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TS転生したぼっちJK、Vtuberで人生逆転中  作者: 月星 星那
第一章 月夜ユイ

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コラボ5

 きっと、ユイは自分自身に自信を持てていないのだろう。

 過去に何があったのかは知らない。けれど、今のユイの姿を見ていると、胸の奥が締め付けられるように痛んだ。


 ユイが特段劣っているわけではない。ユイだけの強みも、この短い時間の中で何個も見つけることが出来た。

 なのに、なんでここまで自信を失っているのだろうか。


 まるで、誰かに何度も何度もお前は駄目だと言われ続けてきた人みたいに。

 自分の価値を信じることすら、許されなかった人みたいに。


(……ユイさん、きっとすごく頑張ってきたんだ)


 そう思うと、胸の奥がぎゅっと痛んだ。

 彼女の震える手も、声を失った喉も、ただの緊張なんかじゃない。もっと深いところで、長い時間をかけて刻まれた傷が、今も彼女を縛っているのだ。

 ユイがどれほど努力してきたのか、それはひしひしと伝わってくるのに。


 ……いや、もしかしたら、彼女の側には、本物の天才がいたのかもしれない。まるで、一期生の天才皇女みたいな。


 そうだとしたら、自信を失ってしまうのが理解できる。ただでさえ、圧倒的な差があるのに、努力している量すら負けてしまうと、自分の存在そのものを否定されたように感じてしまう。


(……ユイさんは、ずっと比べられてきたんだ)


 そう考えた瞬間、胸の奥がさらに痛んだ。

 どれだけ頑張っても、まだ足りないと言われ続ける苦しさ。

 どれだけ努力しても、少しも追いつかず、離されていく虚しさ。


 ユイさんの瞳に宿る影は、その積み重ねの果てに生まれたものなんだ。

 だからこそ、今こうして声を失ってしまうほどに、彼女は追い詰められている。


(……でも、僕は知ってる。ユイさんには、ユイさんにしかない強さがあるって)


 だから、僕は手を伸ばしたんだ。

 ユイの震える手ごと、マイクを包み込み、それを引っ張って、隣に並び立つ。


 ユイが驚いたようにこちらを見上げる。

 その瞳には戸惑いと、かすかな怯えが混じっていた。


「……一緒に、歌いましょう」


 ボクはそう囁き、伴奏に合わせて声を乗せる。

 最初は僕の声だけが響いていた。

 けれど、ユイの手を包み込んだまま歌い続けると、やがて震える声が少しずつ重なってきた。


 か細くて、頼りなくて――でも、確かに温かい声。

 その声が混ざった瞬間、旋律は一気に広がりを増した。


:デュエット⁉

:やばい、鳥肌立った……!

:二人の声、めちゃくちゃ合ってる!


 どんどんユイの声が強くなり、震えは次第に消えていった。

 ボクは、人と一緒に歌うのが初めてだから、ユイに合わせることが出来なかったけど、 ユイの方から完璧にボクの声に合わせてくれて、気づけば主導権は彼女のものになっていた。

 さっきまで声を失っていた人とは思えないほど、堂々とした響き。

 その歌声に引っ張られるように、ボクも自然と声を張っていた。


(……すごい。やっぱりユイさんは、強い人だ)


:鳥肌止まらない!

:ユイちゃん、完全に復活してる!

:二人のハーモニー、奇跡みたい……!


 ユイの横顔を見た。 涙がまだ頬に残っているのに、その表情は確かに笑っていた。 その笑顔は、誰かに勝つためのものじゃない。ただ、歌うことを楽しんでいる人の顔だった。


 その瞬間、胸の奥が熱くなった。

 ――あぁ、これがユイさんの強さなんだ。

 身近に天才がいて、心が折れそうになっても、絶対に努力をやめなかったからこそ、今この瞬間の歌声がある。


 ――ボクの同期がユイさんで、本当に良かった――


 そして、歌が終わり、 最後の音が静かに消えていく。

 

:最高だった!

:泣いた……

:二人ともありがとう!

:ノアちゃん、よくやった!

:ユイちゃんの歌声良すぎ


 チャット欄が歓声で埋め尽くされる。

 ユイはマイクを握ったまま、肩で息をしていた。

 頬にはまだ涙の跡が残っているのに、その表情は晴れやかで、どこか誇らしげだった。


「ほら、みんなユイさんのことを見てますよ」


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ほら、みんなユイさんのことを見てますよ」


「ほら、みんなユイさんのことを見てますよ」


 歌い終わった後、ノアがそう言った。

 その声は、からかいでも慰めでもなく、ただ真実を告げるようにまっすぐだった。


 胸の奥がじんわりと熱くなる。

 ずっと、私のことは誰も見てくれないと思っていた。

 努力しても、結局は天才の影に隠れてしまうと信じ込んでいた。


 けれど、画面の向こうのコメントは違った。

 

:ユイちゃんの歌、心に響いた

:ユイちゃんがいてくれてよかった

:これからも応援するよ!


 ――みんな、本当に私を見てくれている。


 視界が滲んで、涙がまたこぼれそうになる。

 でも今度は、悔しさや惨めさからじゃない。胸の奥から溢れてくる、温かい涙だった。


「ははっ、ほんとにばかだなぁ、わたしは。……ありがとう、ノアちゃん」


 震える声でそう言った時、ようやく私は自分のことを誇れるような気がした。





【初コラボ!】ユイさんと一緒に!

 高評価:8,926 低評価:132

 チャンネル登録者 21,643人

 再生回数 42,436回

 

 

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