表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/131

動き出した波

翌日の軍議は紛糾した。

チリチリスが全てに難癖をつけたのだ。

義勇兵や傭兵の配分、各軍の配置。その全て、ヤマト王国が絡めば反対をする。

「我らの7万が要らぬと言うのなら」

チリチリスの決め台詞だ。


サーザン王国が築いた塁壁にヤマト王国が入る事まで反対したのには驚いた。

「わかりました。ヤマト王国は塁壁には入らない事にしましょう。」

「怖じ気づいて逃げるのか。これだから小国は!!」

「何を言っているんです?ヤマト王国は塁壁より前に陣を構えて敵を迎え撃つと言っているんですよ。あぁ、7万の軍勢で怖じ気づいて逃げるんですか?それなら早い方がいい。戦闘中に逃げられると邪魔ですから。」

「ギルメニ軍は逃げる事などない!!」

「敵が恐くて、逃げやすいように塁壁の最後尾を希望しているんでしょう?私には恥ずかしくて出来ない芸当だ。それともギルメニ軍も塁壁から出て陣を築きますか?あぁ、塁壁の外はギルメニ軍には無理ですね。私も大人げない。魚に空を飛べと言うようなものだ。」

「何だと!!良かろう!!ギルメニも塁壁の外で陣を築いて迎え撃ってやろう!!」

バカだ。


連合軍5万は三重の塁壁で敵を迎え撃つ。それより前線でギルメニ軍7万が左。ヤマト王国100以下が右に陣を構えて時を稼ぐ事になった。

各国の将軍達は心配をして支援を申し出てくれた。

「ギルメニに睨まれたら国許(くにもと)が困るでしょう。」

丁重に断る。

ギルメニ軍は暑い昼間から外に移動して陣の構築に入った。塁壁からも遠目に見える。不様な戦いも卑怯な戦いもできない。

夜になってから人目がない事を確認して移動離宮を設置する。オルファンが考えた「ネタ要塞」、まさか使用する日が来るなんて。

高さ10メートル、厚さ2メートルの鋼鉄の壁に囲まれた要塞だ。外堀にも内堀にも水を並々と湛えている。ネタ要塞であるが故にネタも大量に仕込んである。この世界にはない鋼鉄だけの城壁。


一夜明けた連合軍は大騒ぎになった。見た事も聞いた事もない鋼鉄の要塞が一夜で出現したのだ。

訪ねて来る者に対しては「防御用の罠が仕掛けてあるので遠慮願いたい。」と告げて帰ってもらった。

そしてネタ要塞の失敗が1つ。鋼鉄の城壁が熱されて触れなくなった事だ。階段や城壁の上は滑り止めのために鋼鉄ではない。だが、城壁自体が卵が焼けそうなくらいに熱い。まさかネタで作ったシェルターから出られなくなるとは。


涼しくなり始めた夕暮れ。砂漠は夜には氷点下近くまで下がる。突如夕暮れに銅鑼の音が響き渡る。

大氾濫の始まりだ。サーザン王国の駱駝騎兵がこの決戦の地に魔物を誘導する手筈となっている。


追加で具現化した侍達もいる。

R「板部岡江雪斎」、R「安藤良整」、R「和田昭為」、R「岡本禅哲」、R「伊奈忠次」、SR「大久保長安」、UC「小栗吉忠」、R「安国寺恵瓊」、R「滝本寺非有」、R「上井覚兼」、UC「富田一白」、UC「島田秀満」、C「平古種吉」と内政や外交に優れた人達。

医者のUC「施薬院宗伯」や商人のR「友野宗善」もいる。

武者としてはR「富永忠元」、UC「香西元盛」、R「甲斐敏光」、R「小鹿範満」、UC「今川貞延」も具現化している。

葛西家と大崎家、織田信孝と織田信雄については保留。問題の先送りともいう。

石を投げても、矢を放っても敵に当たる状況になるはずだ。ならば人が多い方がいい。

駆け抜ける駱駝騎兵が声を張り上げる。

「敵は20万以上。想定の倍はいる!!」

ギルメニの陣にも駱駝騎兵が向かっている。

これからが決戦だ。


ギルメニの陣地はテントを張り、木の柵をまばらに設置した程度の物であった。突然の陣の設置であったし、兵達は暑さに疲弊していた。

サーザン王国の駱駝騎兵が敵の数を告げて駆け抜けた。兵達に緊張が走る。予定より早いし、数も多い。砂埃があがる。兵達は祈る。

死よ、死よ。私を見逃しておくれ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ