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TS転生したぼっちJK、陰キャの僕がVtuber事務所で仲間と成長していく話  作者: 月星 星成
番外編

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90/120

先輩方と2

「次は何について話す?」

「次は視聴者のみんなが知りたいことにしない?」


:質問コーナーだ!

:三期生の裏話とか聞きたい!

:最近は何してるの?


「最近は何してるの? だって、ノアちゃんは何かある?」

「僕ですか? うーん、いつもと違うことと言えば、料理を始めましたね」

「え? ノアちゃんの料理⁉ アタシ食べたい!」

「まだ練習中なんですけど……最近はカレーとか、簡単な炒め物を作ってます」


 今までは、料理することなんて、ほとんどなかった。

 それは、料理をすると、どうしてもお母さんとの思い出がよみがえってしまうからだ。

 でも、最近はその記憶を避けるんじゃなくて、少しずつ受け止めてみようと思った。

 だからこそ、練習を重ねて、自分の手で作ることに挑戦している。

 

:料理いいね

:ノアの手料理食べたい

:写真アップ希望!


「へー、何か難しいこととかあった?」

「そうだね……玉ねぎを炒める時に、焦げそうになったり、涙が止まらなくなったりして」

「あるあるだね」

「それでも、料理をすることは楽しくて、これからも作って行こうって思ったよ」

「そっか。今度わたしと料理してみない?」

 

「ほんとに? 思わず聞き返してしまった。まさかユイからそんな提案があるなんて、想像もしていなかったからだ。


「もちろん。二人で作れば楽しいし、失敗しても笑い話になるでしょ?」

「それなら、挑戦してみたい!」


:ユイノアてぇてぇだ

:ほんとに仲いいよなこの二人


「あ、アタシも……」

「駄目よ。姉として、ここは見守らないと」

「そうそう。二人の後をつけて、背後から見守るくらいじゃないと」

「それも駄目よ」


:これだからツバサはさぁ

:あの二人の間に挟まろうとするな!

:あと、ヒナタがストーカーをしようとしてるのは駄目だろww


「……やっぱり、あの二人は警戒しておかないと」

「ははは……」


 たぶん、ツバサ先輩は、純粋に僕たちと一緒に何かをしたくて、ヒナタ先輩は興味を持っただけなんだろうな。

 ……みんなと一緒に料理するのも楽しそうだけど、最初はユイと二人で料理をしたい。


「それで、ツバサ先輩たちは最近、何かしているんですか?」

「アタシ? アタシは歌の練習をしているくらいかな。前の三期制コラボでのノアちゃんの歌も聞いて、アタシも歌が上手くなりたいって思ったからさ」

「え?」


 急に褒められるとは思ってなかった。

 胸の奥が少し熱くなる。照れくさくて、どう返せばいいのか分からない。

 やっぱり、褒められることには慣れないな。


:ツバサが褒めてる!

:ノアの歌はほんと良かったからなぁ

:照れてるノア、かわいい


「そう言えば、ユイも褒められるの苦手そうだったよね」

「ヒナタ先輩⁉」

「ふふっ、確かに。さっきノアとユイのことを褒めたんだけど、二人とも耳まで真っ赤になってたからね」

「シュウ先輩も⁉」


:wwww

:えー、それ配信で見たかった!

:もっとkwsk

 

「そ、そんなことより、ヒナタ先輩は最近何しているんですか? ノアちゃんも気になるよね」

「う、うん。僕も気になってます」


 ユイが、全力で話を逸らそうとしている。

 その姿は必至過ぎて、余裕なんて何一つなかったけど、褒められた時のことをばらされるのは僕も恥ずかしかったから、全力で協力することにした。


「えー、恥ずかしがらくていいのに」

「恥ずかしがってません!」

「ほんとかな? まぁいいや。わたしは最近したことと言えば、富士山のてっぺんに登ったことくらいかな」


:え、何それ。聞いたことない

:配信で言った⁉

:初めて聞いたよ!


「だって、言ってないもん」

 

 あまりにもさらっと言うから、一瞬聞き間違えたのかと思った。

 

「……富士山って、あの富士山ですよね?」

「そうだよ。ちょっと時間ができたから、挑戦してみただけ」

「えぇぇ……」

 

 ユイが目を丸くして固まる。僕も驚きすぎて言葉が出なかった。


:ノリ軽すぎるだろ

:そんなんで登れたら苦労しねぇよ!

:たぶん、気になったから程度の理由で登ったんだろうな……


「わたしも初めて聞いたよ。怪我は無い?」

「大丈夫! 見ての通りぴんぴんしてるから!」

「ほんとに? それならよかった。ヒナタは凄いね」

「……本物の姉妹みたいな会話をしてる」


:姉かよ! 姉だったわ……

:いや、姉じゃないだろ

:まぁ、シュウだしな

 

「普段から登山しているんですか?」

「ううん。前が初めて!」

「えぇ……」

「まぁ、ヒナタ先輩なら不思議じゃないけど……」


:本当に凄いな

:その行動力は尊敬する

:暴走する時もあるけど


「シュウは最近何かしているの?」

「わたしは、お姉ちゃんらしさをさらに伸ばしているところよ」


:だから、その姉のこだわりは何なんだよ!

:シュウにとって、姉と神は大して違いが無いのでは?」

:いや、姉の方が上だろ


「なんで、シュウ先輩はそこまでするんですか? 今でも、十分姉っぽいですけど」

「ううん。わたしなんてまだまだよ。お姉ちゃんは、妹や弟が辛い時には、必ず側にいないといけないの。でもね

 前はそれが出来なかった。その子は、その子の友人たちのおかげで立ち直ることが出来たけど、次も同じようなことになるとは限らない。だから、わたしは妥協をしないの」


 それって、もしかして――。

 胸の奥で言葉が浮かびかける。問いかけてしまいたい衝動が、喉元までせり上がってきた。

 けれど、僕の過去については、配信で触れる気が少しもない。だって、配信はみんなを笑顔にする場所だと思っているし、僕は同情してほしいだなんて思っていないからだ。

 そのせいで、僕の疑問は声にすることはできず、ただ心の中で飲み込むしかなかった。


 でも、その子が僕のことを表しているのは確信できた。

 だから、心の中で感謝を伝える。

 伝わるかどうかはわからない。でも、もし少しでも届いているなら――それだけで十分だった。


(僕のことを気遣ってくれてありがとうございます。でも、安心してください。僕はもう、前を向くことが出来ましたから)


「それじゃあ、ここらで配信を終わる?」

「そうですね、いろいろ話すことは出来ましたし」


 ヒナタ先輩とユイが顔を見合わせて頷いた。


「えー、もう終わり? アタシまだ話したいことあるんだけど!」

「また次の機会にしましょう。今日は十分盛り上がったと思うわ」

「……そうですね。楽しかったです」


:あっという間だった

:次の料理企画楽しみにしてる!

:歌コラボも期待してます!


「それじゃあ、今日はここまで。みんな、最後まで見てくれてありがとう」

 

 シュウ先輩の柔らかな声で、配信は静かに締めくくられた。

 笑いと驚き、そして少しの温かさを残して――今日のコラボは幕を閉じる。



次話から第四章「最愛の君へ」が始まります。

前を向いたノアたちが紡ぐ物語を、どうか見届けてください。


もし楽しんでいただけたら、☆やブックマーク、そして感想・レビューで応援していただけると嬉しいです。

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