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大氾濫の終わり

サンドワーム対策として急遽編まれた網が展開される。網が絡まり、サンドワームは砂に潜れない。網にも様々な武器を括り付けてサンドワームの動きを制限するようになっていた。

サーザン王国がサンドワーム狩りを行う時のやり方だそうだ。サンドワームはでかいだけの芋虫になっている。いかに情報が大事なのかがわかった。何も知らなければサンドワームに正面からぶつかって大きな犠牲を出していたはずだ。


サンドワームを片付けてしまえば戦いやすい。

約束として長沼三徳に先陣をきらせたが、3万の連合軍も一緒に続いている。これなら長沼三徳も死ねない。勝利は時間の問題だろう。


魔物の討伐が終わった。

『大氾濫の鎮圧を確認しました。条件を満たさないため英雄の試練とは認められませんでした。』

いつもの声が聞こえる。英雄の功績がなんちゃら言っているが関係ない。この後は祝宴だ。

ネタ要塞を破壊してからサーザン王国の王都へ向かう。報せがあったのだろう。サーザン国王自らが都の外で出迎える。

「待っていたぞ、勇者達よ。国中から美酒を用意した。思う存分飲んでくれ。」

ここからはパフォーマンスだ。

「サーザン国王。約束のお金だ。」

皆に見えるようにお盆10個に金貨が積んである。

「金貨1000枚ある。使いきってくれ。参加できない兵士達にも何か手土産を。」

歓声があがる。

皆で酒を飲み、騒いで盛り上がる。

侍達には香辛料をふんだんに使った料理も、酒も口に合っていないようだ。仕方がないか。

侍達のテーブルに冷えた濁り酒を出す。

「旨い。」

口に合ったようだ。

「これはどぶか?いや、これ程の酒は飲んだ事がない。」

好評だ。ならば食べ物も。燻製豆腐と豆腐の味噌漬けを出す。これも好評だった。

「オルファン王、それは何だ?」

サーザン国王や各国の将軍達に見つかってしまった。

「我が配下への私からの褒美です。手に入れるのに苦労しました。」

ねだられて少しだけお裾分けした。

濁り酒の酸味と甘味。燻製豆腐のチーズのような味と豆腐の味噌漬けの雲丹のような味は好評だった。

商談になりかけたのを慌てて打ち切る。

「今日は祝いの席です。不粋な話は止めましょう。」

酒を飲んで挨拶をする。各国の将軍達とも会話をしておく。

「オルファン王よ、今回は大きな借りが出来た。必ず返そう。」

「今回は各国の力によるものでしょう。」

サーザン国王の言葉は流しておく。


明け方近くに解放され、眠るのを諦めて酒を抜く。

あの2人と話をしておかなければならない。

女性2人は眠れていないようだった。

「ヤマト王国国王オルファンだ。」

・・・・。

返事はない。

少女の頬はまだ腫れたままだ。

「動くなよ。」

聖者の腕輪を使って治癒をする。少女の頬の腫れが消えていく。

「魔法・・・。」

少女達が驚いている。

「見た事がないのか?」

「私達がいた世界にはありませんでした。」

セーラー服を着ているし、迷い人で間違いないだろう。

「少し席を外せ。」

護衛の者達を下げる。

大和撫子風の少女が動いた。鋭い突きを放つがレベル差がある。いや、突きから蹴りへと動きを変えた?だが愚策。自分より速い相手への蹴りは悪手だ。

花相手と同じように軸足を払う。

派手に転倒してスカートも捲れる。

白か。

「馬鹿か。国王相手に攻撃して生きていられると思ったのか?それにお前達が倒せなかったキングスコーピオンを倒したのは俺だぞ?何故勝てると考える?」

怯えているようだが。

「まぁ、いい。全て話せ。それで許してやる。」

2人は高校の同級生。平成10年7月6日に授業が終わったところで意識がとび、気付いたら城の中にいた。死んだ2人も同級生だそうだ。

死んだ1人は有頂天になって暴走、もう1人の男子生徒は暴走した友人に後ろから刺されて魔物のエサにされた。2人は訳もわからず部屋に閉じ籠って、魔物が来たから放り出されたというわけだ。


「で、この世界で生きていけそうか?」

頭の中に花を思い浮かべる。あぁ、バカやって死ぬな。2人は「こんな世界で!」とかわめきだした。

言ってる事は子供の癇癪だ。

「お前ら恵まれてんだよ。まだ奴隷にされてねぇだろ?閉じ籠れる部屋があったんだろ?何もしなくてもメシが食えたんだろ?

俺が会った迷い人は2人とも奴隷だったぞ。さらに1人は戦いたくないのに無理矢理戦わされていた。

お前らは今日からどうやって生きてくつもりだ?

閉じ籠もる部屋?タダで出てくるメシ?

そんなもんが世の中にあるはずないだろ?」

「でも!今までは!!」

「迷い人は戦力として期待される。戦力にならなかったお前らを探しに来たヤツがいるか?ポールって筋肉は迷い人として御披露目されたぞ。」

「戦えれば助けてくれますか?」

今まで黙っていたホンワリした子が発現する。

この子の方が肝が座っているようだ。

「迷い人ってだけでこの世界の人は即戦力扱いするぞ。戦えるのか?」

「私は死にたくはありません。でも怖い事もできません。助けてくれませんか?」

「愛人にでもなるつもりか?」

「それで助かるなら。」

うん、この子は強い。もう1人の子は狼狽している。

「2人とも俺のモノって事にしとく。勝手に出歩くなよ?外れ迷い人でも奴隷としては高く売れるんだ。拐われたら1月もしないで売られちゃうから。」

面倒だなー。また色々あるんだろうなー。

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