4月 閑話
貝原さん、改め美帆ちゃんはオシャレ女子だ。
肩まである髪はいつもクルンとカールされてるし、睫毛も上を向いていて、スタイルもいい。
最初のグループ分けがきっかけでよく話すようになったが、実は3年生の先輩の彼がいるらしい。
「美也ちゃんは彼氏いないの?うそー」
「いないよー、羨ましいなあ。私も美帆ちゃんみたいにキレイになりたいよ〜」
って言ったらにーっこり笑って言われた。
「美也ちゃん、キレイは作るもの。男は待ってる振りして追いかけるもの、だよ」
「美帆姐さん!」
「美也ちゃんはちっちゃくて可愛いし、目もパッチリしてるから、もっと可愛くなれるよー。私で良ければ色々教えたげる。なんか楽しそう」
ついて行きます。
最強の味方を手に入れた!
***
お昼は相変わらず部活仲間の絵理と小万智、真菜恵でとっている。
私達の部活は美術部なので、美術室で気兼ねなく話せるのが良いところ。
「ね、絵理と美也のクラスはどう?いい感じの人いた?」
真菜恵は恋バナが好きなのでよくこんな話になる。
「まあ悪くないんじゃない?」
絵理は興味が無いからおざなりな返事だ。そこに小万智が様子を伺う様に質問した。
「確か、秋田くんと一緒にクラス委員になったんでしょ?」
「秋田くん知ってるの?」
「去年同じクラスだったから。イケメンじゃない?」
「あんな感じタイプ?なんとなくインテリ系だよね」
「まあ、絵理は近所のお兄さん以外は目に入らないんだろうけどね」
ふう、と小万智がかすかに息をついた。
あれ、秋田くんの事結構本気なのかな。
「美也は?今年は本気出すって言ってたよね」
真菜恵の矛先がこっちに来た。
「まあねえ、でもまだ4月だしさ」
「インスピレーションも大事だよ!第一印象で良い人いなかったの?」
「うーん」
絵理がニヤッと笑ってこっちを見た。
「衝撃の出会いあったじゃない。相川くんと」
「え、相川くんって相川晃一?あのサワヤカ系?」
「そうそう、初日にさ」
「絵理ー!ちょっと!」
絵理が経緯を話そうとするのを止めようとしていると小万智が口を開いた。
「相川くんって、サッカー部でしょ?マネージャーの子と付き合ってるって聞いた事あるよ」
ふーん。
「あ、ごめん。もう気になる感じだった?もしかしたらデマかもだけど」
「違うよー。別になんとも思ってないもん。初日にちょっとあったから少し話す様になっただけ」
「そうかなー」
絵理が疑わしそうに私を見る。
「私は今のところ楽しい話は無いよ!それより、真菜恵はちゃんと先輩と連絡取ってるの?!」
真菜恵は先月引退した美術部の先輩に片思い中だ。それを餌にされて美術部部長になったくらいに大好きらしい。
「なかなか難しいんだー。先輩受験もあるしさ」
昼休みいっぱいまで話が続いた。