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五話


 ぎゅうぎゅう、音にしたらそのくらいの圧を感じながら……私は目を覚ました。


 「……っん」


 く、苦しいっ!!誰かっ?!まるで窒息してしまうのでは?と思えるほどの息苦しさに、私は思わず身近にあるものを力いっぱい握りしめる。


 「リリィ、……怖い夢でも見たのかの?」


 突然、私の遥か上部から顔を覗き込んでそう聞いてきた夫の顔を見て、犯人はこいつかっ!?と確信するも。ここは自宅の寝室、つまりは夫婦のお部屋なわけで……そんなところで夫の腕に抱かれベットの上で彼の膝に座らされて眠っていたなんて……いつからこの体制でいたのか、聞きたいような、聞きたくないような。わざわざ自分を羞恥の海へダイブさせるようなそんな自殺行為は犯さないけれど、やっぱり恥ずかしいっ!!


 「……どぉら、く、るし」


 そして、この世界の人間は身体が大きいのもさることながら男女ともに握力も半端ないわけで……。いつまでも恥ずかしがっていると気が付いたときにはもう……みたいな事態になりかねないのでさっさと自己申告!!


 「おぉ、すまんすまんっ!……大丈夫かの?」


 言われた夫、ドーラは慌てて腕の力を抜き私をベットへ、そぉっと、横たえた。

 一方ベットへ寝かされた私は、もぞもぞ、とぐるぐるに何十にも巻かれたシーツと格闘しやっとのことで抜け出し、ドーラと向き合う。


 「だ、だいじょぶ?」


 わたしはだいじょうぶ、と言ったつもりなんだんだけど、今度こそちゃんと伝わったな?


 「……あぁ、儂は大丈夫じゃ。リリィは優しいのう」


 いやいや、そういう意味じゃないんだけど。目の前のドーラが嬉しそうに微笑むから……まぁ良いか


 「どぉら、いえ、かえる、いった」


 そう言えば、ドーラ家に帰ろうって言ってたのに……寝室に籠っちゃって皆心配してるんじゃない?マリアンさんもユーユも、きっと顔を真っ青にしているに違いない!!謝らなくちゃっ!!と、そう思ってベットの上で立ち上がったのだけど……


 「っ……」


 「おっと!リリィ、このような不安定な場所で急に立ち上がってはいかんぞ?落ちて怪我なぞしたものなら、皆が心配する」


 ふかふかのベットマットへ足を取られ、ぐらり、とバランスを崩し危なく頭から落ちる所をドーラに支えられ……。

 そう、この世界で作られるベットは当たり前だけど日本人仕様ではないからもう高さが半端ない!!ベットの足が私の腰より高い位置にあるなんて、当然自分一人じゃ上り下りするのも覚束ないわけで、最近になってやっと踏み台を手に入れたんだけど、結局はドーラが抱き上げてくれるからあんまり使われていなかったりする。


 「ご、めんなさい」


 「かまわんよ、リリィが無事ならば。それで、どこへ行くつもりかの?」


 腰を掴まれ、私はベットの上に立ち、ドーラは深く座っていると言うのに。……やっぱり物凄い身長差のせいか、首が痛くなるほど見上げ告げた。


 「ん、みん、な……りりぃ、しんぱい」


 今度は分かりやすい様にわざわざ小首を傾げるおまけつきだ!これなら通じたでしょ?



 「……っ、リリィ、今日はもう遅い。皆には休むようにと、そう告げたばかりだからの。謝りたいのなら明日にすれば良いと、思うぞ」


 おぉ、伝わった!!意味が、意味がちゃんと正しく伝わってる!!と内心大喜びした私だけど。

 なぜか急に顔を赤らめて、私の腰を支えていた手のひらを自分の自慢の白い髭に当て、忙しなく梳き始めたのを見て。私、また何か間違えたのか……?と悩む暇もなく、支えをなくした身体はベットへ座り込んだ。


 「……わ、」


 そして、座り込んだ拍子に巻きあがった風により、太ももまで捲れ上がったスカートの裾を引っ張り直していると……。ふわり、といつの間にか覆いかぶさってきたドーラに押され、気が付けば私はもふもふで優しいシーツへと沈み、そして……。

 とかなんとか流されながら、えぇっ!?何で?!今そういう空気でしたっけ?!私帰ってきたばかりなんですけど!? 本気?!うわぁ、あぁもうっどうにでもなれっ!!……すでに裾を引っ張った意味もなかったらしいスカートは私の視線の先に打ち捨てられている。それを横目で確認し、覚悟を決め、固く目を瞑り……その後、何時も通り私の意識は羞恥に耐えきれえずフェードアウトいたしました、とさ。







 

 

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