七話:間隙の物語1
すごく短いです、思ったように小説がかけない。
どうやらスランプを迎えたらしい。
オレンジ色のショートボブヘア、瞳も同じオレンジ色だ。出るところは出ていて、引っ込んでいる所は引っ込んでいる少女だ。
「さいじょー、しょーかいする。れあさいえんすいんだすとりーせーのはんよーせんとーめいどろぼ」
その言葉を聞いて、サイハテは表情を歪めた。
何しろ、汎用戦闘メイドロボなんて聞いて、その兵器のコンセプトがさっぱり解らなかったからだ。
歩兵をロボットで代替するのは精兵主義となった現代軍では理想だろう、何しろ精兵を一から育てるよりかは安く上がるからだ。しかし、レアの言った汎用戦闘メイドロボとは、欲張りすぎ、と言うより意味のないものを着けすぎて居るのだから。
「……………………」
サイハテは、汎用戦闘メイドロボとやらを見て、思い切り眉間に皺を寄せる。
(物凄く困ってるわね)
サイハテを見た陽子の感想である。
人類最強、史上最悪の変態であるサイハテにも、弱点らしいものがある。自分では理解できないものを見つけると、物凄く困るのだ、根は真面目だから。
「ふふふ、さいじょーもぼくのすばらしさにことばがでないよーす」
陽子は撫でてもいいのよ、と言わんばかりに胸を張るレアを見て、表情が思わず和らぐ。
サイハテは相変わらず汎用戦闘メイドロボを見て、滝の様な汗を流している。
「そうね、レアは偉いわねー」
レアを抱きしめて、撫でる陽子を尻目に、サイハテは勇気を出して汎用戦闘メイドロボとやらに歩み寄る。
「レア、彼女のスペックを教えてくれないか?」
「うえからはちじゅーきゅー、ろくじゅーさん、はちじゅーなな」
「違う、そうじゃない」
戦闘ロボットとしてのスペックを尋ねたと言うのに、帰ってきたのはスリーサイズだった事に、サイハテも思わずツッコンでしまう。
「あら珍しい、いつもボケっぱなしだと思ってたんだけど?」
「………………」
そして陽子に皮肉を言われてしまうのだった。
「あたしから話しましょーカ?」
唐突に口を開いたのは、汎用戦闘メイドロボだった。サイハテの鋭い視線がそちらに動いて
「頼む」
とだけ短く返答する。
「では、お言葉に甘えまシテ。レアサイエンスインダストリー製歩兵型バトロイド、キ=37デス。標準装備は57mm砲、対戦車ミサイル。護衛艦とかに着いているあれデスネ。パーソナルネームはハルカとありマスネ。これを変更なさいマスカ?」
どうも語尾は変だが、と言うか装備している物も変だが兵器としては優秀……かどうかもわからないが、サイハテはとりあえず無理矢理理解しておいた。
「パーソナルネームはそのままでいい、センサー類なんかはないのか?」
「電子戦機との協調が基本設計だったノデ、搭載されてないデス。光学センサーだけデスネ」
その性能を聞いて、サイハテは考え込む。
何を考えているかは知らないが、どうせ陽子が聞いても解らないので、無視してハルカと名乗ったロボットの元へと行く。
「私陽子、よろしくね」
そう言って手を出すと、ハルカは華が咲くように笑い、陽子の手を取った。
「陽子さまデスネ! コンゴトモヨロシク!」
ロボットと言う割には随分と感情表現豊かで、とてもそうは思えない。これが未来の技術かと陽子は喜ぶ。
腕の中でレアが陽子を見上げている。
「はるか、あなたはさいじょーのしきかにはいる。かれのゆーことをよくきくこと」
陽子から視線を外したレアの言葉に、ハルカは力強く頷いた。サイハテの指揮下と言っても、全員がサイハテの指揮下にいるのだからあんまり意味はなさそうだと陽子は思った。
「よし、全員注目してくれ」
何かを考え終わったサイハテが、手を叩いて注目を集める。
「本日より一週間程休暇にする、全員体をよく休めてほしい」
休暇の言葉に陽子が喜ぶ。レアとハルカの表情はよくわからないが、最近は物資が不足した状態での戦闘及び行軍で消耗が激しい。
そしてサイハテ達が今持っている装備などはワンダラータウンに辿り着いた時より貧弱になっている。
「一週間後は装備収集の為に沿岸にある自衛隊駐屯地に向かおう。前情報無しの探索故、危険度が高い探索になると思うが諸君らの奮闘を期待する。以上、質問がなければ解散」
解散と言われても他に行くところがない、なんて野暮なツッコミは止してほしい。
「はーい、質問」
陽子が手を挙げる。サイハテが手の合図で質問を許可してから口を開く。
「休暇は解るけど、すぐに拠点候補地にむかわないの?」
「拠点候補地までは距離が遠く、現在の装備では途中力尽きる可能性が高い。弾薬と武器の補充は最優先だ」
真面目に話すサイハテを見て、普段からこうだったらいいのになーと、陽子は思う。
他に質問はなかったようで、各々解散となる。
久方ぶりの休暇だ。少しでも体を休めよう。
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