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踏み台令嬢に転生したのでもふもふ精霊と破滅フラグを壊します! 気づけば王子様ホイホイ状態なんですが!? 完結  作者: まほりろ・コミカライズ配信中・ネトコン12、GOマンガ大賞受賞
二章「学園編&陰謀編」

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51話「起死回生の策」エドモンド視点





ーーエドモンドーー





コレットの捕えられているという地下牢の入口まで来た。


付近に、人気(ひとけ)はない。


入口には見張りが二人。


地下牢の入口の様子を、ダミアンと2人で柱の影から観察する。


「あの地下牢にコレットが捕えられているはずです」


ダミアンのおかげで、コレットの居場所がわかった。


彼の情報網は頼りになる。


しかし……。


「ダミアン、お前はここまででいい」


ダミアンが大きく目を開き、口元をわずかに開く。


「コレットを牢屋から出すまでお手伝いします……!」


「それはできない。

 これ以上は、法に触れる。

 捕らえられたら、今の俺ではお前を守れない」


俺はダミアンの肩に手を置き、首を横に振った。


彼にも守るべき家族がいる。無茶はさせられない。


ダミアンは眉を寄せ、口元を引き結ぶ。


「……はい」


彼は震える唇でそう呟いた。


「ここまで案内して貰えただけで十分だ。

 この恩は忘れない。

 達者で暮らせ」


彼を安心させるように、目を細め口元に笑みを浮かべた。


「エドモンド様のご無事を心より願っております」


ダミアンは胸に手を添え、深く礼をした。


彼は踵を返し、振り返らずに静かに歩いていく。


俺はダミアンの姿が見えなくなるまで見送った。


「ありがとう」


囁くように呟き、俺は牢屋の入口に視線を戻した。



  ◇◇◇◇◇

 



見張りの隙をつき、剣の鞘で殴り倒し鍵を手に入れた。


地下牢への扉を開け中に入る。


薄暗かったが、獣脂ろうそくの明かりでところどころ照らされていた。


早足で、コレットの閉じ込められている牢屋を探す。


普段は使われていない牢屋のようで、人影が見えなかった。


牢屋の一番、鉄格子の向こうに白いローブの女性を見つけた。


「コレット、助けに来たぞ!」


俺は彼女が閉じ込められた牢屋まで走った。


「まぁ、エドモンド様、助けに来てくれたのですね!」


コレットが瞳を輝かせ、鉄格子に手を伸ばす。


彼女が無事だったことがわかり、ホッと息をついた。


小さなベッドが一つあるだけの小さな空間だったが、想像していたよりも清潔そうだった。


コレットは聖女の服を纏い、靴も履いていた。

 

手や足に暴力を受けた形跡もなかった。


地下牢というからには、かびの生えた陰気臭い場所だと思っていた。


囚人は粗末な服を着せられ、靴を奪われ、髪を切られ、鎖で壁に繋がれているのではないかと……ここに来るまで心が落ち着かなかった。


牢屋の鍵を開けると、コレットが中から飛び出してきた。


「ああ、エドモンド様!

 怖かったわ!」


コレットが俺の胸に飛び込んできたので、彼女の背に手を回しそっと抱きしめる。


コレットの体は、小刻みに震えていた。


「可哀想に、心細かっただろう?」


コレットの体温と鼓動を感じ、再会できた喜びを受け止める。


だが、ゆっくりと彼女と抱擁している時間はない。


「コレット、あまり時間がない。

 急いでここから出よう」


「どちらに行かれるおつもりですか?」


コレットは目を見開き、眉を寄せる。


「君と一緒に逃げる為にここに来た。

 誰も知らない隠し通路がある。

 二人で城を脱出しよう。

 この国を出て、二人で暮らそう」


「……!」


コレットが息を呑む音が聞こえた。彼女の体が強張っているのがわかる。


「急なことで驚いただろう。

 だが、この国にいたら君は最悪処刑、良くて鉱山送りだ。

 そんなことはさせられない。

 心配しなくてもいい。

 宝石や金貨を持ち出した。

 贅沢はできないかもしれないが、君に不自由はさせない」


彼女の肩に手を添え、柔らかな笑みを浮かべる。


庶民の暮らしは知らないが、金があればそれなりの暮らしができるはずだ。


「見張りが目を覚ますと厄介だ。

 さぁ、行こう」


俺はコレットの手を握った。


コレットが口角を上げ、目を細めた。


「エドモンド様、逃げる必要なんてどこにもありませんわ」


コレットの自信たっぷりの表情に、思わず見入ってしまう。


普段は小動物のように可愛らしい彼女が、このような表情をできることに驚いた。


「私、毒薬以外にも前国王陛下からあるものを作ることを命じられていたんです」


「あるもの?」


「ええ、それがあれば状況はひっくり返せます」


そんな凄いものがあるというのか?


父はコレットに何を作らせたんだ?


「それは本当なのか?」


「ええ、私が制作した魔道具を使えば、ユリウス殿下と王妃殿下は処刑。

 ヴァルトハイム国王もただでは済まないでしょう。

 そうなれば次の国王はあなたです、エドモンド様」


コレットの桃色の瞳が怪しげに光り、俺の心を捕らえる。


「次の国王」という言葉に、心臓が高鳴る。


誰だって逃亡生活と国王の二択を迫られたら、後者を選ぶ。


「本当に俺は国王になれるのか?」


「ええ、あなたはこの国の正当なお世継ぎ。

 いえ、あなた()()がこの国の正当な王位継承者なのです」


コレットの言葉に心が踊った。


「その魔道具はどこにあるんだ?」


「隠し部屋にあります」


「では、急ぎ取りに行こう!

 そして、皆に俺だけが正統な王位継承者だと認めさせるんだ」


コレットの作った魔道具が何かはわからない。


彼女がこれだけ自信たっぷりに言うんだから、きっと凄いものなのだろう。


俺はコレットを信じる。


ここに来る時は、コレットと逃げる選択肢しかないと思っていた。


まさか、ここに来て状況をひっくり返す一手が見つかるとは……!


「残念ですが、魔道具だけでは状況を打破することはできません」


コレットが神妙な面持ちで呟いた。


上げてから下げられるとはまさにこのことだ。


「では、どうすればいいんだ?

 ここまでその気にさせておいて、今更それはないだろう」


思わずコレットを責める口調になってしまった。


「エドモンド様のお気持ち、痛いほどわかります。

 ご安心ください。

 魔道具だけでは弱いというだけです。

 もう一つ証拠が手に入れば、盤上をひっくり返すことができます」


「本当か?

 それで、もう一つの証拠を手にするにはどうしたらいいんだ?」

 

「アンジェリカ様を利用します」


「アンジェリカを……?」


まさか元婚約者の名前が出るとは思わなかった。


「ええ、彼女が開発した映像と音声を記録する水晶玉、あれを使います。

 こちらが追い詰められた魔道具を使い、逆に相手を追い込むのです」

 

ダミアンの話では、アンジェリカは水晶玉を使って、父とコレットの密談を記録したという。


「アンジェリカはついこの間まで学園最下位だった。

 学園に復帰後は成績を上げたが、それでもSクラスにギリギリ入れるレベルだ。

 そんな彼女が、短期間でそんなとんでもない発明をしたことに、驚きを隠せない」


まさか馬鹿すぎると一度は見限った女が、稀代の天才発明家になるとは夢にも思わなかった。


「アンジェリカ様が魔道具を作れたのにはからくりがあります。

 おそらく彼女の側にいる犬は闇の精霊です。

 彼女はその加護を受け、魔道具を作ったのでしょう」


「な、闇の精霊だと……!」


闇の精霊は、召喚者の願いを叶え、世界に混沌と破滅をもたらす悪しき存在!


そんな邪悪な存在とアンジェリカが契約していたなんて!


「コレット、それは確かなのか?」


「はい、兵士に連行されるとき黒い犬とすれ違いました。

 その犬から並々ならぬ闇の波動を感じたのです」


聖女であるコレットが言うのなら、その犬はただの犬ではないのだろう。


「その犬が気になったので、向かう場所を目で追いました。

 兵士には理由を付けて、少し道を戻ってもらいました。 

 そうして犬の目的地を探っていたところ、黒い犬はアンジェリカ様の元に走っていき、彼女に抱きついたのです」


「それが本当なら、恐ろしいことだ!」


「アンジェリカ様が闇の精霊を使役しているのは明白。

 上手くそこをつけば、カレンベルク公爵家を傀儡化できるでしょう」


「流石だ! コレット!

 よく突き止めてくれた!」


「お褒めに預かり嬉しく思います」


「ダミアンの話では、兄上はアンジェリカに求婚したらしい!

 求婚した相手が闇の精霊を使役していたなら、兄上にとっても痛手になるはず!」


「闇の精霊は聖女の力で無力化できます。

 闇の精霊の加護を失えば、アンジェリカ様はひ弱な少女にすぎません。

 エドモンド様は、アンジェリカを拘束し、水晶玉のありかと使い方を吐かせてください」 


「任せてくれ!

 必ずや君の期待に答えてみせる!!」


「頼もしいですわ」


コレットが艶めいた笑みを浮かべ、俺の胸に顔を埋めた。


俺はコレットの背中に手を回し、彼女を強く抱きしめた。


「必ず国王になる。

 その時は君を王妃に選ぶよ」


父のことを助け出し、宰相を救い、ダミアンもカスパール公爵家も助ける。


俺を裏切ったライナスには少し痛い目にあってもらおう。


簡単に命を奪ってはつまらない。


奴を北方の砦に飛ばそう。永久に雪を眺めながら見張りをするがいい。


「エドモンド様のそのお言葉を信じております」


「必ず君を幸せにする!

 この窮状を二人で乗り越えよう!」


俺達は信頼を確かめ合うように、僅かな時間抱き合った。


読んで下さりありがとうございます。

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