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TS転生したぼっちJK、陰キャの僕がVtuber事務所で仲間と成長していく話  作者: 月星 星成
最愛の君へ

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急なコラボ2

「それでは、ガチバトルを始めましょうか。今のガチバトルは……ガチハマグリですね」


:おおー

:ガチハマグリか

:コウジが活躍しそう


「ふっ、俺の出番か」

「コウジ先輩がホクサイを使ってるの、まだ違和感があるんですけど」

「ん、筋肉の塊のような人が使うイメージが無い」


:それはそう

:筋肉の塊だけど、頭脳派だから

:シュウよりも成績が良いんだよな……

:脳筋みたいな言動をしているのに


「それでは、試合を始めますよ」

「わかりました」


 そうして、僕たちは社長の呼びかけと共に、試合へと潜り始めた。

 ガチハマグリでは、フィールドに散らばったハマグリを十個集めることで、大きなアメフトボールのようなガチハマグリへと変化させ、それを相手のゴールに投げ入れることでポイントが入る。


 このゲームでは、ナワバリバトルのように、地面を塗るのではなく、ハマグリを集めることが重要であり、より大きな得点を手に入れるためには、味方とのコンビネーションが重視されるのだった。


(まぁ、さっきの試合はうまくいったし、きっと大丈夫だよね)


 そう思って、僕はハマグリを集めていった。

 それは、みんなも同じで、順調に……時に敵と戦いながらもハマグリを集めていた。

 そして――。


「集まった」


:ティアナイス!

:順調だ

:集まって前線を上げよう!


 ティアさんがガチハマグリを作ることに成功し、チームの空気が一気に熱を帯びた。


「よし、集まって前線を上げましょう」

「それなら、俺が道を切り開こうか」

「僕もついていきます……あれ? ティア先輩はどこですか?」


 社長の所まで駆け寄ったが、ティア先輩の姿が見えない。いや……それどころか、コウジ先輩の姿もだ。

 いったい、どこにいるのだろうか?


「ゴールは壊したけど?」

「え?」


:え?

:ん?

:今なんて言った?


「ティア先輩、今何か言いました?」

「ゴールは壊したけど? ……あ、元に戻った」


:独断専行してるw

:報告連絡相談がない……

:みんなで攻めてたら、もっとポイントは言ってただろ


「あ、コウジが来た」

「……ほう、遅かったか」

「え? コウジ先輩、道を切り開いてくれるんでは?」

「だから、切り開いたぞ」

「え?」

「切り開いたぞ」


:(今いる位置から)切り開くって意味かよ

:合流せずに、それをするのは意味なくね?

:独断専行が二人もいるwww


「しゃ、社長」

「……ノアさんは、まともでよかったです」

「社長!」


:諦めたぞ、この人!

:チームワークが壊滅してる……

:ナワバリだったら、チームワーク良かったのに


 ほんとにそうだ。先ほどのナワバリバトルでは、みんなチームワークを取ることが出来ていて、問題なく勝つことが出来ていた。なのに、今のガチハマグリでは少しもチームワークが取れていない。この違いはいったい何なのだろうか。

 ……いや、もしかして――そもそもチームワークが取れていなかったのか?

 今までチームワークが取れていたと思っていたのは、全員が偶然同じ方向を向いていただけであり、互いのことを何一つ見ていなかったからなのかもしれない。


「社長、これって……」

「……Neoverseは放任主義の側面がありますから」

「コントロールするつもりは無いんですね」


:どうにもならないってわかっているんだろうな

:二期生全体でコラボするたびに、ずっと苦労しているからな

:ノアがいるだけ、今回はマシだなって思ってそう


「ですので、頑張ってください。サポートできるところはサポートしますから」

「社長が指揮を執ってくださいよ」

「僕には、無理ですよ……。この人たちを纏めるのは」

「社長ですよね⁉」


 確かに、二期生とティア先輩の癖が強いのはわかり切っていることで、たとえ二人だけであろうとも、纏まらないのは当然だった。

 ……もし、ルミナ先輩やベオ先輩だったら、しっかりコミュニケーションをとってくれていただろう。それでも、実力の違いのせいで、結果的には纏まらないんだろうけどさ。


 そうしている間にも、敵はしっかり勝利のために協力して攻めてくる。

 彼らは、前線を固め、互いにカバーし合いながら、着実にハマグリを集めていた。


「やばい、もうゴールに近づいてる!」

「問題ない。筋肉がすべてを解決する」

「ちょっと、一人で攻めないでください!」

「ゴール壊したよ」

「せめて、前もって言ってください!」


:問題児ばかりだ

;Neoverseだもん、仕方ない

:むしろ、社長や三期生たちの方が異常なんだよ

:可哀そうなノア。ひとえに……いや、ノアに非はないな


 ユイがここにいてくれたら、きっと何とかなったんだろうなぁ。

 そう思うと、普段のユイがどれだけありがたいのか痛感出来る。本当に感謝しかない。

 

「もういいや、勝手にしてください」

「そうなりますよね……」


:社長とノアが似た者同士に見えて来た

:常人って言うところは同じだからな

:自分の世界で生きている人たちは、反省してほしい


 このままだと駄目だよなぁ。でも、心底気が乗らない。どうするのが正解なのだろうか?

 頭を必死に回転させる。今、重要なのは、独断専行して、他人のことを気にしていない二人を止めること。

 そのための近道はどうするべきなのだろうか。


(ティア先輩は……たぶん、話したくないだけだよね。僕以上の人見知りだし。Vtuberとして、致命的だとは思うけど)


 ティア先輩が独断専行する理由はわかりやすい。もしかしたら、他の意図があるかもしれないけど、人見知りと他の意図で半々と言った割合だろう。だから、人見知りの方を何とかすれば、まだ何とか出来るかもしれない。

 でも、問題はコウジ先輩の方だ。彼が独断専行する理由が全く予想できない。

 ……いや、少し待って。


(……人間は簡単に裏切るが、筋肉は絶対に裏切らないからだ、か。もしかして……いや、そんなはずがない。一期生や荷期生の人たちは、弱くない。それどころか、僕の何倍も凄い人たちの集まりなんだ。それは、絶対にありえない)


 あと一歩、あと一歩だった。もう少しで答えに至れそうなのに、それに辿り着くことが出来ない。

 ああ、もう! あの狂狼がこんなコラボを勝手に組まなければ、こんなに悩むことが無かったのに。


(狂狼?)


 狂狼の行動には意図がある。彼女の行動は少しも理解できないけど、何かしらの意図があることだけは理解していた。

 だからこそ、このコラボにも、彼女なりの意図があり、そこから考えると――一つだけ、とある仮説が思い浮かんだ。

 この仮説が正しいのなら、きっと……。


「社長」

「ノアさん、何ですか?」

「演技派ですね」

「ははは、何のことやら」


:ん? どうした?

:何に気付いたんだろう?

:コウジとかじゃなくて、社長に?


(ははっ、やっぱりあってた。ほんと、ひどいよねー)


 前に会った時は、優しくてすべてのことを教えてくれそうな人だと思ったけど、実際はこんなことをしてくるとは、やっぱし社長にもなると、一味違うんだな。

 社長の行動で、事務所が僕に対して、どのような期待を抱いているのか。それが、朧気ながら理解できた。

 それは柄じゃないし、ルミナ先輩とかベオ先輩、それに社長がいるからしなくていいと思っているし、同期ならユイの方が向いていると思ってる。けれど、この人たちがそう願ってくるのなら仕方がない。


(前に社長が言ってた、ちょっとした理想にも関係あることなのかな?)


 そんな疑問も抱きながら、僕は覚悟を決めた。

 キャラじゃない、相応しくない、そんなことは理解してる。でも、やるしかないんだ。あの人たちの期待に応えるために。


「ティア先輩、コウジ先輩、それに社長も、今から僕が指揮を執りますから、絶対に従ってください」

「へー、出来るの? ノアに?」


 ティア先輩が、そんなことを問いかけてくる。

 でも、出来るか出来ないじゃないんだ。やるしかないんだよ。


「望んだのは、そちらですよね?」

「ふーん、まぁいいや。いいよ、リーダーとして、頑張ってね」

「……よし、まずは全員で中央を固めます。ティア先輩は後方から援護、コウジ先輩は敵を引きつけてください。社長は僕と一緒に塗りを広げます」


 声を張り上げると、三人の視線が一斉に僕へと向いた。

 でも、みんな従ってくれた。


 みんなが僕に期待していること、それはきっとリーダーとしての適性を身に着けてほしいということなんだろう。

 確かに、三期生の中でリーダーというべき存在はいない。ユイはまとめ役ではあるものの、それは方向性の修正をしたり、司会の代わりを務めたりといった、周りのサポートが主流であり、自分からみんなを引っ張ることをしない。


 ニヤさんは、リーダーとして働くつもりは一切ないようだし、マサさんは参謀が近く、ユイトさんは分析に特化している。

 だから、きっと僕に求められているのは――リーダーとして、前に立つことなんだろう。


:おお、良い感じじゃん

:あれ? ノアってリーダーも出来るの?

:自称人見知りになったな

:そう言えば、最初の方は人見知りだったなwww


 懐かしいな、昔のことは。

 デビューしてからいろいろあった。何度か壁にぶつかったし、心が折れそうになったこともあった。

 でも、今もこうしてVtuberを続けられてる。それはきっと、僕が成長しているということなのだろう。


「今です。ゴールにガチハマグリを打ってください!」

「ああ、わかった」


 コウジ先輩がガチハマグリをゴールに投げ、普通のハマグリもゴールに投げることが出来るようになる。

 この限られた時間の中で、僕たちは一気にハマグリ投げ入れ、得点を稼いでいった。


:ナイス!

:いい感じだよ

:あと少し!


 そして――。


「勝った?」


 僕たちのカウントが0になり、画面に勝利の文字が映された。


「ああ、俺たちの勝利だ」

「ふん、当然」

「ノアさんのおかげですよ」


 みんなが、それぞれ声を掛けてくれる。

 けれど――。


「ほんと、前もって言っててくださいよ」

「ははは……ノアさんがリーダーの適性を図ると言う意図もありましたから。ある意味、ドッキリみたいなものですよ」

「そう、私に感謝すべき」

「……勘違いされるのは嫌なんで言いますけど、ティアさんとコウジさんが最初言うことを聞かなかったのは素ですよ」


:そんなドッキリがあったのか

:でも、実際リーダーとしての適性はあったよな

:うん、意見は聞くけど、顔色は窺ってなかったしな

:そして、あの二人は素だったのかよ!


「え? それはどういう意味ですか?」

「私に言われてたのは、ノアがリーダーとして動き始めたら、それに従ってとだけ」

「俺も同じだ」

「独断専行するようにとは?」

「言われてない」

「えぇ……」


:駄目だコイツら

:社長が無言で頷いてる……

:問題児なんだな……


「それじゃあ、配信を終わりましょうか」

「そうですね、今日のことは根に持ちますけど」

「……言い出したのは、ベオさんですから」


:逃げるな社長!

:やっぱし、アイツの作戦だったのか


「そ、それでは次の配信でお会いしましょう」

「みんな、またね」



【コラボ】予想外の人たちと

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