エピソード1【ここはどこ】
タイトルを変えて連載小説にしました。
野球が好きなのでなんとなく書いてます。
真夏の昼、ギラギラと照らす太陽の光が俺を焦がしていく。顔から雫が流れ落ち、雨のように滴っている。
「こんな暑い日にハローワークかぁ」
俺は火山照人かやま てると。22歳で無職。無職というが、3年ほど介護士をしていて1週間前に辞めたばかりだ。理由は上司によるパワハラ。面倒な仕事を押し付けて、自分だけは煙草休憩をしたい時にする。何か起こると俺のせいにし、暴言を浴びせられた。誰も助けてくれず、退職した。
「なんで虐められた俺が苦労してるんだろう」
そう頭で考えながらハローワークで説明を受けた後、家に向かって歩いていく。家に帰り、リビングに行くとテレビがついていた。見てみると、大好きな野球が映し出されいる。毎日テレビを付けてみているほど大好きだ。広島人ということもあり、カープの大ファン。赤いユニフォームを着て、カンフーバットを持ち、テレビの前で全力で応援をする。そうすることで苦しかったことを乗り越えてきた。
「頼むぞ鈴谷! 4番の一発を見せてくれ!」
「チャンスでの打率.321ならいける。ここで逆転してくれ」
カキィーン
テレビの向こうでボールがバットに当たり、飛んでいく。それが柵を超え、テレビの観客と一緒に火山もはしゃぐ。だが、いつもは違う感情に襲われる。
「俺って何してるんだろうな。野球の道を諦めて、必死に介護の勉強をして、有名な介護施設で順風満帆に行けると思ってたのに」
パワハラで苦しんでいたとは言え、仕事を失ったという虚無を感じていた。仕方のないことだと周りは言うが、先の見えないことに不安や焦りが隠せない。その時あることを思う。
あの時、もし野球の道を諦めていなかったら
そう頭の中で考えていると、声が聞こえてきた。
ならば、そうしてみるか?
ピカーン
頭の中で声が聞こえてくる。
次の瞬間、テレビから眩い閃光を放ち一面を光が包んだ。
「なんだ!」
目を開けることすらできない閃光。何が起こったのか理解できない様子。しばらくすると、少しずつ周りの光が無くなっていく。まだ完全に目を開けることができないが、光が消えていくうちに大勢の声が聞こえてくる。
「…あと一人で…歴史に名を…」
だんだん声もはっきりして、周りもはっきりと見えてくる。そこには信じれない光景が広がっていた。
「頼むぞ火山ァ!!」
「あと一人で完全試合だ!!」
球場の中ような所に居て観客が火山の名前を呼び、その声が球場を響かせる。
「完全試合って何言ってるんだ。ここはどこなんだ」
何が起こっているかわからずパニックになり、その場から急いで離れようとする。
ザッ
砂のような音が下の方から聞こえる。足元を見てみるとそこは
テレビで見たプロ野球のマウンドだった。