第二回三期生コラボ3
「あ、あれが……」
地面から這い出た黒い巨体を見て、誰もが息を呑んだ。
あのモンスターは目が見えない。その代わりに、音で敵の位置を判別して襲い掛かるのだ。
だから、ボクたちは一歩も動くこと無く、その場で息をひそめていた。
「ど、どうするんですか? アレとは戦いが成立しませんよ」
「誰とも敵対してなければ、そのうち地面へ潜るから、それまでじっとするにゃ」
「だけど、その間に他の敵から襲われたら終わりだぞ」
「でも、古代都市の中は他の敵はスポーンしないんじゃ……」
「確かに、古代都市の中ではスポーンしないけど、古代都市の外から敵が来る可能性はあるにゃよ。さっきのクリーハーのように」
:そうだよなぁ
:このメンバー、特にユイトは敵から襲われそうw
「スニークだと、ヴォーデンから襲われることがないから、ゆっくりと逃げていくにゃ」
「了解した」
そうして、ボクたちは息を薄く、足音を消すように後ろへ下がっていく。
やがて、羊毛の床に辿り着き、そこで一息つくことが出来た。
「ふぅ、ここならある程度は大丈夫なのにゃ」
「そうですね……。ピンチなことには変わりはないですけど」
「何か案はあるのか?」
ユイトさんの問いが、ボクたちの間を響き渡るが、誰も答えることはしなかった。
「なるほど。つまり打つ手なしということか」
「このままじっとしているのもありにゃけど、ちょっとしたことでヴォーデンに気付かれる可能性があるから、あまりおすすめ出来ないにゃよ」
:どうすればいいんだろうか?
:いい案ないかな?
「誰かが囮になるか?」
「囮になったとしても、一瞬でやられますから、あまり意味が無いですよ。リスポーン地点が同じなせいで、ヴォーデンの位置も変わらないでしょうし」
「そ、それじゃあゾンビ戦法でヴォーデンが倒れるまで殴り続けるって言うのは?」
「それで、今出現しているヴォーデンを倒すことが出来たとしても、新しいヴォーデンが出てくる可能性があるから、あまりいい手とは言えないにゃ」
ボクたちは、何個も意見を出し合ったけど、いい案が出ることは無く、解決策など少しも思い浮かんでこなかった。
このままじっとするが正解なのかもしれないけど、先ほどゾンビが天井から落ちて来たように、予想外の出来事が起こる可能性もあるし、配信として面白くならないということもあり、出来るだけそれは避けたい。
でも、ボクは――いや、このゲームをやり込んでいるニヤさんですら、いい案は思いついておらず、為す術がないように思えた。
だからこそ、ボクはこう口にした。
「マサさん、結果がどうなってもいいんで、自分がしたいなと思っている案を提案してください」




