善意が呼ぶもの
習得した灼熱魔法。
その圧倒的な温度で敵を焼き尽くす。
しかし、温度を上げるまでまだまだ時間がかかってしまう。それに火の温度はまだまだ上がるはずなのだ。これで灼熱とは。解せぬ。
並行発動は魔力で身を守っていたために習得できたようだ。知らず知らずのうちに2つ発動する練習になっていたのか。
だが、これは便利だ。同時に2つの魔法が使える。何が出来るか考えるだけでワクワクしてきた。
そして、オルファンの知らないところで目出度い事があった。
森の入り口で村人達の相手をしていた高橋、仙石の2人が村人の娘と結婚する事になったのだ。
オルファンがお金を出して、2人には農村に家をプレゼントする。不自然な「移動離宮」はあげられない。家が建つまで時間がかかるが、2人ともおめでとう。
2人は家が建つまでは今まで通りに森の入り口に住むが、家が建った後は農村に住む。
2人がいなくなった後に代わりに住む人を考えないといけない。この国に亜人はいない。混乱を避けるために亜人を住まわせるわけにはいかない。
誰を住まわせるか、それが問題だ。
小さな小さなライ王国。
オルファンから受け取ったダンジョン産の宝物を友好の証として周辺国に贈っていた。出来るだけ良い物を贈って喜んでもらおうとしていた。多くの国は喜び、謝礼としてライ王国では珍しい海の幸や織物を返した。
だが、1国だけ違った。他国にそれだけの物を贈るのだ。ライ王国はもっといい物を隠し持っているに違いない、と考えた。
その国、ポッド王国から「財宝を寄越せ」という使者がきたライ王国は恐怖した。その思考が理解できず、渡さなければ攻め込むという使者の言葉にだ。
窮したライ王国は森の賢者に相談する。
相談されたオルファンは頭を抱えた。何故、他国に贈ったのか理解できない。各国に贈れば、ライ王国には何かありますよ、と教えるようなものだ。
ライ王国の人の善さを読み間違えた。
ポッド王国は何を言っても納得しないだろう。
ポッド王国はミカサ王国からすれば小国でも、ライ王国からすれば大国だ。攻め込むルートは険しい山越えしかない。普通なら無理だが、命令なら実行するのが軍隊である。
ポッド王国はシャーロット王女が知っていた。元は豪族の次男だったバーバード。兄と父と叔父を殺して豪族になったのが16歳。周辺の豪族を滅ぼして盟主となったのが24歳。国に反逆して、3度の敗北を乗り越えて国王になったのが30歳。
それから10年。バーバード国王は「戦いを好む」と言われるように戦争を繰り返していた。
総兵数は5000を超えるが、他国への進攻には3000ほどを繰り出している。
対してライ王国は兵士が30。国民は1000人もいないだろう。
戦わなくても負けが解る。
逃げるか?
いや、「義を見てせざるは勇なきなり」なんだよね。それに皆が逃げる事に納得しないだろう。
仕方がない。戦争だ。
山越えの難所に砦を設置する。ここを通らなければライ王国に行けない以上、必ず戦いになる場所だ。
設置場所の広さの関係で小さな砦しか設置できない。30人くらいしか入れない。居住性を無視しても60人くらいか。だが、鉄門を二重にしたり防衛用の兵器を配置して防御力は高めた代物です。
砦の前に木柵や木戸を造作していく。柵の周りにはオルファンが土魔法で堀と土壁を造りあげる。
逆茂木を設置して完成。
「死地を任されるは武士の誉れ。」
勝手に長沼三徳が戦う気になっている。
「この砦には50人くらいしか入れない。この砦で3000人を相手にするのは無理だ。まずは・・。」
「オルファン様は戦を解っておられぬ。戦は数でするものにあらず。」
そう言われると反論できない。
大将、長沼三徳。
副将、湯浅新六。
恐竜人5人。蟻の蟲人50人。
治療要員、オルファン。
いや、オルファンが加わる事は却下された。
砦から追い出されてしまう。
「ここで敵を挫きまする。その後は国獲りでござろう。オルファン様はここにいてはなりませぬ。万が一にもこの砦を抜かれましてもオルファン様が後ろに控えてくだされば安心でござる。」
国獲りも確定ですか。




