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手袋と手繋ぎ 繋がった心と愛

作者: 笑わない猫

第二回、おもいつき余興小説。

興味があったらお読みください。





 もう冬だなぁ~~。

 マフラーを首に巻き、学校の下駄箱の前で待つ俺。

 だれを待ってるかって?

 ふふん。決まっているだろう。

 俺の彼女をさ!!!

 あいつは生徒会長やってていつも帰りが遅い。

 だから帰りを待つんだ。

 普通、平凡の俺にはもったいないくらいの彼女をな!


「ごめーん。まったぁ?」

 しばらくした後、我が愛しの彼女。栗原くりはら愛羅あいらがやってきた。

 相変わらず美人だな~。

 いかんいかん。われを取り戻さなければ。

「良いって良いって。もう慣れたし」

「そう?じゃあ良かった」

 うおおおお。その笑顔可愛いいいいいい!! ダメだ! 萌え死にしちまう。

「じゃあ行くか」

「うん」

 理性を取り戻せ。俺は今日やることがあるんだ。

 そう! 今日は、

 愛羅と手を繋ぐ!!!

 だからマフラー巻いても手袋付けないんだ。

 ついでにこのマフラー愛羅の手編み物だぜ! うらやましいだろう。はははははは。

 いかんいかん。また脱線しちまった。

 さあ今日、絶対成功させてみせる。




「寒いね。きょうくん」

「あぁ」

「早く、春にならないかな?」

「そうだな」

「手ぇ、つめたぁ」

「あぁ」

 やべ!テンパッテル。なんでこんな無愛想な返事ばっかしてんだよ俺!

 ってあれ?手が冷たいって……。

 なんと…!!愛羅も手袋をつけていない。

 これは又とないチャンス!!

 そっと握って。

 ‘俺が暖めてやるよ’ってうわわわわ!俺最高!

 だめだめ。

 どうしたんだ?俺?

「手袋持ってくるの忘れちゃってさぁ…。あれ?京くんも?」

「あぁ。俺も」

 ちゃっっっんす!!!

 あれ、でも朝愛羅は手袋付けてたはずじゃぁ…気のせいか。

「寒いね」

「あぁ」

 いまだ!!!!!

 俺は愛羅の手に向かい手を突き出すが……。

「ねぇ!!」

「うおい!なんだ?」

 あっぶねぇ!!

「凄い返事だね。えっとね…その~明日暇?」

 明日?まぁ暇だな

「暇だけど…」

「そっかぁ…」

 え?それだけ?

 マジかよ。明日家に来る?みたいなオチかと思ったのによ!

「手が赤くなってきちゃった」

 今だ!!!!

「ほら」

 両手をこちらに伸ばす。

「うおい!!ホントだな。真っ赤じゃねぇか!」

 くそぉぉぉ。神様のバカ野郎。

 ここから愛羅と分かれる交差点までの距離だとチャンスは後一回。

 次が勝負!!

「今日はつかれたなぁ」

 今だ!!!!

 スカ!俺の手は空を切る。

 愛羅は自分を抱きしめるポーズで寒さを紛らわしている。

 もう!ばか!!!

「じゃあ、ここでお別れだね」

「あぁ」

「かえったらメールしようねぇ」

「おぅ」

 手繋ぎ成功ならず。

「ばいばーい」

 パタリとスカートのポケットから何か落ちる。

 チェック柄の手袋………。

 あれ?

 俺は拾おうと手を伸ばすとそれより早く愛羅がその手袋を掴みポケットに入れなおす。

「ちちちちちち、違うの!別に手が繋ぎたかったとかそんなんじゃなくて…もう!!」

 愛羅は俺にそっぽ向いて走っていく。

 わかりやすい奴だと思う。

「待てって!!」

 俺の叫び声で愛羅は走るのをやめる。

 俺は走って愛羅に追いつき、横に並んで言った。

「今日は特別に家まで送ってやる」

 俺の言葉に愛羅は……

「じゃ!お言葉に甘えて……」

 ゆっくり並んで歩く。

「さっき何も見てないよね??」

 無言の殺意を愛しの彼女から感じる。

 だから俺は

「なんも見てねぇ」

 と言って、そっと愛羅の手を掴んだ。

 凄く冷たくて、でも暖かくて。

「なら良いけど」

 愛羅はそう言って俺の手を握り返した。


 





最後までご覧いただきありがとうございます。



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