表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末世界を変態が行く  作者: 亜細万
五章:アルファ・クラン
149/284

十話:ダッシュで駆け抜ければ問題ないよね2

「と言う訳で、ダッシュで駆け抜けて、素早く武器庫にたどり着いて、ダッシュで敵を殲滅するぞ」


 隔壁前までアルファナンバーズを連れて来たサイハテは、唐突にそう言い放った。


「いや、どう言う訳だよ……」


 それについてツッコミを入れるのは、このメンツでは比較的常識的なネイトである。


「だから、ダッシュで駆け抜けて、武器庫に行くんだよ」

「だからどういう訳で、そんな作戦になったんだよ」

「お前らの喧嘩で時間を消費し過ぎた」

「オーケー、よくわかった」


 原因は向こうにあるので、サイハテは強気だったわけだ。

 ともかく、おふざけが過ぎていたのは、ナンバーズも理解しているので、それについて講義の声を上げる人間はいない。


「ジーク、ここの見取り図は?」

「出発前、レアから渡されたこれに入ってる」


 駆け抜けるにしても、見取り図が無ければ意味がないと聞いたネイトに、小手のような機械が手渡された。液晶画面のはまった、頑丈そうな小手だ。


「……これは?」

「バイタルデータ等の健康面の管理をするコンピュータ兼、通信機やらハッキングツールやら何やら、諸々入った超高性能なスマートフォンみたいなもの、らしい」

「すっげぇ不安になる説明、ありがとよ」


 ネイトは、嫌そうな表情を見せながらも、それを受け取って腕に付けてみせた。

 気味が悪い位、腕にぴったりとフィットして、違和感を感じさせない軽さの、多目的ツールだ。


「……これ、すげぇな。全く重くない」

「そのサイズで重さは三グラムだそうだ」

「おお、こりゃ凄い」


 ネイトに続いて、ニックも着けて見せて、驚いている。

 他の静観していたメンツ、グレイスとサムも危険は無さそうだと付けて見ては、驚いていた。どうやら、レアからのプレゼントは気に入ってもらえたようで、サイハテとしてはホッと胸を撫で下ろすばかりだ。


「そうか、気に入ったか。ところで、脳が痒くなったりしていないか?」


 何気ない風に出された質問に、四人は硬直する。


「……おい、なんだその質問」


 口火を切るのは、ネイトの役目なのか、彼は恐ろしそうな目でサイハテを見つめている。


「何、神経に直接接続するタイプらしくてな。体にあっていないとアッパラッパーになるらしい」

「それは先に言えよ!! これ、どうやってとるんだ!?」

「脳が痒いのか?」

「痒くねぇけど、怖ぇよ!」

「腕ごと取るしかねぇらしいが……」


 こう言われてしまえば絶句するしかない。

 彼らの脳裏には、何故先に言わなかったのかとか、そもそもそんなもの作るなとか、いろんな言葉が去来するが、彼らの知っているジークに言っても無駄である。


「……まぁ、いいや。じゃあ作戦を説明してくれ」


 それに彼らも優れた諜報員だ、己の肉体は道具と割り切っている為、長くは騒ぎ立てない。己の仕事道具に改造を施された職人の心境なのだ。


「作戦は至極単純、敵を無理矢理突破して武器弾薬を補給し、敵を始末するだけだ。装甲目標はいない、全て人間より少しばかり、頑丈な程度だ。犬の大群だと思えばいい」

「なるほどのう、烏合の衆が敵か」


 グレイスはあまりやる気が無さそうに見えるが、それもそのはず、彼女は爆発させる目標は選びたい性分であり、今回の敵はお気に召さないらしい。


「それでも、俺達は噛まれればアウトだ。気は抜くなよ」

「まっかせてよ。僕らを誰だと思っているんだい?」

「よく理解している、では、行くぞ」


 隔壁の傍にある電子錠を開錠して、分厚い鋼鉄の閉鎖隔壁を開かせる。

 ここはどうしても、開く際にサイレンが鳴ってしまうので、地下に居るグール達を呼び寄せてしまう。土台、隠密任務なんて不可能だったのだ。

 それならば、力づくで突破して、一直線にたどり着ける方が、手間が無くていい。


「よっしゃ、僕が先頭になる!」


 そう言って、ネイトが駆け出していく。

 隔壁の向こうにはサイレンに反応したグールの大群が居る。しかし、あれだけいても、彼に触れる事はできないだろうと、サイハテは予測した。

 案の定、大ぶりのナイフで首を跳ね飛ばされた奴らの死体が、転がり始めている。


「グレイス、サム、ネイトを援護。ニックは俺と後方の敵を押し留めながら前進する。全員突撃」


 残ったメンツは、サイハテの指示と共に戦場へと入っていく。

 薄暗いコンクリート製の通路には、夥しい量の死体と、血痕が溢れていた。 

無双するだけなので、この後はクァーット!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ