表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
114/131

さらばグスタ

荷物を隠した小高い丘でルーナを降ろす。

「あの。貴族様とどこかでお会いしましたか?失礼ながら覚えていなくて、ですね。」

ルーナが覚えているはずがない。ルーナからしたら会うのは初めてなのだから。

「すまない。俺は君の事もマリアンやジェシカの事も良く知っている。いや、良く知っていた。だけど君は俺の事は知らないはずなんだ。」

ルーナからしたら謎の発言だろう。

また冒険者達の悲鳴が聞こえる。残って黒狼の死体をあさっていた連中だろう。

「この先にある村には寄らずに拠点に戻れ。」

それだけしか言えない。ルーナからしたらオルファンは見知らぬ戦士でしかないのだから。


残っていた冒険者達は死に、オルファンだけが残される。まだ見られている。黒狼か。

今回はマリアンやルーナ達とは他人でしかない。

その悲しみと怒り、ぶつけさせてもらおう。

「ウオォォーン!!」

大きな遠吠えが平原に響く。黒狼達が引いていく。

黒狼にも振られてしまったようだ。


街道を行く商人と交渉をして黒狼の死体を引き取って貰った。こういった場での商売だ。高くは売れない。16体を銀貨150枚で売却して、この先の村までの護衛を銅貨50枚で請け負う。

既に護衛がいる商人だったが、黒狼が出るなら護衛が欲しいとの事だった。この商人には前回は会っていない。恐らくは残念な事になっていたんだろう。

わすが数時間だけの護衛で銅貨50枚。

馬車に揺られての村までの旅となった。

商人と別れた後はグスタの街を目指す。野宿をして到着したグスタの街も懐かしい。

ついフラリとスラムに行きたくなる。だが、スラムの住人もオルファンを知っているはずがないのだ。


街を回るがマリアンはこの街では人気者のようだ。若手のホープであり急成長している。住民達からも好かれている。誰から言い寄られたとかが話題になる事も珍しくないようだ。

ジェシカは便利屋扱い。戦闘では援護しかできないため、普段は雑用係り。住民もジェシカの事を知らない人が多かった。

ルーナはかつては人気もあった。今ではいつ引退するか、宿代が払えなくなって夜逃げするか、程度の話題しかない。

屋台のオッチャン達から色々な話を聞く。

知らなかった3人の姿。未練が出る前に金だけ稼いで街を出よう。


賞金が懸かった魔物を狩り台車で運ぶ。わずか3日で金貨8枚以上。悪くない。だが稼ぎ過ぎると面倒がおこる。それは前回経験している。そうなる前に街を出るか。

今の資金は金貨10枚、銀貨167枚、銅貨83枚。

次は脱法都市グルーンで稼ぐか。

やり直しの世界ではまだ10日も経っていない。

自分が知る次の危機はゴブリン帝国だ。それまでには強くなりたい。

街の出口で出陣する軍隊と冒険者達を目撃した。

「黒狼が出たって言うんで、領主様とギルドが共同で討伐するんだとよ。」

幸い出陣する部隊の中にはマリアン達3人は見当たらない。さらばグスタ。さらばマリアン、ルーナ、ジェシカ。

3人とは今回は連れ添えなかった。はっきり言えば寂しい。だが命を救う事はできたのだ。良しとしなければ。


グスタを離れ脱法都市グルーンを目指す。かつての拠点。されどオルファンを知る者は誰もいないのだ。気をつけなければ。


旅路は問題なく終わる。懐かしきグルーンよ。

戻ってきたと思ってしまう感覚。以前使っていた宿は敢えて使わない。どんなボロが出てしまうか。道行く知り合いに「やあ!」と声を掛けたくなる。

部屋は鍵つきの素泊まりで1泊銀貨1枚。広い1人部屋であり部屋で何をしようが自由だ。清掃を依頼する際は別途銅貨80枚。金はかかるが探索者達からは評判は良かった宿だ。

この宿を拠点にオルファンは金稼ぎを始める。

そうゴブリンの乱獲である。荷車を引いて都市の外に出る。ゴブリン帝国のゴブリン達を襲い、荷車一杯になれば都市に引き返す。この作業を1日に3往復から4往復。

わずか5日でオルファンは都市では有名な存在になる。

「ゴブリンの天敵」

稼いだ金貨は200枚を超えた。

だが、最初の電脳のセールで爆買いをするにはまだまだ稼がなければならない。

オルファンの銭闘は始まったばかりである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ