第二回三期生コラボ2
ヴォーデン。
それは、古代都市で出てくるモンスターであり、スカルクセンサーやスカルクシュリーカーが音や振動を感知して、シュリーカーが四回反応すると、地面から湧き出てくるモンスターだ。
その体力は、♡250もあり、攻撃力はノーマルだと♡15個も削ってくる。それに加え、遠距離攻撃をすることもでき、胸からでる衝撃波は盾や壁を貫通する。
こんな装備の無い状況で出くわしてしまうと、勝ち目何て一ミリたちとも残っていない。
それは、ボクだけでなく、ニヤさんですら勝つことは出来ないだろう。
ヴォーデンを湧かせないためには、音を出来るだけ鳴らさないようにする必要があり、そのためにはスニークで移動することや、羊毛の上を歩く必要がある。けれど――。
「一応聞きますけど、羊毛って持ってますか?」
「ないにゃよ。古代都市の中に生成されているから、それを取っていくしかないにゃ」
「じゃあ……音を立てないように、慎重に進むしかないですね」
「にゃーもそう思うにゃ。スカルクシュリーカーに反応されたら終わりにゃよ」
「フッ……闇に潜む者にとって、静寂は呼吸のようなもの」
「いや、ユイトさんは普段からうるさいじゃないですか」
:フラグ立ったw
:絶対誰かやらかすやつ
:ユイトが一番音立てそう
「そもそも、目的はどうするんですか?」
「チェストからいい感じのものが出たら終わりにしようにゃ。ヴォーデンを倒すメリットもないにゃし」
「そうですね……」
「よし、俺に任せろ!」
「「少しも信用できない」」
そんな会話をしながら、ボクたちは恐る恐る古代都市の奥に向かって行く。
そんな時――。
「わっ!」
画面が急に暗くなり、遠くのものが見えなくなる。
「まずは一回目にゃね」
「後二回までですか……。このメンバーだと厳しいですね」
「フッ……闇に包まれてこそ、我が真価が発揮される」
「こんなことを言ってる人もいますし……」
「……我は呆れられたのか?」
:一回目早すぎw
:なんでニヤとユイは冷静なんだ?
:そうだよw
:前回死にまくった人だしなぁ
:その理由の半分くらいはマサのせいだろ
「も、もしヴォーデンが出たらどうすればいいんですか?」
「マサを囮にして全力で逃げればいいにゃ」
「おい!」
「日頃の行いのせいですね……」
「自業自得だ」
:囮www
:まぁ、前回ひどかったからな……
:特に、ユイはいう権利がある
「泣いていいか……?」
「お、落ち着いてください」
そんなことを話しながら歩いていると、スカルクシュリーカーのそばにあるチェストを見つけた。
「あ、あそこに!」
「待つにゃ! まずはスカルクシュリーカーを壊してからにゃ!」
「あっ」
ニヤさんが声を掛けてくれたけど、それでは遅かった。
視線の先には、マサさんがとっくにチェストを開けていて、視界が黒色に染まっていく。
「に、二回目なのにゃ」
「そ、その……すまん」
「終わったことですから、次同じ過ちを――」
そんな時だった。
ドカァァン!
爆発が起き、また視界が黒く染まっていく。
「な、なにが起きたのにゃ⁉」
「く、クリーハーです! 物陰に隠れていたクリーハーがユイトさんの側で爆発しました!」
「ま、また? 前もこんなことありませんでした⁉」
「それより、もう後が残ってないぞ!」
「……我の心配をしてくれる者はいないのか」
ユイトさんは、なんとか爆発の直前にクリーハーの存在に気付いたおかげで、体力がぎりぎりになりながらも生き延びることが出来ていた。
「ひ、ひどい目に遭った……」
「生きてるだけ奇跡にゃ」
「生存していることだけ見ればいいことですけど、ピンチなことには変わりませんよ」
:急な展開過ぎるだろw
:マサのミスにユイトの爆発w
:一回でも音を立ててしまったら……
:対ヴォーデン戦見れるかな
「そ、そういえば、チェストの中には何が入っていたんですか?」
「ああ、革にリード、エンチャ本に……」
「今使えそうな物だけを言ってください」
「ダイヤモンドのレギンスと再生のポーションぐらいだ……」
:ろくなものがねぇ
:大体、装備無しで来るような場所じゃないしな
:ニヤ一人だと、何とかなったかもしれないけど、今回は複数人で来たからな……
「再生のポーションはユイトさんに渡すとして……ダイヤのレギンスはニヤさんに渡した方が――」
「ノアちゃん、そんなことしても意味ないにゃよ。レギンス程度で何とかなるほどヴォーデンは甘くない。逆に、防具はヴォーデン以外の対策になるから、初心者の方がつけていたほうが良いにゃ」
「初心者ってことは……」
「それなら、ノアが持つと良い。我は、再生のポーションがあるとはいっても、体力が残り少ないからな」
「ボクが……?」
「それでいいんじゃね。最悪、ベッドがあるから何度も生き返ることが出来るんだし」
「それなら、ありがたく受け取ります」
:まぁ、それが正解か……
:ニヤはもちろん、ユイも無くても大丈夫そうだし、男二人に大事な物を渡すのは怖いからな
:信頼なさすぎだろw
:↑日頃の行いのせい
そうして、手に入れた物を分配して、ひとまず落ち着きを取り戻した。
出来るだけ安全な場所にベッドを置くことで、リスポーン地点も作っており、最悪なことが起きても、最低限は何とかなる。
でも、どれだけ準備をしても、どれだけ最悪なことを予想していたとしても、それを簡単に上回る出来事は、案外起きてしまうものだ。
それは、上から――天井に開いていた小さな穴から、一体のゾンビが落ちてくるという出来事だった。
「――ッ」
それは、どうしよも無い。気付くことが出来なくても仕方がないことだし、気付いたとしても出来ることなど無い。
ただ――
ゴゴゴゴゴ
その振動で、重低音を鳴らしながらかのヴォーデンが出てきてしまう。しかも、その位置はリスポーン地点に設定していたベッドのすぐそば。
このままだと、生き返ったとしてもリスキルされて、逃げることすら出来ない。
「みんな! 逃げるにゃ!」
ニヤさんが叫ぶ。
けれど、もう遅かった。
ベッドの横に立ちふさがる影。その存在感だけで、全員の足がすくむ。
準備も、計画も、努力も――すべては一瞬で無に帰した。




