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荒れた国内

荒れた街道に馬車を停め、本陣と成す。拡がる草原には無数の獣や魔物がいるだろう。

「ほ、本当に戦うんですか?」

ファッシュは怯えている。こんな時に胆が据わっているのは女性達だ。クレアやヌーラは勿論、アラルやソフィアの方がきびきびと動いている。今までの旅の中でもその傾向はあった。それは如実にレベルに反映されていた。

何度も戦闘で死にそうになった経験がそうさせているのだろう。敵が近づいてきたらファッシュは逃げ出してしまうのだ。完全に超遠距離戦でしか戦えなくなっていた。はっきり言えばお荷物なのだが見捨てられない。一緒にいれば情も湧く。何より薬草や木の実の採取は楽しそうにするし、雑用も進んでする。悪い人間ではないのだ。


それに対して無言で獣を狩るのがソフィア。作業をこなすかの様に淡々と狩り続けている。アラルは積極的に戦うわけではないが恐怖を見せる事はない。

そして竜人は昼も夜も関係なく奮戦する。オルファン自身も魔法を駆使して大量の魔物を討伐していた。またオルファン達を恐れた賊達は草原から逃げ出す事にもなった。


そしてその頃、ミカサ王国において。

ミカサ王国内に侵入したアテナイ軍のうち、パージェス将軍率いる6千の兵が前線後方の物資集積所を急襲し、奪取した。対するミカサ王国は5万の軍を派遣。ミカサ王国軍は夜襲を受けて損害を出し、物資集積所をエサとした策にはまり敗走した。

その報せはすぐに前線に伝わり、前線は裏崩れを起こして崩壊。アテナイ軍はミカサ王国内への進攻を開始した。


「そろそろミカサとアテナイが戦争を開始した頃か。ミカサ王国が勝つにしろ、巻き込まれたくはないんだよなぁ。」

星空を見上げ、焚き火の側でぼやく。理想は脱法都市グルーンで好きに生きる事だ。いずれはあの「花」にも出会うだろう。そのためにもドラゴンゾンビだけは撃退しなければならない。それさえ凌げば戦争には参加したくない。

「あっ、大氾濫もあったか。」

自分が知っているのはそれくらいか。何をして、何をしなければいいのか。何もわからない。

「まずはパフェ王国の王都に入るか?そこで獣や魔物を売り払うとするか。それからは・・・。」

カトリーナの出身国はだいぶ北になる。行くなら長期の旅路となるだろう。

「王都で買い物をして、ミカサに帰るのが妥当か。」

方針は決まった。


パフェ王国の王都アラモード。城壁は幾つも崩れ落ち、鉄の城門は歪んでいた。子供達が土嚢を運び、老人達が修復をしている。女達は炊き出しを行い、まさに国家総動員である。門の警護をしているのは少年騎士達だ。

「訪問の目的は?」

少年とは言え、任務には忠実である。

「獣や魔物を狩ったからな。それを売り払うつもりだ。後は武器や食料の補充だ。」

馬車に積み上げた戦利品を見せる。

「傭兵の方ですか?我が国は戦力を求めています。城に連絡を入れますので・・。」

「あぁ、すまない。アラモードには休息にきたんだ。商売の話をするつもりはないんだ。次の予定もあるしね。」

傭兵と勘違いされたが、話を合わせて逃げ出す。そのあしで商店をまわり、商談を開始した。結果は全てが高値で売れた。国全体が品薄状態なのだ。特に肉等の生鮮品は通常の倍以上の値がついた。

狩りに出れる者がいないし、他国から生鮮品を持ち込んでいては商品が傷むからだろう。自分が狩ったものだけを売り払って金貨97枚と銀貨62枚の売上になりました。そして買い物だが・・・、高い。服や武具すら品薄で高い。品を作れる職人も前線に行っているため、在庫分しかない物が多いのだ。これでは買えない。王都の中心にある神殿で寄付を行う。

「これでどうか皆に食料を。」

グルーンで貰った報酬から金貨を20000枚寄付した。約200億円分だ。インフレ状態のこの国で何人の人を救えるかはわからないが、飢え死には避けられるだろう。


これで報酬の金は白金貨3000枚、金貨50000枚。所持金は金貨191枚、銀貨5894枚、銅貨1248枚。そして200万G(ゴッド)


「よし、帰ろう。」

さぁ、帰還だ。馬車に揺られてミカサ王国を目指す。戻ればグルーンで買い物をしてダンジョンで修行をしよう。

そしてオルファンは国境で耳を疑った。ミカサ王国が敗走し、アテナイ軍が進攻中だと言う。アテナイ軍は主要都市を素通りして王都に迫った。現在は王都を包囲中である。オルファンが知る歴史とは大きくズレ始めていた。


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