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迷い込んだら

目が覚めると森の中でした。

ん?何を言っているのかって?

そのままだよ。

出張に行くために列車に乗った。

寝た。起きた。

はい、森の中でした。


周りを見渡すと出張用のバックとスーツケース。

傘は置いてある。

誘拐ではなさそうだ。

続いて財布も鍵もある。時計もつけたまま。スマホも盗まれていない。

ただし、圏外の表示だ。

服装は私服のまま。スーツはスーツケースの中に鎮座している。取引相手へのお土産物無事である。

まずは人里に出て現在地を確認して、会社に連絡を入れなくてはならない。

「警察とか、あっ駐在さんって言うのかな?

いるといいけど。」


明るい方に進んでいく。

深い茂みは傘で凪ぎ払う。

木々によって森は薄暗く、そして爽やかである。

「久々だなぁ、森の中とか。

コンクリやアスファルト以外の地面は久し振りすぎるよ。」

そう言いながらご機嫌だったのは1時間前。

今では肩で息をしている。

我ながら体力のなさに呆れる。


そうこうしているうちに目の前が拓ける。

そこにいたのは大きな狼でした。

え?狼?日本にいた狼は絶滅したはず。

狼?いない、いない。あれ?


「ヒューマンカ、ワレニナンノヨウダ。」

「喋った!!」

どうやら夢だったようです。


「キサマ、ワレノトイニコタエヨ。」

強烈な気配。膝が震える。

腰が抜けて全身が震え出す。

死への恐怖。


「こ、こ、こ、ここは、ここはどこですか?」

まともに喋れない。

狼がフンッと鼻を鳴らすと威圧が消える。

「ワレヤ、コノチヲシラズ、ワレノマエニタッタノカ。」

「ココハ『盟約の森』。ワレハ『神狼の眷属オルファン』、『旧き狼オルファン』。

サァ、ナノルガヨイ。」

「俺、あっ、僕の名前は・・・・・。あれ?」

名前が出てこない。自分の年齢もだ。

嫁も子供もいた。

「行ってらっしゃい。『 』さん。」

「だぁぶ!!だぁ!」

出張前の事を思い出す。嫁の顔も、子供の顔も、霞が掛かった様にウッスラとしか思い出せない。

涙が流れる。

慌てて携帯を見る。電話帳、メール。家族の写真。全てが消えていた。

「ナニヲナク」

話しかけてくる狼に鼻水を垂らしながら言う。

「自分の名前がわがりばぜん。

家族の顔が、家族の家族を。」

大声で泣く男に困る狼がいた。


泣きながら狼に事情を話す。会社や列車は理解してもらえなかった。

だが、自分は「迷い人」と言う存在だとわかった。

「マヨイビトハマネカレビトダ。

セカイガマネク。キオクガモドルカハワカラン。」

「マヨイビトハチカラヲテニイレル。

キサマノチカラハナンダ。」

力より記憶が欲しいです。


この世界では「ステータス」があるそうです。

見れるのは本人のみ。後は神殿や王宮等の特殊な施設を使った場合に他人のステータスが見れる。

ステータスでわかるのは名前、称号、レベル、状態、スキル、加護。

力や速さは疲労などで常時変わるので表示できないと言う。

かつての迷い人にはドラゴンと殴り合った人や、勇者と言われた人、魔王認定された人までいると言う。何したんだよ。

「ステータスヲミロ。」

名前:

称号:迷い人

レベル:1

状態:記憶消去

スキル:ガチャ(ユニーク)

???

???

???

加護:


「ソレガキサマダ。ナイヨウハダレニモハナスナ。

キクナ。」

いや、全くわかりません。

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