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13話 宴

 軽やかなスキップをし、若干の疲れを感じつつも宿屋にたどり着くも、やけに長かったなぁと感じる。


 長く感じるのは宴に対する好奇心からだとは分かっているもののこの世界を住み心地のいい世界だと感じるようになってしまっているので仕方がないことだと思っている。


 僕達は部屋に入った。


「ふぅ、疲れたぁ〜! 」


「お疲れ、仁」


「エルシーも」


 僕達は自分のベッドに吸い込まれるように横になる。


 また、雑談をしながら時間が過ぎていくのを待った。


「そういえば、どこで宴をするんだ? 」


「広場よ」


「ヘェー。ちなみに、王宮騎士団も来るの? 」


「多分来れないと思う」


「どうして? 」


「だって、街の復旧とか、他国に報告しなきゃいけないからね。色々やらなきゃいけない事があるのよ」


 王宮騎士団は言ってみれば街の防衛省みたいな立ち位置にあるため、街の有事の際は率先して、戦いに出たり、街の復旧をしたりする何でも屋のようなものらしい。


「たいへんなんだな」


「そうね」


 僕もこの戦いでナバルさんの真似事ではあるが慣れない剣技をしたためか今まで使っていなかった体のあちこちの筋肉が痛む。


 なので、寝て回復させたいところだ。


「まだ時間があるから、少し寝てもいい? 」


「いいわよ! じゃあ、私はシャワーを浴びるね」


「わかった。一旦お休み」


 かなりの体力と精神の消耗ですぐに眠りについてしまった。


「zzz zzz zzz zzz zzz 」


 大音量のいびきをかいて僕は寝ている。



 夜になり、そろそろ広場に行く時間となった。


 いよいよ宴なのだが僕はまだ眠っていた。


 エルシーはやっとシャワーを浴び終え魔王軍との戦いで疲れ果てているであろう銃の手入れをしていた。



 エルシーの手入れが終わった頃。


 エルシーは空が暗くなっているのを見て焦った。


「仁、もう夜よ! 」


「ウニャ、ムニャ」


 僕は寝ぼけて寝言までゴニョゴニョと言っている。


 そして、相変わらずといっていいほど寝相が酷い。


「起きて、宴の時間よ! 」


 エルシーは僕の体を揺らしながら言った。


 僕は寝ぼけてはいたが体が揺れているのを感じ、地震かと思い、ようやく目を覚ました。


「エルシー、おはよう」


「おはよう。じゃなくて、もう夜なの! 宴の時間なの! 」


 エルシーに宴の時間と言われ、僕は飛び起きた。


「エルシー、急いで行こう! 」


「当たり前よ! 」


 エルシーは半ばキレながら答えた。


 しかし、僕は寝起きで走るのは嫌だと思い

テレポートを可能にしてと願った。


 すると、自分の姿が消えそうになったので

エルシーの手を強引に掴んだ。


 この時の僕は寝ぼけててあんまり覚えてはいないが側から見ればかなり男前だったと思う。

 

 僕達は広場までテレポートすることに成功した。


「仁、まさか、テレポートが使えるの? 」


「まぁな」


「すごいわ」


「とりあえず、宴を楽しもう」


「そうね」


 僕達は宴を満喫していた。おいしい食事、おいしい飲み物、それに、この世界でまだ知らないことなど色々な冒険者の人達から聞くことができた。


 すると、お酒を飲んでいるナバルさんを見つけた僕は手を振りながら大声で叫ぶ。


「ナバルさん」


「おぉ。やっと来たのか」


「はい。疲れていて、少し寝ていました」


「まぁの~。あれだけのスキルを発動すればかなりスキルポイントは減るからのぉ」


「スキルポイントがあるんですか? 」


「あぁ−、皆それでスキルを発動して戦っておるんじゃ」


 知らなかった。また、この世界の事を知るいい機会になったと嬉しくなる。


「そうだったんですか。ちなみに、どうやって確認出来るんですか? 」


「カードに今のスキルポイントが記されておると思うぞ」


 ナバルさんの言う通りならと思い、カードを取り出しスキルポイントを確認する。


 確認すると今のスキルポイントは300。


「仁、スキルポイントは多分120くらいじゃないかの? 」


「ナバルさん、300です。ほら、見てください」


 ナバルさんはカードを見る。


「本当だ⁉︎ そして、レベルもかなり上がっておるぞ」


 ナバルさんに言われるがまま僕は再びカードを見て、レベルを確認する。


 レベル52。


 どうして、そんなに上がっているんだ。


 僕は信じられず顎が外れそうになった。


「すごかったじゃろ」


「はい。信じられません」


「こんなに上がったのは、わしら三人で一旦チームを組んだからじゃな」


「チームを組めばレベルが早く上がるんですか? 」


「そうじゃ、経験値を分配しておるんじゃ」


「つまり、エルシーが中堅クラスの魔物を倒していったことで経験値の伸びがかなり良くなったということですか? 」


「それもだが、仁もかなりの数を倒しておった。つまり、その両方じゃわい」


「なるほど」


「だが、良かったのぉ」


「はい」


「それより、今日は宴を存分に楽しもうとするかの」


「ですね」



 街の皆が広場で飲み食いをし、たわいもない話をしている。


 魔王軍と戦争をしたというのにその後とは思えないほどの賑わいを見せていた。


 僕は中々幸せになったもんだなと改めて感じる。今まで友達と呼べるような人間が誰一人としておらず、何のために生きているのかさえも分からなかった。


 だけど、結果として人を助けて死ぬことになり、こんな幸せを味わえるなら死んでよかったと思う自分がいた。


 そして、時は流れ宿屋へ戻ろうとエルシーを探した。


 すると、エルシーは幸せに浸り眠っているのだった。


 よし、エルシーを背負って帰るとするかな。僕は歩きながら帰っていった。


 エルシーを背負っているが重くはなかった。なんというか、女の子だなと思う。


 だけど、魔物と戦うだけの筋肉はあるようで足はムキムキしている。



 しばらくすると宿屋に着いた。急いで、部屋に戻り、エルシーをベッドへと移し、そっと布団をかけておく。


 疲れたとは思うものの今日はいい話も聞けたことだし結構良かった。


 僕も、お腹いっぱいのご馳走を食べたことでまた眠気が襲ってきた。


 僕はベットに横たわり、今日はやはり疲れているなと実感しすぐに眠りに着いていた。


 グウスカといういびきをたてて。

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