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終末世界を変態が行く  作者: 亜細万
三章:新しい旅立ち
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二十一話:カラマワリ・ナグモリオン2

 麦穂のミール、本名は麦野満留(むぎのみつる)と言う。

 ワンダラータウンを拠点にする遺跡荒し(スカベンジャー)傭兵(マーセナリー)の女性だ。

 年の頃は23と、この世界では年増に入っているが、本人は結婚とか、妾になる気もなく、気まぐれにその日暮らしを楽しんでいる。

 今日も酒場で、仕事もせず、朝から安っぽいラガーを楽しんでいた。あくせく働く奴らを見ながら、優雅に酒を飲む。ミールの十五あると言われる悪癖の一つだった。

 そんな穏やかな風景を乱す少女が、一人、席の前に座った。南雲陽子、知り合いで少しばかり可愛がっている少女だ。

 少女が沫を食って酒場に飛び込んで来たのはついさっきの事、またあの変態が何かをやらかしたのかと思ったが違うようで、今日はこちらに用があるらしく。開口一番こう言った。


「ミールさん!」


 息を切らしながらの怒鳴り声に、ミールは瞬きをした。


「まぁ、落ち着きなよ」


 そんな事を言いながら、とうとうあの変態がマフィアやら警備隊辺りと悶着を起こしたか、なんて考えてしまう。


「いいえ、落ち着いてなんかいられません! サイハテが、サイハテが……!」


 ほら来た。

 やはりあの変態絡みだったと、眉を跳ね上げる。

 そして、少女が次に出す言葉によっては、厄介ごとになるかも知れないと身構えるのだ。


「サイハテがマジカルチ〇ポでハーレムキングかも知れないんですっ!!」


 ぱーどぅん?


「な、なんだって?」


 思わず聞き返す。

 誰だってこうする、寧ろしない奴なんて居ないだろう。


「で、ですから! サイハテがマジカル〇ンポでハーレムキングかも知れないんですっ!!」


 ピーヒョロロロと、町の上空で旋回する怪鳥の鳴き声が聞こえてくる。この怪鳥、馬鹿でかい鳶であり、人間を襲う事もあるので注意が必要だ。

 そんな事は兎も角、この目の前にいるお嬢ちゃんは、とんでもない事を口走っている。主に、品がとんでもなく無いのと、要領がとんでもない所に逝ってしまっている。


「えぇと……そりゃつまり、あの変態のマジカルチン〇とやらで、お嬢ちゃんの下のお口が正直でノアの大洪水、ソドムとゴモラって訳かい? いや、寧ろアダムとイヴ? アダムとアダムじゃないだけ、マシだと思えばいいのさ」


 少なくとも、やれば出来る事を証明できると言うものだ。


「そ、そうじゃなくて、サイハテのマジカ〇チンポがハーレムを作って、そこの変態マ〇カルチンポキングになっているかも知れないんです!」


 まだ要領を得ないが、解読するしかないだろう。


「んー、つまりだ。あの変態が〇ジカルチンポでお嬢ちゃんを超神合体セクロスにしたはいいが、そのマジ〇ルチンポの威力でハーレムが出来て、変態はそこのハーレムキング・ジ・ヘンタイになったって解釈でいいのかい?」


 昼前の酒場で飛び交う会話ではない、エロゲーでももう少し分別を弁えるだろう。

 とりあえず、ノリと勢いと自由を知る為のバイブルで会話してみたがどうにもかみ合わないと、ミールは頭を悩ませる。恐らく、最後の要素が邪魔をしているのだろう。

 ここまで話して陽子は落ち着いてきたのか、ぽつぽつと今日あった出来事を騙り出した。

 ようやくすると、研究や機械以外興味がなく、何日も着たきり雀で平気な小さな少女(レア)にも恋心を抱かせているのだから、もしかしたらこの町でハーレムを築いているかも知れない。

 ちょっと情報収集をしてこようとなったとの事だ。

 どうにも、沫食って家を飛び出した勢いのままで、ここに来たらしい。


「なるほどねぇ……」


 物凄くどうでもいい。


「……それで、どうなんでしょう。うちのサイハテは」


 どうでもよさそうなミールに対して、陽子は保護者面談のおかん状態だ。神妙そうな表情で、ミールの言葉を待っていて、何時間でも粘られそうな雰囲気を感じる。

 それにだ。

 あの変態は目立つ、本人は隠す気もサラサラないのか、自らの危険性をアピールするかの如く、この町で暴れ回っている。

 奴はこの町でこう呼ばれている、庭付き襤褸屋の殺人鬼と。

 陽子は知らないのだろう、ここまで沫食ったように全力疾走をしても、その背後を着けられたり、暗がりに連れ込まれない理由を。


「この町における西条疾風と言う人間は、危険の代名詞だって事をさ。お嬢ちゃんは知っているかい?」


 ミールの言葉を聞いて、陽子は目を見開く。


「し、知りません……」


 予想した通りの答えが返ってきた。

 西条疾風と言う人間がこの町でどれだけ恐れられているかを知らないのだ。


「だったらちょっと話してあげるよ」


 勿体ぶるそぶりすら見せず、ミールは追加のラガーを注文する。

 そして。


「話すと喉が渇く、奢ってもらうよ」


 情報料として、そして、けじめとして。


「わ、わかりました。お好きなだけ」


 陽子の言葉を聞いて満足そうに頷いたミールは、手持ちのジョッキに残っていたラガービールを飲みほして、ゆっくりと語り始める。


「最初はよそ者のあんたらをかどかわそうって連中が多かったんだよ」


マジカルチンポ

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