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TS転生したぼっちJK、Vtuberで人生逆転中  作者: 月星 星那
第一章 月夜ユイ

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コラボ4

(ははっ、やっぱりすごいなぁ)


 目の前で歌っているノアを見て、私はそんなことを心の中で思っていた。

 彼女と最初に出会った時は、人見知りなこともあってか私のことを怯えたように見つめていた。だから、このコラボは私主体で動かすことが出来ると思っていた。


 けれど、実態は全くの別物だった。

 最初は、私がそばにいることに緊張して、いつものように話すことが出来ていなかった。なのに、しばらくすると、いつもと一緒というわけではないけれど、普通に私や視聴者と話すことが出来るようになっていた。

 それに、私が何年もかけて腕を磨いていたゲームの実力に、ノアは一瞬で到達てきたし、歌でさえも、私を上回っている。

 これなら、私が勝てるような分野は一つも無い。

 

(悔しいはずなのに……)


 少し前の私ならば、きっと素直に嫉妬していた。

 自分の努力を追い越されることが怖くて、相手を遠ざけようとしていたかもしれない。


 でも今は違う。

 悔しさより先に、笑いがこみ上げてきて、もはやリベンジしようとも思えない。

 笑顔を作ろうとしても、頬が引きつって、笑顔になっているか自分でもわからない。

 胸の奥に広がるのは、悔しさでも嫉妬でもない。

 ただ、空っぽ。


(……もう、無理だ)


 姉にへし折られた自信を取り戻すために、私はここに来た。

 なのに、やっと掴んだはずの舞台で、ノアの歌声にあっさりと打ち砕かれてしまった。

 努力を積み重ねても、笑顔を貼り付けても、結局私は誰かの影でしかない。


 視界が滲む。

 チャット欄はノアへの歓声で埋め尽くされていて、直視することが出来ない。

 耳に残るのは、あの時と同じ親の声――

 

『なんで、アンタじゃなかったの』


 心臓がぎゅっと握り潰されるように痛む。

 立ち上がろうとする力は、もうどこにも残っていなかった。


(……ごめんね、姉さん。やっぱり私は、何も出来ないままだ。やっぱり、あの時に私を庇ったのは間違いだったよ)


 そんなことを思っていると、ノアがとうとう歌い終わり、マイクを私に渡してくる。


 ノアが差し出したマイクが、目の前にある。

 逃げ出したい。けれど、逃げることすら許されない気がした。


 震える手を、どうにか伸ばす。

 マイクを握った瞬間、冷たい金属の感触が心臓まで突き刺さるようだった。


(……歌えるわけ、ないのに)


 それでも、画面の向こうには期待する視線がある。

 ノアの瞳も、真っ直ぐに私を見ている。


 喉が塞がりそうになりながら、私はかすれた声で言った。

 

「……次、いきます」


 その声は、震えていて、今にも消え入りそうだった。


 「――ッ」


 歌いだそうとしても、声が出ず、喉がひゅっと締め付けられる。

 声を出そうとするたびに、胸の奥の痛みがせり上がってきて、息すらまともに吸えなかった。


 マイクに口を近づけても、ただ空気が震えるだけ。

 音にならない声が、虚しく宙に消えていく。きっとチャット欄も、私に対する失望で埋め尽くされているに違いない。


 ――そう思った瞬間だった。



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