暗殺識伊
ラバース視点
本当はネーグルが獲物なんて嘘、私の目的はカクタを守る事、何でこんな依頼をされたのかは分からないけど、依頼は完了させないと
ラバース
『ネーグル、覚悟しなさい!』
袖の中に毒針を隠しておく、一刺し出来れば充分
ファイバー
『お嬢さんは私が相手しますよ』
何この人、羽族なのはわかるけど、体中にひび割れがあって崩れそう
ラバース
『あんたは弱そうね!すぐに終わらせてあげるわ!』
一旦距離をとる、本来暗殺者は相手に気づかれてはいけない、私にとっては既に不利ね
ファイバー
『火魔法』
ドカーン!
爆発の魔法ね、上手く爆煙に紛れて毒針を打ち出す
ラバース
『あんたに私がいるかわかるかしら?』
煙が消える前に物影に隠れる、毒が回るまでの辛抱だ
ファイバー
『この部屋には沢山の監視カメラがありますので、お見通しですよ?火魔法』
飛んできた火球を避ける。隠れても無駄ね。それと、あいつは下級と中級の中間位の魔法しか使ってこない、魔力はあまり高く無さそうね
ラバース
『あんたが私の居場所がわかるからって、勝てた訳じゃ無いからね!』
ファイバー
『それはもちろんですよ、火魔法』
ラバース
『やっぱりその程度ね!』
火球を避けて更に毒針を打ち込む、そろそろ死んでもおかしくないし、かなりの痛みがあるはず・・・もしかしたら、こいつには痛覚が無い?
ファイバー
『何をしているのですか?火魔法』
ドカーン!
爆煙が晴れないうちにあいつの後ろに回り込んで背中に触れてみる
ファイバー
『おや?どこにいきましたか?』
やっぱり、痛覚が無いって事は触覚も無い
ラバース
『ここよ!』
ファイバー
『後ろですか!』
あいつは私の方に振り向いた瞬間、私はあいつの首に毒針を打ち込んだ
ラバース
『この毒は人間に耐えられるものではないわ!!』
・・・
ファイバー
『成る程、神経毒ですか』
ラバース
『そんな!?・・・うぐっ!』
首を掴まれた、苦しい
ファイバー
『私の組織は殆どが死んでいます、既に死んだものにどうやって毒が効きましょうか?』
ネズミは毒で殺せるが、石は毒で殺せない。そもそも、既に生きてないからダメージを受けない、そんな状態にあいつは近いんだ。
ラバース
『ダメージが無いんじゃなくて、ダメージを感じられないだけね』
ファイバー
『どういう事ですか?』
ラバース
『肉体が耐えられないと意味ないわよ!』
石を毒で殺せない。だけど、石を砕く事なら出来る
ファイバー
『いったいどういう・・・』
ドガーン!!
実はファイバーの背中には沢山の爆弾を仕掛けておいた。触覚が無いから気付けないし、監視カメラで気付かれないように声をかけて振り向かせた。
毒で殺そうとしたのは嘘、本当はこれを狙ってた
ドガーンドガーンドガーンドガーンドガーン!!
ファイバー
『ぐ・・あ・ああ・・・』
ピシッ・・・パキッ・・・
あいつの姿は崩れていく、やっぱり人間じゃ無いわね
ラバース
『あんたを創ったのは誰?』
ファイバー
『孤独な錬金術師ですよ・・・』
そして、崩れ落ち砂となった