思惑
王都、王城奪還並びにバラン公爵の死は王国とその近隣諸国にすぐに伝わった。
皆が気付いた時には竜牙兵などいなかったため、オルファンと侍達で成し遂げた偉業という事になっている。
王都を抑えたシャーロット第1王女の動きは早かった。即座にクロウ第1王子に使者を出した。
「英雄オルファンの活躍により王都、王城の奪還を行い、謀反人バラン公爵を討伐いたしました。至急王座につき、論功をお願いいたします。」
と、自らの功績のアピールと王座を狙う意思がない事を公的に示した。
功績をアピールする事により、他の貴族への褒賞を控えさせる狙いもあった。
私的な手紙には3姉妹とも無事である事等が書いてあった。
堪らないのは上司を殺害しながら派閥を乗っ取れず、さらには王女達も手に入れられなかったガストン伯爵である。
今更クロウ第1王子の陣営には行けなかった。
すでに充分な陣営となっており、ガストン伯爵軍だけで合流しても手柄にもならない上、印象にも残らない。
むしろ、王女達を探していた分遅い合流になってしまう。
悩んだ彼が出した答えは第3王子シャムスを担ぐ事。最近は心を病んでいるが、いや、病んでいるからこそ御輿にはちょうどいい。
ガストン伯爵はシャムス王子の元へ向かうのであった。
荒廃した王都では治安、瓦礫の処理、食糧問題、衛生問題、町割りから防衛など問題は山積みされている。そんな中でオルファンは王女達に別れを告げて立ち去ろうとしていた。
だが、人手が欲しい王女達が手放すわけがない。
逆に内政に関わると国から離れられなくなる事がわかっているオルファンとしては逃げ出したいのだ。
「はっきり言います。迷惑なんです。私はこの国に組み込まれるつもるりはありせん。」
もはや敬語なんて関係ない。はっきりと拒絶する事が大事だ。
「先王陛下から戴いた女性達もいりません。なんなら宝石や財貨も返します。自由にしてください。」
対する王女達も必死だ。
「王都には民を装った賊もいます。問題も山積み。オルファン様は私達を見捨てるのですか。」
泣き付かれると弱い。
半年の約束で王都復興を手伝う事を約束する。
まずは本当に先王陛下から貰ったものを返す。
半年後には王都には留まらないという意思表示だ。
逃げ出す際には女性達は邪魔になる。
それに対して恩賞を丸ごと返された国は赤っ恥だ。
「復興にお役立てください。」
とまで言われたのだから。
さらにはオルファンは王城に宿泊する事を拒絶した。王都の外で民とテントで宿泊しだした。
女を使っての引き留め工作を警戒していた。
だが、仕事はしっかりとする。
侍達を総動員して治安維持に当たり始める。
魔神崇拝の占い師を集めて寄付をし民心の安定に努め、神殿関係者を通じてグローシアを呼び出して莫大な寄付と引き換えに王都内の死者の埋葬等を依頼していく。
原資は勿論王城の隠し部屋で手に入れた金である。
さらにはグルーンのマグリットを通じて食糧を調達する。大商人トーマスに連絡した方がいいのは解るが筋は通さなければ。
テントの中でパソコンが光る。
「異世界に来て1年になりました。これより3日間のウルトラスーパーセールを開催いたします。」
「異世界に来て1年。おめでとう。君はまだ生きている。プレゼントを送ろう。異世界ライフに役立ててくれ。」
「異世界に来て1年になるのぉ。妾からの贈り物じゃ。」
知らない間に1年が過ぎていました。




