取りに一緒に行きましょう」


「そうだな」


 こうして、三人は武器屋を出てレストラン・ナリヤへ向かった。


 ナバルさんとエルシーは魔王軍との戦闘に緊張感をすごく感じる。


 一方、僕はナバルさんへの剣技に興味津々で場違いにも程がある雰囲気を出していると感じている。

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