第一部:序
あらすじでもかきましたが、中二病全開です。
完結できるかしら?
いつからだろう、眠るのが怖いと感じるようになったのは。
いつからだろう、帰りたいという思いに支配されるようになったのは。
絶対に戻ってなるものかと決めていた世界で、私はまだ踊っている。触れるものすべてを砂塵へと変える死のダンス。
ああ、もう、終われる――――
目に映る世界は赤一色で、見上げた空さえもどんよりたれこんだ夕暮れ。
理性というリミッターの外れた頭は、敵味方の区別なく動くものを無に帰していく。
そこかしこに倒れる人の形、宙を舞う銃弾、虚空を見つめる瞳。
広がるのは目に入っても認識できない世界。
途切れぬ黒衣の大群を見つめながら、数刻後には私も地に伏しているのだろうとか、なんと楽しいひとときだろうかとか、あの頃はみんながいたなとか、脈絡もなく飛ぶ思考の最後にやはりあの男の言ったことは正しかったのだと実感する。
まだみんながいたころ、世界がこんなに壊れてしまう前。
少しくらい思い出に浸ってもいいだろうか?
高校入学を一週間後に控えたある時、パーフェクトスリーパーをつけ忘れて寝てしまったことがある。
その時はただ、久しぶりに夢を見たせいか寝覚めが悪かったことを覚えている。
また数日後、疲れ果ててスイッチを押し忘れたことがあった。
この時は夢は見ず、ただ白い空間に迎え入れられる残影があっただけだった。
入学式を終えて数日後、スイッチを押したにもかかわらず夢を見、うなされ飛び起きた。
この日から私はーー私たちはーー帰ってこれなくなった。
翌々日の新聞の一面は、全国各地の眠り病の子供たちの話題がさらっていった。
私がいる世界について、私たちは何も知らない。
不定期に戦いーー私たちはセッションと呼ぶーーが起き、必ず何人かが死ぬ。
無傷であったことなど一度もない。
不思議ではないかもしれないが、学年が上がるにつれて母数は減り精鋭ぞろいになる。
無作為で選んだ1年生が2年かけて淘汰され続けた結果だ。
減った人員は毎年補充されるが、生き残った3年生は卒業していく。
19歳は一人もいない。
ある男が言っていた。
これはできの悪いシミュレーションゲームで自分たちはただの駒で、マスターの気まぐれで戦わせられて死んでいくのだと。
あるいは、何かのデモンストレーションで、私たちを使って演算しているのだと。
なるほどと思った。
より高次の存在が遊んでいると思えば、諦めもつこう。
奇妙なことに、この世界のプレーヤーにはランキングがついている。
セッションのたびに更新され、装備や資金が優遇される。
所属するチームもいくらか優遇される仕組みだ。
細かいことは割愛するが、なるほど、さながらRPGそのもののようだ。
一点違うのは、セッションが終わるまで、現実世界の私たちの体は眠ったままだということだ。
いや、語弊がある。
一晩眠っている間に、セッションが一回終わる。
何日続こうが、すべて一晩の出来事なのだ。
初日のみ、3日ほど必要としたようだった。私たちは3日間眠り続けた。
ありがとうございました。
カメ更新で頑張ります。