プロローグ
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まずは、挨拶から。
僕の名前は、氷室澪。今時の女子高生だ。
――そう名乗れば、誰もが「普通の女の子」を想像するだろう。
けれど、僕はそのような存在になれなかった。
何故なら、僕には前世の記憶があったからだ。それも、前世は男。
どうして死んだのか、どんな人間だったのかは覚えていない。けれど、それだけは確かに理解している。
ここまで聞けば、「TS転生なんて羨ましい」と思う人もいるかもしれない。
でも、それは所詮、外から見た幻想にすぎない。
僕にとっては、ただの呪いだった。
心は男のままだから女子とは気が合わず、身体は女だから男子の輪にも入れない。
結果、僕はどこにも居場所を見つけられなかった。だから、いつも孤独だった。
小さい頃は、みんなを笑顔にさせる、光のような人になりたいと思っていた。
けれど、それよりも先に、僕自身から笑顔が消えてしまった。
――なんで、僕は前世の記憶なんて持っているのだろう。
もしそれがなければ、もっと普通に笑って過ごせたのかもしれない。
そう思ったことは、何度もある。
そうして、独りきりの日々が、ずっと続くと思っていた。
けれど、ある日、スマホの画面に映った一枚の広告が、僕の運命を変えることになる。
――『三期生Vtuberオーディション開催』
その文字を見た瞬間、心臓が跳ねた。
『三期生Vtuberオーディション開催』――画面に映るその言葉が、僕の視界を支配する。
Vtuber。仮想の姿で、声ひとつで、誰かを楽しませる存在。
現実の僕にはできなかったことを、そこならできるかもしれない。
読者の人は、こんな僕を見て、現実から逃げているだけだと批判するかもしれない。
でもね、目的のある逃避は飛行というんだよ。僕は、僕のままでは届かなかった光を、闇夜を切り裂く一筋の旭光として、別の姿で掴みにいくんだ。
モニターの前、マイクの前。
画面の隅には、まだ「配信開始まで30秒」のカウントダウンが点滅している。
心臓はうるさいほどに鳴り、手のひらは汗でじっとりと濡れていた。
「やめようか」そんな弱気な声が、頭の奥で囁いてくる。
けれど、もう後戻りはできない。応募して、合格して、ここまで来たのだから。
『朝霧ノア』
モニターに映されているもう一人のボク。
雪のような銀色の髪、青空のように澄んだ瞳。これからは、その姿がボクの顔になる。
カウント、残り十秒
数字がひとつ減るたびに、胸の鼓動が早鐘のように鳴り響く。
九、八、七……。
深呼吸をひとつ。震える声を押し殺すように、唇を噛みしめる。
――三、二、一。
「こんばんはー! 初めまして。NeoVerse三期生、朝霧ノア。これからよろしくね!」




