表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS転生したぼっちJK、Vtuberで人生逆転中  作者: 月星 星那
三期生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/51

喫茶店にて2

ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!


もし「続きが気になる」「このキャラが印象に残った」など感じていただけたら、

★やブックマークに登録、そして感想をいただけると、とても励みになります。



 僕は深く息を吸い込み、あの部屋での出来事を思い返した。

 白い壁、甘い香り、そして鋭い笑み。 莉緒の声が、耳の奥で鮮やかに蘇る。


「……あの人は、最初から僕を試しているようでした」


 それは、ずっと感じていたことだ。莉緒は、僕に何かを期待していて、それを答えるように誘導していたのだ。

 そして、それはおそらく……。


「きっと、僕たちの初めてのコラボの時のように、他の同期の問題点を直してほしかったのだと思います」


 僕は、零さんとの初めてのコラボの時、彼女の自己否定や自己肯定感の低さを改善した。

 だから今回も、莉緒は同じように――同期の欠点を矯正する役割を、僕に押しつけようとしているのだと思った。


 けれど、その考えを口にした瞬間、胸の奥にざらついた違和感が広がる。

 本当にそれだけなのか? あの人が望んでいるのは、ただの改善なんかじゃない。もっと別の……もっと厄介なものではないのか。


「なるほどね。だけど、きっとそれだけじゃないよ」

「……はい、僕もそう思います」


 僕の声が、思った以上にかすれていた。胸の奥でざわつく違和感は、言葉にすればするほど形を失い、代わりに不安だけが濃くなっていく。

 零さんは静かに頷き、視線を落とした。

 

「莉緒さんはね、相手の欠点を直させることで満足する人じゃない。むしろ、もっと先の何かを望んでいるはずなんだ。……でも、それをいくら考えても答えは出ない。あの人の本音なんて、きっと誰にも掴めないから。だから今は――ニヤさんたち、同期の問題点の方を考えた方がいいかもしれないね」

「……同期の、問題点」


 でも、思い当たる節など、何もなかった。ニヤさんも、マサさんも、ユイトさんも、全員凄い人で、僕なんかよりずっと頼りになる存在に思えた。


「私には思いつかないや。澪ちゃんは心辺りがある?」

「僕にも心当たりは……。でも、莉緒さんが同期のことをどう評価していたのかは覚えています」


 零さんが顔を上げる。

 

「……どんなふうに?」

「どれが誰のことを表しているのかわからないけど、孤独の猫に、弱さを隠している子供、平凡な凡人と評していました」

「孤独の猫……弱さを隠している子供……平凡な凡人……」


 零さんは小さく繰り返し、眉をひそめた。


「猫はニアさんのことだろうけど、他は判別がつかないね。……いや、もしかすると、わざと判別できないように言ったのかもしれない。どれも当てはまるようで、当てはまらない。そうやって澪ちゃんに考えさせるのが、あの人らしい」


 僕は息を呑んだ。確かに、三つの言葉は同期の顔と重なりそうで、重ならない。まるで、答えを探す僕自身の反応こそが、莉緒の狙いだったかのように。


「まぁ、考えても仕方ないか。実際に、探っていかないと。でも、男性と二人でコラボするのは難しいし……次の三期生での全体コラボに賭けるしかないのか……」

「そうですね……ニヤさんなら、それまでにかかわることが出来ますけど」

「よし、次の三期生コラボまで、一回はニヤさんとコラボできないか掛け合ってみようか。澪ちゃんはどうする? 私一人でも、何とかなるかもしれないけど」


 零さんが、人見知りの僕を気遣ってくれていることがわかった。

 その気遣いはありがたいけど、今の僕には必要なかった。


「ごめんなさい。そのコラボ、僕一人ですることは出来ませんか?」

「いいけど、急にどうしたの?」


 零さんが心配そうに聞いてくる。

 その視線に胸がざわついたけれど、僕は逃げずに言葉を続けた。


「僕はずっと、莉緒さんに怒っているんです。あの時に言われた言葉が、とっても許せなくて。だから、僕の手で――あの人を見返したい」


 そう言うと、零さんは一瞬だけ目を見開いた。

 驚きと、少しの戸惑いがその瞳に浮かんで――やがて、静かな笑みに変わる。


「そっか。それなら、澪ちゃんに任せるよ。……私は、澪ちゃんのそういう所を、とっても尊敬してる」

「何か言いましたか?」

「ううん、何でもない」


 そう言って、零さんは立ち上がった。


「長居しすぎると、店にもよくないし、もうそろそろ帰ろっか」

「そうですね」


 僕も慌てて立ち上がり、テーブルの上を片づける。


「それと――。


 私は、絶対に澪ちゃんの味方だから」


 その言葉が、胸の奥に静かに灯をともした。どんなに試されても、僕は一人じゃない――そう思えたんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ