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終末世界を変態が行く  作者: 亜細万
四章:かつての街で
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エピローグ:魔女勢揃い

忙しいよぉ

 帰還するなり、嫌な奴にあってしまったと、風音は思った。

 輸送機から降りた彼女の前には、全身真っ白な少女が護衛たる兵士を連れて立っており、煽るような笑顔と共に、両手で手を振っている。


「あーら、まぁまぁまぁ、無傷かしらぁ、グラジオラスゥ?」


 どうやら彼女は根拠地たる兵庫から、わざわざ煽りに大阪までやってきたらしい。


「クイーンの確保にも失敗し、ジークの殺害にも失敗する……まぁーどうなっちゃうんでしょ?」

「ごちゃごちゃと煩い。貴様こそ大阪になんのようだ。ここはわたしが守備を任せられた場所だぞ」


 無表情の風音にも、白い彼女、ナイトメアリリィは動じた様子がない。

 とぼけるように、お上品ぶって笑う彼女だったが、その笑いは背後から近寄ってきた車椅子の少女に止められる事になる。


「メラルカまで来ていたのか」


 メラルカと呼ばれた車椅子の少女から、返事はない。

 彼女はいつもああやって、ずっと寝ているのだ。

 返事が無くともこちらの様子はわかっているらしいので、風音は彼女をスルーして、その背後から来る己の同僚達を睨みつける。


「グラジオラスねーさま! お久しぶりです!」


 風音の姿を認めると、駆け寄ってきたのは傷だらけの紅い少女、ローズだ。

 その背後にいる、地味なのがガーベラである。


「ローズ……それにガーベラも」

「……ふ、ふひぃ」


 彼女は今日も気持ち悪かった。

 風音は勢揃いした魔女達を見渡すと、少しばかり眉間に皺を寄せて、不機嫌そうな表情を作ってみせる。

 各方面に展開している方面軍の軍団長が、大阪に作られた要塞へと終結している。普通ならばあり得ない、各戦線は未だ安定しておらず、散発的な攻勢に悩まされているのだから、方面軍の指揮官たる魔女達は指揮を取らねばならないのだ。


「なんの集まりだ、これは」


 少しばかり不機嫌そうな風音の質問に答えたのは、気持ち悪いガーベラだった。


「か、彼が蘇るって、な、ナイトメアが、言っていた……かも知れません。生意気言ってごめんなさい……」


 彼女が怯えているのはいつもの事だ、それよりも、彼が蘇ると言う言葉は聞き捨てならない。魔女達は指揮官ではあるが、総司令官ではない。

 サバトの全軍を掌握する指揮官は、政治家たる人民評議会(ソビエト)ではなく、今までずっと不在であり、魔女達は好き勝手に戦線を広げて、戦争をしていた。

 しかし、彼が蘇るとなると、今まで通りとはいかなくなる。


「……動き辛くなるな」


 風音はそう呟いて、小さく舌打ちをするのだった。

サバトの政治体制は、その内書きます。

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