プロローグ
初投稿です。
内容も更新もかなりのスローペースになりますが。頑張っていきたいと思っています。
駄文ですが、暇つぶしに読んでやってください。
刃、刃、刃、刃。
それは物を切るもの、あるいは人を斬るために存在するもの。
常日頃平和的に毎日を過ごしていれば見る機会すらほとんど無いそんなもの。
事実ただの高校生である俺は、料理をするときでさえ包丁をにぎればビビって手が震える。
そんな非日常の塊が今、俺の命を刈り取らんとしてこちらに向かってきている。
鈍色に光るそれは、ところどころに赤い液体がついていてこれまでにもたくさんの命が刈り取られてきたってことがわかった。
そして、当然ただの高校たる俺は突発的なそれを回避できるはずもなくぶざまに切り刻まれていく。
右足、右腕、腹、そして首筋。
順に切られた部分からせき止めていたダムの水が決壊し、そのあふれんばかりの容量をもってして水撃に変わるように血が噴き出した。
あぁ、ちくしょうめちゃめちゃいてぇ。
何だかよくわからない何にたいしてかさえわからない後悔と理不尽なことにたいする怒りが痛みによる叫び声とともにいまにも爆発しそうだ。
現に俺は、情けない姿だけは曝すまいと唇を血がでるまで噛み締め俺を切った相手を睨み付けようとしているが、その目からは涙がとめどなくあふれ出てきてろくに相手の顔も見えちゃいない。
顔はもう涙だか涎かわからないものでぐちゃぐちゃだ。体も血だか汗だかわからない液体でベトベトして気持ち悪い。
心拍数が上がって体が火照るように暑い気がするのに、背筋から冷気のようなものが駆け巡る感じがした。
ああ、また死ぬのか。
諦めにも見える薄い笑みがこぼれる。
人は、死ぬとき走馬灯のように過去を振り返るって言うがありゃ嘘だな。少なくとも俺にはそれは当てはまらなかったようだ。
何より今もなおどうにかして生き残れないかと心に反して動く目が、体が、そうさせてくれない。
通常では考えられないぐらいの情報が頭をパンクさせようとするがごとくぶち込まれ、そのせいか頭痛がする。
案外こっちの頭痛の方が体中の傷よりも痛いかもしれない。
しかし、その痛みも次第に感じなくなっていく。頭の中に靄が、かかるかのように、意識がとうのいていく。
そして……俺は、薄れゆく意識の中それに気づいた。
秘密の花園に咲く薔薇のように濃くそして鮮やかな血しぶきが舞い散るこの混沌のなかで。――天使を見つけてしまった。