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目覚めたモノ

ミカサ王国より北方にある国々は長年戦争を続けている。直接争っている国もあれば、同盟国として参戦している国もある。数多の命を消費してなお戦争は終わらない。

国々は疲弊し、時には勝利により栄える。

その中で遺跡などは放置され、口伝も忘れさられていく。ある国に小さな小さな遺跡があった。その祭壇はかつては毎日のように掃き清められていた。それが今では祭壇はヒビが入り、伸びた草木によって破壊されている。その祭壇も大雨によって完全に倒壊してしまった。封じられしモノが目覚め、動き出す。

大陸王蛸(たいりくおうだこ)

そう呼ばれた魔獣。

何をしたのか、何故封じられたのか、どうやって封じたのか。それを伝える口伝も資料も人間族には残っていない。

城壁を遥かに超える巨体が動く。

その日、4つの国が魔獣のエサ場と化した。


北方の国々は震撼し「大蛸」の動きを探る。

互いに争っていた国々に協力して魔獣を討つという選択肢はなかった。

いかに自国を守るか。いかに敵国に魔獣を行かせるか。他国のために兵を失うつもり等なかった。それにたかが一匹。どこかの国が倒すだろう。

だが大陸王蛸は圧倒的な食欲で国を食い散らかしていく。襲われれば都市は崩壊する。投石機も(いしゆみ)も効果を為さない。国々の戦闘内容が共有されないため、どの国も攻城兵器で攻撃をして失敗をしていく。

大蛸の被害が20ヶ国を超え、滅んだ国も出るなか各国は滅んだ国の国土を手に入れる事を考えていた。


それがあるエルフによる声明で流れを変わった。

曰く、大陸王蛸は捕食を続けた後に産卵し、1ヶ月もせずに新しい命が誕生する。その命の数は1万を超える。産まれたばかりの大蛸は2メートルほど。捕食を繰り返して大きくなっていく。

1000年前は産卵を許してしまい、人間族が滅びかけてしまう。人間族はドラゴンやドワーフ、エルフや魔族の力も借りて敵を減らし、封じる事に成功した。その封印は人間族が責任を持って管理する事になっていた。そして今、大陸王蛸の封印が解けて国が滅びている。今の人間族に各種族の力を借りる資格はない。人間族のみで対処し、滅びるなら人間族だけが滅びよ。人間族が滅びた後で各種族は連合を組む。


エルフの声明により時間がない事を知った国々。

声明を信じない国もある。何よりどの国が盟主となり指揮をとるのか。どれだけの国が参加するのか。外交による駆け引きが始まり、そして卵が確認された。慌てて各自で出撃して玉砕し、産まれた魔獣のエサとなる。

ここに至り、ようやく各国は理解した。国が滅ぶと。


その頃、ミカサ王国やその周辺国はまだ魔獣の出現を知らない。話題の中心はサーザン王国が大氾濫に耐えきれるか、だったからだ。逆に北方も大氾濫どころではなかったわけだが。


ここにきて被害国は全ての国に救援を要請する事にした。今までは面子もあり、また、魔獣討伐後の領土配分を考えて救援の申し出を断り続けていたのだ。そして各国が動き出す。

皮肉な事に魔獣が戦争を止めたのだ。

国土を狙う者、名声を欲しがる者、手柄が欲しい者、魔獣への復讐にとり憑かれた者。

様々な国や人の思惑を飲み込んで時代は動く。

世界の加速は止まらない。

魔獣について

基本的には普通の生き物がベースになり、本質が歪められた存在です。

大陸王蛸も蛸がベースです。

魔獣としては戦闘力は高くなく、墨を吐く以外の能力もありません。ただし、その筋力は凄まじく、中途半端な物理攻撃は通用しません。

本来は繁殖を繰り返して数で勝負する魔獣です。

かつての戦いでもドラゴンのエサとなっていました。

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