一期生の二人3
「よし、ベッドウォーズはこれでおしまいにするにゃ。ルミナ先輩とにゃーがいるせいで、チームのバランスが崩壊しているにゃから」
:気付いたの今頃かよ!
:始める前に気付けよ!
:ティアも、普通に上級者に片足突っ込んでいるからな……
:バランス崩壊しすぎwww
「それで、次は何をするんですか?」
「それは、ゾンビーズにゃ!」
:おおー!
:ゾンビーズか、対人はやめたんだな……
;そりゃ、約二名別格なのがいるから……
:協力プレイだから、楽しみだ
「ゾンビーズは、最大30ラウンドまであるにゃ。みんなで協力しないと絶対にクリアできないにゃよ」
「協力……?」
:あ、ティアの辞書に協力という文字は無い
:人見知り由来のコミュ障に、負けず嫌いによる協調性のなさ、ある意味最強だ
:うるせぇwww
「なるほど、ここは先輩として、協力するしせいを見せるとするか」
「ルミナと協力……?」
:ティア、気持ちはわかるけど言わないでくれ
:狂狼、頭おかしい。ティア、協調性無し。ルミナ、実力で周りを置いてきぼりにする。……一期生に絆はあるのか?
:あるけど、あの二期生の方が協調性がある
:なんで、会話が成り立たない人たちに負けるんだよwww
:狂狼が一番社交的な時点で終わってるんだよなぁ
どうやら、話を聞く限り、一期生は協調性が無いらしい。大丈夫なのかな……?
「ニヤさん……」
「うん、にゃーも不安になって来たにゃ」
ニヤさんも不安になっているようだけど、一度行ってしまった以上、もう誰も引き返せない。
だから、今からこのゲームに飛び込むしかなかった。
「じゅあ、始めるにゃよ!」
そうして、ワープしたのはそこは見知らぬ街角だった。
壊れた看板、割れた窓、そしてどこからともなく響く呻き声、それらの全てが恐ろしかった。
「簡単に説明するにゃよ。このクワみたいなのがピストルで、窓から出てくるゾンビの頭を撃ち抜くとクリティカルヒットでお金が溜まるにゃ」
「あ、確かにお金が溜まりました」
「あと、窓を修理することでお金が溜まるにゃよ。そのお金を使って、エリアの開放や武器の強化などをすることが出来るにゃよ」
「わ、わかりました!」
そうして、序盤の内はゾンビを倒したり、窓を直すことによって、お金を貯めていった。
最初の内は、みんな協力して――いや、目指す場所が同じだったから、結果的に協力することが出来ていた。
「強い武器ってあるんですか?」
「確か、ショットガンとスナイパーが強かったはずにゃ。一応、ガチャもあるにゃけど、運ゲだからお勧めしないにゃ」
「新エリアを開けたぞ。ショットガンが買えるようになったから、買いたければ買うがいい」
「こっちも、開けた」
「ショットガン……買ってみます!」
ボクは貯めたゴールドを握りしめ、ショップに駆け寄った。
必死にお金を貯めて買ったショットガン、試しに使ってみよう。
ショットガンを構え、窓から飛び出してきたゾンビに狙いを定める。
引き金を引いた瞬間、轟音とともにゾンビの群れが吹き飛んだ。
「……すごい!」
ピストルでは一体ずつしか倒せなかったのに、ショットガンならまとめて処理できる。
その威力に、思わず声が漏れた。
:ノア、初ショットガンきた!
:近距離番長になれるぞw
:初心者でも強武器持つと映えるな
「近距離だと群れを吹き飛ばすことが出来るから、囲まれた時に使うのをお勧めするにゃよ」
「確かに、これがあったら囲まれた時に何とかなりそうです」
「だが、終盤になると、ショットガンだけで対処できない時もある。その時は、単独で戦おうとせず、周囲を頼るべきだ」
「……いつも一人で出来ている人が何か言ってる」
:確かに終盤はヤバいからなぁ
:ほんとそれ。アレは異常
:チームマシーンをタイミングよく使えばいいんだけど、この人たちにそれが出来るかな?
そうして、ボクたちは何の問題も無く、ラウンドを進めていった。
ニヤさんのサポートもあり、スナイパーに鉄の防具も揃えることが出来て、後は武器のアルティメット化といくつかの特殊能力だけだった。
「そう言えば、ニヤさん達は武器をどのようにしているんですか?」
「にゃーもショットガンとスナイパーにゃよ」
「私も同じだ」
「ふん、やっぱりまだまだ。私の武器を見るがいい」
:え? ティア、何買ったの?
:ここまで自信があるってことは、凄い物なんだよな
:なんなんだろう。予想できない
ティア先輩は、どうやら自分の武器に圧倒的な自信があるようで、胸を張って自分の武器を自慢していた。
「え? 何を買ったんですか?」
「知りたければ、画廊に来て」
ティア先輩が、こんなことを言ってくる。
それがどんな武器なのか気になるけど、このゲームは出来るだけ集まるべきだと聞いたから、ニヤさんから離れるわけにはいかない。どうすればいいのだろうか。
すると――。
「じゃあ、にゃーも画廊に行ってみるにゃ」
「え?」
「もちろん、にゃーも気になるにゃしね」
きっと、ニヤさんはボクがどんなことを思っていたのか気が付いていたのだろう。
だから、ボクと一緒に動くことで、画廊に行きたいという願いを叶えてくれた。本当に、嬉しい。
「ありがとうございます」
そうして、ボクたちは画廊のほうへ向かった。
その途中にも、たくさんのゾンビがいて、ボク一人だと生きて画廊に辿り着くことが出来るのか、確証を持てなかった。
そして、やっと画廊に辿り着く。
「ティア先輩、画廊に着きましたよ」
「そう。ならば、私の雄姿を見るがいい」
そうして、ティア先輩は近くにあったチェストをクリックした。
すると、何かいつもとは異なる音がなって、チェストの上に表示されたアイテムが次々と変わっていた。
:が、ガチャ⁉
:これから引くってことか!
:普段のティアの配信を見てる人からすると、結果はわかりきっているんだけど……
:いや、今回は後輩の前だから……
そして、武器の回転が止まる。そこにあったのは、金のクワの見た目をした武器だった。
「えっと……火炎放射器? これって強いんですか?」
「いや……効果が無い敵もいるし、自分自身が燃える可能性があるから、あまり……強くないにゃ」
「なん……で」
「ティアはいつもそう」
:引き弱すぎだろw
:いつものことw
:ルミナが呆れるって、かなりヤバいぞ
「ふん、もう一回引く」
「ま、待つにゃ! お金は終盤に重要にゃよ!」
「だが断る!」
「話が通じないにゃ!」
そうして、もう一度ティア先輩がガチャを引いた。
その結果は――。
「……ゴールドディガー?」
「それは、何回も強化することが出来るにゃけど、最初は鬼弱いにゃ」
「ああー」
「……」
「ティア?」
「……ごめんなさい」
そうして、約一名の武器の一つが弱武器になったことが確定して、ラウンドは終盤へと向かって行った。
これからどうなるのかは、ボクには予想できない。




