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籠城戦の始まり

ゴーストには通常の物理攻撃は通用しない。しかしゴーストの攻撃は通用するのだ。目の前をゴーストに追い掛けられた探索者が逃げていく。

「ヒャヒャヒャ。追いついちまうぞ~。」

あれは遊ばれてるなぁ。横目でそれを眺めながら考える。時期は前回より早いが、これは人為的なものだ。ゴーストが何もないところから突然現れるはずがないのだから。

つまりだ、つまりだよ。ドラゴンゾンビもいるかもしれない。

ドクン!

心の音が早くなる。

ヤツがいるのか。

勝てるのか?弱気になる。

いや、勝たねばならぬのだ。勝つのだ。


オルファンが決意を固めている頃、都市側も都市を攻撃する別の存在にようやく気付いた。

「ウッドゴーレムにクレイゴーレム。ストーンゴーレムとアイアンゴーレムもかよ。」

人の倍もの高さがあるゴーレム達が見つからないはずがなかった。

「こっちにも人員を要請しろ!!俺はゴーレムなんて倒せんぞ!」

都市の警備兵が慌ただしく動き出す。特別なゴーレムはいない。しかし、ゴーレムは1体1体が強い。

「あぁ、この戦いが終わったらあの娘に結婚を申し込もう。」

その呟きを聞いている者はいなかった。


オルファンが借りている別荘にも魔物が迫っていた。周辺には別荘が集まり私兵もいれば、巡回する警備兵もいる。それらの兵と魔物の戦闘が始まった。

その音、その悲鳴はファッシュ達にも聞こえてくる。

「ど、どうしましょう?」

ファッシュはすでに逃げ腰である。装備品は手入れに出していて、今はろくな物がない。オルファンが持ってこない限りはどうしようもないのだ。

「俺が行くさぁ。」

のんびりとした声があがる。

「元々、素手で戦うんが俺ねぇ~。動きにくい鎧も要らんしねぇ~。なんなら下着も要らんさぁ。」

竜人ワンドはゆっくりと扉に向かう。

「殿さぁが戻るまでは、やってみるさね。」

扉を閉めて下着を脱ぐ。

「さて、何が来るんかね。」

戦闘準備は整った。

「何も着ないと気持ち良かねぇ~。」

彼は・・・変態であった。

血の匂いが漂う。悲鳴が飛び交う。魔物から逃げ惑うご婦人方は、竜人ワンドを見て更なる悲鳴をあげる。そのご婦人方を追い掛けてきたのは金棒を持ったオーガであった。

「フオォォ!!昂るねぇ!!ここでオーガ!!しかも3体も!!あぁ、快感!!」

変態は言葉使いまでも変わり、変態度に磨きをかける。

「War!War!War!さぁ、楽しませろ!!」

竜人ワンドは股間を隠す事なく殴りかかった。対するオーガは金棒で迎撃する。ゴン!!という音がして金棒の一撃がワンドの肩に入った。竜人の鱗は斬撃には強い耐性はあるが、衝撃はそのまま伝わる。相性がいいとは言えないのだが・・・。

「あぁ、この衝撃!!これこそ戦闘・・・。もっと!もっとだ!もっと打ち込め!!俺に生きていると実感させろ!!戦っていると実感させろ!!俺を殺してみせろ!!」

叫ぶ。叫ぶ!!拳と金棒の打ち合いが始まった。血飛沫が飛び金棒が唸りをあげる。竜人ワンドは3体のオーガ相手に一歩も引く事はなかった。


貴族の使者を嫌がった者達はダンジョンに逃げ込み、要請に応じた者達は既に都市を出立している。都市の戦力は今が一番落ちているのだ。都市としても犯罪奴隷を買う等で数を揃え始めてはいた。それでも数が足りない。ダンジョン内部に救援を要請しようにも深い階層まで行ける者は少ない。都市は救援なき籠城戦を戦おうとしていた。

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