森を抜けて
名前:
称号:迷い人
レベル:1
状態:記憶消去
スキル:ガチャ(ユニーク)
???
???
???
加護:
まず名前がない。状態が記憶喪失ではなく記憶消去って何?スキルの???って何ですか?
ガチャに関してはスキルとして認識したら理解した。1日1回引ける。
出てくるのは日本の戦国時代の人のカード。
このカードは同じカード同士で4回まで覚醒できる。覚醒では大幅な基礎能力強化とスキルアップ、スキル取得ができる。
具現化でこの世界に現れるがカードに戻す事はできない。具現化したらガチャから同じカードは出なくなる。
具現化した人は自分に対して高い忠誠心を持つが、絶対ではない。
そんなところだ。???はオルファンでもわからないようだ。「キクナ。」と言われた。
加護は神や精霊からの祝福だという。
世界に招かれたのに、世界からの祝福がないのは何故だ。
「タメサレテイルノダ。」
だそうです。
名前は狼がくれました。
オルファンです。
「カンシャセヨ。マヨイビトユエニトクベツニユルス。」
名前を貰いました。
そして森から追い出される事になりました。
いや、森にいろと言われても困るけど。
餞別も貰いましたよ。
「ワレハツカワヌ。」
昔、オルファンに挑んだ者達の持ち物だそうです。
布は朽ちて金属製の物だけが残っている。
立派な剣や槍があるがその存在感に圧倒される。
「イマノキサマデハムリダ。」
その様です。
普通の剣、槍、ナイフ等を貰ってスーツケースのキャリーに括る。硬貨もあるが価値がわからない。
とりあえず持っていく。
金属鎧は重すぎて運べない。
刀身が30センチくらいの大きな鉈を腰に差す。
「イズレヨブ。ソノトキハコイ。」
そう言うと狼は姿が消えた。
え?放置?森の出口まで送るとかないの?
まずは安全の確保だ。ガチャをする。
ここで知謀型や子供が出たら詰む。
身の安全のためにも武勇に優れた人を引きたい。
現れたのはC「万見仙千代」図柄は少女だろうか。
詰んだ。
カードの裏面には説明がある。
「織田信長の小姓。側近として活躍した。
有岡城攻めで戦死。」
それだけ?
Cはコモンだろうか?
小姓という事は男性か?
側近として活躍って何をしてたの?
どのような人でも独りでいるよりはいい。
「具現化」
目の前に10代前半の少女のような少年が現れる。
袴に小袖といった格好であり、図柄の通である。
透き通る白い肌が妖しい色気を漂わせる。
「主様、万見仙千代、参上いたしました。」
持っている武器は刀と脇差しだけのようだが。
「武器や防具はある?」
「こちらに」
いつの間にか弓矢を持っていた。
どこに隠していた!?
「それは小姓の秘密にございます。」
目を伏せ、照れるように頬を赤らめる。
・・・。まぁ、いい。
明るいうちに森を抜けよう。
前を弓矢から槍に持ち変えた万見仙千代が進む。
自分は右手に鉈を持ち、左手に持つ青銅の槍を杖にしている。不思議な事に人にも獣にも会わない。
2時間も歩けば森を抜けた。
森を抜けた先には小高い丘がある。
そこに登ると少し先に道が見える。
キチンと舗装されていない土の道だ。
「主様。」
後ろで仙千代が弓矢を構えていた。
「身を潜めください。」
仙千代の弓矢の先には牙を生やした兎がいる。
立て続けに矢を放つ。矢が刺さる。
「良し!!」
思わず叫ぶ。
「まだです!!」
矢が刺さった兎は痙攣しているが動いている。
さらにその影から3匹が飛び出してくる。
1匹じゃなかったのか。
矢で1匹が仕留められる。
残りは2匹。仙千代は槍に持ち変えている。
1匹を穂先で突き、もう1匹を石突きで突く。
石突きで突かれて動きを止めた兎も槍で突く。
あっと言う間であった。
「あの兎に止めを。」
矢が2本刺さって痙攣している兎だ。
俺は鉈を振り上げる。
(ごめん。)
力一杯に降り下ろした。
田舎で鶏をしめた時を思い出して少し悲しくなってしまった。
兎の処理を終えた仙千代がやってくる。
「レベルが上がりました。それと夜営の準備をいたします。よろしいでしょうか。」
日はまだ沈んでいない。しかし、自分では夜営等わからない。
「うん、任せる。何をしたらいい?」
「いえ、お任せを。」
現代人って無力だな、と思いながら1日目の夜を迎えようとしていた。