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終末世界を変態が行く  作者: 亜細万
四章:かつての街で
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PV30万突破記念小話:サイハテがお引っ越しするようですパート2

短いですが、なんとか書き上げました。

 アフリカに設営した撮影キャンプで、サイハテは荷物を片づけていた。

 密猟者や、ソマリアの海賊を倒した時に得た戦利品が殆どだが、裁判所で裁かれる彼らの証拠になるため、所持し続けている。

 この荷物をこの国の検察官に引き渡せば、サイハテの仕事も終わりだ。

 とは言っても、この証拠品をどうやって確保したか、どこで見つけたかを明確に記載しなくてはならないので、その手伝いをする為に日本から琴音がやってくるはずだった。


「やっほ、ハヤテ」


 噂をすればなんとやら、現地の民族衣装に身を包んだ琴音が、テントの入口で微笑んでいる。


「来てくれたのか」

「うん、ハヤテのお引越しだもん。それじゃあ、始めようか」


 その言葉と共に出される、いらないものいるものと書かれた段ボール箱に、サイハテはがっくりと首を垂れた。


「おい、またか。また俺は変なとこに飛ばされるのか……」

「……うん、ピンクの象さんはお気に召さなかったみたい」


 無茶ぶりをしておいて、酷い奴等である。

 何はともあれ、分別はしないといけないだろう。今回もまた、任務内容から派遣場所まで聞いていないので、彼女の判断に従わないといけない。


「それじゃあ、これ。今回はスマートフォンを使えるのか?」

「これはいらないよぉ」


 哀れ、最新型スマートフォンはいらないBOXへと入れられてしまった。


「その代わり、ハイ、ドーゾ」


 代わりに渡されたのは無線機だ。

 自衛隊の装備品の一つ。背負って使用するタイプの野外無線機に、サイハテは困惑する。


「……なんだこれ、携帯無線機一号じゃないか」

「うん、そうだね。次」


 次を催促されてしまった。

 これに触れる事は禁止らしい。

 ならば、次の物品を探さなくてはいけないだろう。


「じゃあ、これ。陸軍装備一式、国連軍仕様の一式だからどこに言っても……ダメなのか」


 新たに用意した装備一式はいらないものBOXへと入れられてしまった。今回も戦う任務ではないのだろうか。


「今回はこっち使って、自衛隊との共同任務だから」


 渡されたのは、陸上自衛隊が使っている装備一式だった。

 驚く事に、89式自動小銃も支給されている。国外に無断で持ち出すのは禁止されており、89式を所持している軍人は自衛隊位しかいない。


「自衛隊との共同任務なのか……身分は?」

「ネイトが手に入れてくれたよ。一等陸曹の身分だけど」

「上々だ」


 彼女が持ってきてくれた装備一式をいるものBOXへと入れておく。

 自衛官としてなら、これはもちこんでもいいだろうと、あるものを彼女へと見せる。


「なら、これはどうだ。これは持って行っていいだろう? 君の写真だ」


 写真立てに入れた、琴音の写真である。西条疾風は、アフリカの過酷さをこれで紛らわしていたと言っても、過言ではない。


「これもダメ、死亡フラグになっちゃうでしょ」

「……そうか、ダメか……って、死亡フラグってなんだ!?」

「うるさい、次」


 どうやら、答える気はないらしい。

 次の物と言っても、サイハテが持っている私物は少ないし、任務に必要な物と言われても困ってしまう。何かないかとテントの中を探し、なんとか見つけてくる。


「これならどうだ。自衛隊として活動するなら日本国内だろう、財布位ならいいだろ?」

「うーん? それならいいかな? 日本円使えないから、無駄になっちゃうだろうけど」

「日本円が使えないのか……ん!? 日本で日本円が使えないのか!?」

「そうだよ? まだ作られていない時代だろうし」

「時代!?」


 まさか時代なんて単語が出てくるとは思えなかったが、これで次はどこに行くのか予想が出来た。


「……そうか、わかったぞ。俺が行くのは戦国時代だな? そうなんだな?」


 ぴたりと当たってしまったのだろう。

 琴音は俯いて涙をこぼし始めた。


「うぅ~……!」

「……泣く事ないだろう。俺はすぐに帰ってくるさ」


 一体どこの戦国自衛隊なのか分からないが、回収時刻位は教えて貰えるのだろう。


「戦国時代じゃないよぉ!!」


 等と高をくくっていたら、否定されてしまった。

 一体どこに行けばいいのだろうか。


「江戸時代だよぉ!!」

「え、江戸ぉ!?」


 どうした事か。

 自衛隊がタイムスリップするならば、戦国時代がセオリーじゃないだろうか。それがまさかの江戸とは一体全体、何がどうなってそうなったのだろうか。

 そもそも、江戸時代に飛んでも泰平の時代故に、やる事なんてないだろうに。


「……難易度下がる分、いいじゃないか。すぐに行って、迷い込んだ自衛隊を回収して帰ってくるさ」

「うん……早く帰ってきてね? 後、もう報告書に『お前、それサバンナでも同じ事言えんの?』って書くのはやめようね?」

「……それが原因だったか」


 こうして、西条疾風ことジークは、江戸時代に旅立った。

 現地で、迷い込んだ自衛隊と接触し、無事に回収地点まで連れ帰り、偽の名前に偽の身分でサイハテは表彰される事になる。

 一週間ほどの任務だったが、自衛隊生活は楽しかったようで、しばらくその話ばっかりするサイハテに、琴音は呆れたらしい。

もうちょっといいネタを思い付いてから書きたかった……!

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