6月 閑話
席替えがあり、1グループのみんなとは席が離れてしまった。
でも一番後ろの席なので嬉しい。
「斎藤さん」
隣の席になった、西川くんに声をかけられた。
「英語の宿題やってる?できれば見せてもらいたいんだけど」
「いいよー。間違ってたらごめんね」
「悪いな」
ズルいとかは気にしない方なので、快く応じる。
あ、そう言えば今日は出席番号的に当たりやすいんだよな。西川くん数学の宿題はしてるかな?
「ね、すうがく・・」
「斎藤さん」
あ、相川くんだ。
「さっきの国語の朗読は素晴らしかったよ。いやあ、涙が出そうだったなあ」
「うるさいな。どうせ噛みかみでしたよ。」
「そういえば今日ってずっと当たる日なんじゃねーの?宿題してきた?」
それを丁度今頼もうかと思ってたんだよ。タイミング良いなー。
「ちょっと自信ないんだ。相川くん、数学得意だよね。見せて欲しいなあ」
「いいよ。今度、英語の予習と交換な」
「ありがとうー!」
助かった。
あれ、相川くんこっちの席まで何の用だったのかな。
からかいに来たのか。
***
美術室でのお昼休みは相変わらず賑やか。
「絵理、この間はどうだったの?良彦兄さんの具合は?」
「あ、うんお陰様で。すっかり元気」
「それで??進展は!?」
くい気味に真菜恵が出てきた。
「いや、まだまだ役に立つ妹くらいにしか思われてないから」
「えー?そうかなあ」
「何もしたりされたりしてないの?キスとかー」
小万智が案外大胆な事を聞いた。
「全然っ」
「弱ってるのをいい事に抱きついたりすれば良かったのにー」
と言えば微妙な反応。
「うーん」
「あれ?もしかしてしちゃったの?」
「ハグは結構よくされてるからなあ」
えっ?そういうもの??
それって普通なの?
真菜恵と小万智と私の心は一つだったと思う。